日曜日は宮城県民会館で行われた2回目の襲名披露公演を聴く。新・正蔵は、林家三平の息子で、本名は海老名泰孝。1962年に東京根岸に生れている。昨年朝倉彫塑館を訪ねた折に通りかかった「三平堂」で育っている。正蔵は祖父の名跡である。
県民会館は、ほぼ満席の盛況で落語人気の底堅さを感じた。
小朝は、「うまい!」。姉歯事件でよかったのは引きこもりがマンションから出てきたことだとか、小泉総理をネタにしたりした枕で笑わせた後は、コウモリ女の話で笑わせた。
文珍は、出てきたところから拍手が多く人気の高さをうかがわせた。楽天、ライブドア、野村監督、みのもんたなどが枕で、ネコもしゃくしもマウス、よろしかったですか、1万円からいただきます、領収書の「上様ですか」には殿様じゃないぞ、中国人ウエイトレスの1日働いているという言葉には半日ですか(反日)、テレビのモスクワの天気などは必要ない、、、。ということで爆笑の連続だった。途中でWBCの日本・韓国戦の得点経過なども織り込んで入れた。
「口上」という襲名披露のコーナーがあった。全国ツアーは67回目で、松本の68回で終了とのこと。ここでも江戸落語の小朝と上方落語の文珍の口上も愉快だった。会場全体で3本締めでお祝いをする。
最後は、九代目林家正蔵の落語だったが、真面目な古典落語だったせいか、睡魔に襲われて十分に聞くことはできなかったのは残念だ。
会場で買った本「九代正蔵襲名」(近代映画社)から。
・名前の重さは歴史の重さ
・残りの人生を賭けるべき仕事を目前にして、居住まいを正す心持です
・こぶ平でいるより、正蔵になったほうが、より落語に近づけると思ったのです
・落語というのは、「気」のものです
・ちゃんとしたものを普通に遣れば面白い。それが芸というものです。おもしろくしようとするからつまらなくなる。(柳家小三治)
・襲名というのは古典芸能ならではの本当に面白い仕組みである。我々は人が生まれ変わる瞬間をこの目で見ることが出来、同時にまた過去の名人たちが、一挙に蘇る様を想像できるのだから。(いとうせいこう)