中西進『辞世のことば』(中公新書)ーー新たに知った言葉(芭蕉。慶女。時頼。川柳)

風呂に入る時、かならず本を手にする習慣を持っています。

今日は、中西進『辞世のことば』(中公新書)を読了。読みながら印をつけていると、1時間経っていました。

以下、有名な言葉、新たに知った言葉。

兼好法師「死は前よりしも来たらず、かねて後ろに迫れり」

松尾芭蕉「昨日の発句は今日の辞世、今日の発句は明日の辞世、わが生涯いひすてし句は一句として辞世ならざるはなし」

三橋慶女「白露や死んでゆく日も帯締めて」

孔子「鳥のまさに死なんとするや、その鳴くこと哀し。人のまさに死なんとするや、その言ふこと善し」

吉田松陰「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂

江藤新平「ただ皇天后土の わが心を知るのみ」

北条時頼「業鏡高く懸げ 三十七年 一槌にして打ち砕き 大道担然たり」

織田信長「人間五十年 下天のうちに比ぶれば 夢幻のごとくなり 一たべ生を得て 滅せぬもののあるべきか」

明智光秀「逆順無二の門 大道は心源に徹す 五十五年の夢 覚来めて 一元に帰す」

豊臣秀吉「露と落ち露と消へにしわが身かな 浪速のことは夢のまた夢」

上杉謙信「四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒」

高杉晋作「おもしろきこともなき世をおもしろく」

三島由紀夫「散るをいとふ世にも人にもさきがけて散るこそ花と吹く小夜風」

在原業平「つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを」

西行「願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ」

空也「無覚の聖衆来迎 空に満つ」

一遍「みづから一念発心せんよりほかには三世諸仏の慈悲も済ふことあたはざるものなり」

山上憶良「士やも空しくあるべき万代に語りつぐべき名は立てずして」

黒田如水「思ひおく言の葉なくてつひに行く道は迷はでなるにまかせて」

本居宣長「今よりははかなき世とは嘆かじよ千代の棲家を求めえつれば」

森鴎外「余ハ岩見人森林太郎トシテ死セント欲す」

良寛「草の上に蛍となりて千年を待たむ妹が手ゆ黄金の水を給ふと聞けば」

柄井川柳「木枯や跡で芽をふけ川柳」

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午前

立川:整体の後、知研の福島さんと今後の相談

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「名言との対話」9月10日。アーノルド・パーマー「絶対勝つと思ったら、勝つ。高く昇ろうと思ったら、高いところを思え。勝つのは、たいがい「勝てる」と思っている人間だ。

アーノルド・ダニエル・パーマー(Arnold Daniel Palmer/1929年9月10日-2016年9月25日)は、アメリカのプロゴルファー

1954年に全米アマゴルフで優勝しプロに転身。1958年に4大メジャー選手権のひとつであるマスターズで初優勝を飾る。その後、4大メジャーの全米オープン(1960)・全英オープン(1961/1962)を制し、グランドスラム(4大メジャー制覇)に大手をかける。しかし、最後の全米プロでは、周到な準備で機械的に淡々とバーディーをとるスタイルのライバルの11歳年下のジャック・ニクラス(「帝王」と呼ばれた)に阻まれ、幾度も優勝争いを演じたもののついに優勝することはできず2位が3回で、グランドスラマーになることはできなかった。

パーマーが繰り広げた熱戦の数々は彼をテレビ時代最初のスターゴルファーに押し上げ、競技スポーツとしてのゴルフの魅力を知らしめた。通算成績はマスターズ4勝(1958,1960,1962,1964)、全米オープン1勝(1960)、全英オープン2勝(1961,1962)。全米プロは2位3回。通算62勝は歴代5位。

ゴルフはいかにミスを少なくするか、という保守的な要素を色濃くもつスポーツである。そこにパーマーは「攻撃=チャージ」という概念をもちこみ、ゴルフをエキサイティングなスポーツに変え、熱狂的なファンを生みヒーローになった。どんな難しい位置からもピンを狙った。攻守を兼ね備えたゴルファーのジャック・二クラスとは何度も死闘を演じている。

ゴルフの本質である保守性と、挑戦による醍醐味の人気の狭間に立ったパーマーが語った言葉は実に魅力的だ。ただ、平均的あるいは私などそれ以下のプレーヤーは真似をしてはいけない、非常に危険な名言集だ。

パーマーのゴルフ名言集。

カップをオーバーするくらいに強く打つのは相当勇気を要するが、ロング・パットが入るときは、ほとんど大多数の場合強く打ちすぎたと思うときだ。臆病なパットにはチャンスはない。

・どうして慎重なショットを打つ必要があるのでしょう。慎重に打とうが、大胆に打とうがミスすればどちらにしろ問題を抱えます。

・人が詩や美術館に見いだすものを、私は素晴らしいドライバーショットに見いだす。白いボールが青い大空に舞い上がり、頂点に届き、やがては芝に落ちてくる。ちょうど私がねらったとおりに。

・人生でもっとも大きな楽しみは人々が「できるわけがない」と思っていることをやってのけることです。

・私は子供のようにパットをしています。子供の時はみな何も怖がってはいなかったはずです。

・私がキャディに訊いたのはピンまでの距離だけだ。右や左に何かがあるからと思い悩んで、集中力を失いたくないからね。

・私は勝ち目が薄いように見えたとしても常に全力を尽くすことをやめなかった。私が勝負を諦めないのは勝てるチャンスが無いと思ったことがないからだ。

ちょっとした見栄が、ゲームを台無しにする。

・自信ある自己流は、自信なき正統派に勝る。

・練習をすればするほど幸運を手にすることになるだろう。

テレビでゴルフ観戦をしていると、「絶対勝つと思ったら、勝つ。高く昇ろうと思ったら、高いところを思え。勝つのは、たいがい「勝てる」と思っている人間だ」というパーマーの言葉を感じることがよくある。

4日目のバックナインの攻防をみるのはエキサイティングだ。自分の技術への疑念や、臆病さが顔を出して、守りに入り、自滅するトップゴルファーを私も何度も目にしている。

パーマーの得意な「チャージ」は、積極的な攻撃的スタイルで、先行する相手を激しく追い上げるという意味で使われる。ミスも出てくるが、それでも果敢に攻めていく姿に人々は心が躍り、残念がり、喝采をおくったのだ。パーマーは米国プロゴルフを隆盛に導いた第一人者で、「THE KING」と呼ばれた。パーマーは、記録より、記憶に残る名プレーヤーだった。

勝てると強く思っている人が勝つ。技術の優劣ではない。それは執念の差である。高校野球も含め、あらゆるスポーツにいえることだろう。