「図解塾」の「世界の名著」シリーズ:ミル「自由論」。マルクス「資本論」。ニーチェ「ツァラトゥストラはかく語りき」。ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」。フロイト「精神分析入門」。

「図解塾」第6期⑯は、「世界の名著」の図解による解説シリーズ。

以下、塾生の学び。

  • 今回は、「図解コミュニケーション全集」第7巻「応用編1 世界の名著」の第5弾。「自由論(J・S・ミル)」、「資本論マルクス)」、「ツァラトゥストラはかく語りきニーチェ)」、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神ウェーバー)」、「精神分析入門(フロイト)」の5つの名著について、解説がありました。そのうち、特に印象に残ったのはウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」でした。ウェーバーによると、ヨーロッパでは宗教と関連して資本主義が発達したということ。これまで紹介されたヨーロッパの名著の中には、しばしば神や宗教が関連しているものがありましたが、資本主義においても同様であったことから、ヨーロッパの人々にとって宗教が密接、かつ非常に重要なものであると感じました。そして、何か行動する際は、倫理的な裏付けとして宗教が当たり前のように位置づけられており、それが無ければその行動は崩れてしまう(意義を失う)ということなんだなと思いました。 また、図解についてですが、難解な名著なので複雑な図になると思いきや、キーワードの選択や図形及び矢印の表現方法が工夫されているのでとても見やすく、だからこそ概要文を読むより内容をつかみやすく、理解しやすいんだと感じました。これからも、名著を学びつつ、図解の書き方を少しずつ学んで、ちょっとでもわかりやすい図解を書けるようになりたいと思います。次回、また違った図解を見るのを楽しみにしていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
  • 久恒先生、皆様、おつかれさまです。図解塾、本日も『世界の名著』について久恒先生より図解でレクチュア頂きました。①『自由論』J・S・ミル(1806-1873)イギリス哲学者・経済学者、自由がないと個性が育たない 、でも自由にやると悪い面が、怠け→他人への害→法で規制。上手くやれば多様な国民を創出出来  …自由の獲得:豊かさ…幸福論につながる。「自由と責任の論議」で中学生への説教っぽくて単純だが、健全で尊重すべき「生きる基本」。②『資本論マルクス(1818-1883)ドイツ哲学者・経済学者、提供された労働力に見合わない安い賃金支払いにより生じた余剰価値は経営者の利益に→「搾取の概念」。労働社会が蜂起し、資本主義を攻撃~社会主義へ。倫理観の欠如。アベノミクスによって生じた格差拡大、富める投資家と困窮極まる非正規雇用者の暮らしぶりや、山本太郎議員のベーシックインカム論を彷彿。③『ツァラトゥストラはかく語りきニーチェ(1844-1900)ドイツ哲学者、「絶対的な物などこの世に無し」という現実を受け入れて誠実に生きる強さと、これを実践する為の意思『超人を目指す』姿勢、逃避せず立ち向かう強さは必要。④『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』ウエーバー(1864-1920)ドイツ哲学者・経済学者、資本主義が宗教に関与→プロテスタント。仕事は使命/天職、真面目にやる!贅沢せず、職業勤労で正当な利潤を追求。格差を生む、アメリカ社会。一方日本マインドは江戸の世から連綿と続く儒教の教えがベース、「お布施して世の為ヒトの為に生きる」…まさに論語とそろばん、渋沢栄一。今一番見直すべき姿勢。⑤『精神分析入門』フロイト(1856-1939)オーストリア心理学者、精神科医。自らの欲望・願望・意思が本人の知らないうちにあふれ出す、無意識行動…ヒトの行動のベース。発作的な自殺行為・犯罪とも関係していないだろうか、社会問題である若者の犯罪増加抑止の為にも、今重要な分野ではないか…。江戸から昭和戦前期にかけての変遷をたどる中、どれ一つ「時代遅れ」「不要」といった物は無く、今の我々の精神構造にどこかしらに影響・関連が有る事、そしてこれからも問題を意識するうえで重要な指針となる事に改めて気付かされたことが本日の大きな学びとなりました。戦後復興の為ただひたすらアメリカへ追いつき追い越す事だけを意識し続けてきた、我々日本人の新たなマインドセットの必要性を痛感した次第です。さて本日久恒塾での披露が叶いませんでしたが、当方気付きとしていつもの東京新聞切り抜きから「漫画家ちばてつや」をご紹介します。氏の代表作「あしたのジョー」に秘められた「反戦魂」が取り上げられました、「梶原一騎」氏による原作とは異なり、あえて舞台を東京「山谷」に定めたのは、その地で生きていた戦争孤児たちのたくましい成長に願いが込められている事、主人公「矢吹丈」の名は、ちば氏ご自身が中国からの引き上げの際、混乱の中襲撃の危険から守ってくれた現地人「除さん」の存在が忘れられず付けた事など、氏の戦争体験から「無意識」にあふれ出た「反戦魂」からきているのだそうです。先日開催の広島サミットでの「戦争反対」機運もありましたが、本日久恒塾で学んだ「無意識」に「あふれ出す」行動に深い関わりを感じましたので、併せてご紹介させて頂きます。次回も宜しくお願い致します。
  • 本日も図解塾ありがとうございました。今回も、「世界の名著」についてで興味深い内容でした。今回もどこかで聞いたことがあるが、詳しくはよく理解できていない名著ばかりでした。図解による説明で、少しだけ理解できた気分になりました。今回紹介されたのは、「自由論」ミル、「資本論マルクス、「ツァラトゥトストラはかく語りき」ニーチェ、「プロテスタンディムの論理と資本主義の精神」ウエーバー、「精神分析入門」フロイトの5冊の本が紹介されました。特に印象に残ったことは、フロイトの「精神分析入門」です。人間の行動は、「無意識」が大きく影響しており、無意識の抑圧が、神経症や夢、錯誤行為(言い間違い、聞き間違い、物忘れ)に現れるということが、図解により、理解できました。今までは、見た夢は、現実的でなく、すぐ忘れるため、重要視していませんでした。最近、見た夢にも一日の行動に影響するようなことがあるのではと思い、夢日記をつけてその意味を調べてみると自分の心理状況が分かったり、良い意味だったりすることがわかり、楽しみが一つ増えました。 悪い夢にうなされて困っているという人の話を聞く時がありますが、みた夢を分析することで、神経症の症状を和らげたり、気持ちが軽くなり、改善できたらいいなあと思いました。いろいろな事を考えるきっかけになりました。ありがとうございました。次回も楽しみにしています。
  • 久恒先生、みなさま、本日は図解塾ありがとうございました。今日は世界の名著の5回目。J・S・ミルの『自由論』、マルクスの『資本論』、ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』、ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、フロイトの『精神分析入門』の5つを、久恒先生の書かれた図解で俯瞰しました。どの書物も現代に大きく影響を与えている大著で、「自由」や「資本主義」「心理」などの分野の原点に触れているような感覚でした。中でも、難解な『資本論』は、数字と矢印の入った図で、資本家と労働者間の経済的な格差が拡大していく過程を、分かりやすい形で理解することができました。また、ウェーバーに関しては、 プロテスタンティズム 資本主義の精神的な支えとしてあったということだけではなく、合理主義がはびこり、やがては信仰心も失っていくという、資本主義の限界も指摘しているところも面白く感じました。またフロイトの「無意識」の話も、仏教の「唯識論」との比較や現代の心の病など、話題が大きく広がり、興味深く感じました。次回はダーウィンサルトルボーヴォワールと続いていくということで、楽しみにしています。
  • 本日もありがとうございました。毎度のことですが、脳がたっぷり汗をかきました。本題に入る前の近況も、ためになることが多かったです。橋本大也さんの出版業界での講演や、寺島実郎「世界を知る力」の5月21日のAIについての話など、AIの時代に私たちに大切なことは何だろうか、毎日のように新聞などで取り上げられるAIについての記事とともに考えさせられます。 本日は5つの名著、J.S.ミルの『自由論』、マルクスの『資本論』、ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、フロイトの『精神分析入門』が取り上げられていました。いずれも、歴史に大きな影響を残し、現代のわれわれの社会につながるものです。『自由論』は特に、「思想や嗜好、職業や良心といった個性は、自由な選択の余地があってこそ、発展できる」ことや「個人の個性を最大限尊重するために、社会は個人の選択や行動を規制してはいけない」「ただし誰かの行為が他人の利益を害する場合だけは、法や道徳(世論)で、行為を規制する必要がある」というところ、現在の民主国家では共有されている価値観だと思います。『資本論』については若い頃、資本主義はだめで共産主義がいいと信じていたのですが実は読んだことがなく、革命の部分だけイメージで捉えていました。社会主義国家、共産主義国家のその後を見ると実際にはうまくいかなかったことが分かります(共産党独裁と言いながら実質的には資本主義の国もある)。マックス・ウェーバーについては経済活動が倫理的なものになり「資本主義の精神」が誕生したということで人々に大きな影響を与えましたが、残念ながら現状は利潤を追求し成長が不可欠のものである限りなかなか倫理的とばかり言ってられません。しかも、金融ジャブジャブ(寺島さんがいつも使う言葉)にして格差がますます増大する現代において、もう一度プロテスタンティズム儒教が見直されなければならないと思いました。
  • 本日もありがとうございました。本日は5つの名著のお話でした。毎回同じ感想になってしまいますが、先生のお話を聞きながら図解を目で追うと、本の言いたいことが本を読んでないのに分かったような気になります。『自由論』ミル…自由が尊重され、自由から個性を発達させ、しかし、他人を害するものには法や道徳で規制する。多様な国民が創出され、思想、真理、個性豊かな社会・国家を形成、人間は幸福となる。今に当てはまりわかりやすかったです。『資本論マルクス…2か所からの搾取について、数字を用いていてなるほどと思い、なぜ資本主義ではなく社会主義なのかが、図の流れでわかりやすかったです。図の中の→と数字の大切さを再確認した図でした。『ツァラトゥストラはかく語りきニーチェ…絶対的な神とイデアと真理というこれまでの生きる土台は存在しなかったというニヒリズムを超克し、現実のすべてを肯定し自分自身で力強く生き、成長させ自分が超人となろう。というお話。曖昧だったニヒリズムという言葉の意味が、なんかすっきりした感じがします。 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神ウェーバー…資本主義の発達にプロテスタンティズムの倫理が大きく影響している。とのこと、カトリックプロテスタントの違いの図から資本主義に結び付けているところが分かりやすかったです。『精神分析入門』フロイト…自分の持っている無意識なものを外から抑圧を受け、そこから、自我を調整し神経症とつながったり、夢をみたり、言い違い聞き間違いなど錯誤行為がおきたりという、現代こそ多そうな心のことにつながっていて、考えさせられるお話でした。無意識なことの対応はとても難しいことで、この分野の研究は重要なことだと思いました。今回も勉強させていただきました。ありがとうございました。どんどん名著も近代に近づいてきますね。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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「名言との対話」5月31日。嶋田青峰「朝寒のこの道を行くつとめ哉」

嶋田 青峰(しまだ せいほう、1882年3月8日 - 1944年5月31日)は、日本俳人翻訳家新聞記者教員

三重県志摩市出身。早稲田大学英文科卒。高女や中学の教師を経て、1908年に国民新聞に入社。高浜虚子が担当する「国民文学」欄の部員となる。虚子が俳句雑誌「ホトトギス」に専念するため退職し、青峰は文芸欄を担当するい部長となった。

青峰は仕事の傍ら、虚子の「ホトトギス」を手伝うことになった。虚子が病と新傾向俳句と闘っていた苦しい時期に編集を任されれ、「今の世に珍しいほど隠れたる努力を惜しまない人である」と虚子から感謝されている。

1920年、青峰は「ホトトギス」の編集を下りた。1926年、主宰者が亡くなって青峰は句誌「土上」を引き継ぐ。この雑誌はしだいに新興俳句運動の中心となっていった。

虚子が戦っている、無季俳句の新興俳句の中心人物と目されて、青峰は虚子の門弟たちから攻撃を受け、1930年に「ホトトギス」から除名された。

戦時色が濃くなった1940年に「京大俳句事件」から始まった新興俳句弾圧は、東京の「土上」の青峰ら幹部が進歩思想者として治安維持法で逮捕され、「土上」は廃刊となった。1944年青峰は死去する。

師や仲間への裏切りという面と、茂吉なども詠んだ聖戦俳句の色彩を帯びていく俳句界からの批判という面で、青峰は苦境に立たされたのだ。

青峰の晩年は、「花鳥諷詠」を奉ずる虚子門下から「天罰」といわれ、見舞客もなく、葬儀も閑散として淋しいものだった。虚子からはお悔やみ状と香典が届いた。青峰の父の死去に際して虚子は「兄弟の喪にこもり寝る蚊帳一つ」という句を弔電で打っている。

青峰は師の虚子からの厚い信頼があり、友人や弟子にも恵まれた時期もあったが、敵である新興俳句側に立ったことで、淋しい晩年を送ったのである。

俳号の「青峰」は故郷の標高336mの青峰山(あおみねやま)に由来している。青峰の俳句では、「朝寒のこの道を行くつとめ哉」「わが影や冬の夜道を思伏せて」「市に暮るる師走の人の眉太し」「秋晴れや海のほとりに帰りけり」などがいいと思う。嶋田青峰という人は、温厚で誠実な人柄だったので、人間関係と時代の波の罠にはまったのかもしれないと同情する。「青峰忌」は夏の季語としてうたわれている。