「残業はするな、前業をせよ!」(大和書房)が出てからの変化がいくつかある。
まず、「前業」というキーワードに反応する人があり、講演の依頼が出てきた。
一つは地元仙台での住宅業界向けである。この業界は期限がきまっていたり顧客の都合に合わせなければならないという事情があって、残業が恒常化しているという。そこで「前業」という考え方で体質を変えるヒントにしたいとのことである。受講対象者に前もってこの本を買って配り読んでもらうという念の入れようだ。
もう一つは、金沢の新聞社系シンクタンクからの依頼だ。中日新聞に掲載された新聞広告をみて、本を入手し読む前に講演の依頼があった。「前業」というキーワードにいたく刺激を受けたとのことである。依頼をしてから私のことを調べたらしい。こういうケースは珍しい。
アマゾンのサービスに「この商品を買った人はこんな商品を買っています」というコーナーがある。「前業」の本を買った人が購入した本が掲示されているので興味深くみた。
・チャンスがやってくる15の習慣(レス・ギブリン )
・何のために働くのか(北尾吉孝)
・5%の人を動かせば仕事はうまくいく―嫌われてもいいから信頼されなさい (長谷川和広 )
・幸運を呼びよせる 朝の習慣 (佐藤伝)
「読書」「習慣」「仕事」「朝」などのキーワードに敏感に反応する読者層が、この本を手にしているというイメージがわいてくる。
また、アマゾンの「カスタマーレビュー」というコーナーでは、読者からの書評の投稿を読むことができる。この本には3つの書評が掲載されている。
・「自分に投資する」というタイトルの「波音Catch The Waver」さんのレビュー(千葉県)
・「内容はごく正論」というタイトルの「jinya」さんのレビュー(東京都)
・「実践的仕事術」というタイトルの「さくらいろ 彩」さんのレビュー(宮城県)
評価は全員が5点満点で4をつけているが、こういう読者のレビューは、購買にあたって大きな影響を与えるから大事である。
またインターネットの大海の中を周遊していると、個人がこの本を取り上げて書評や感想を記しているブログなどに遭遇する。気兼ねなく自由に感想を書いているので、なるほど、「こういう風に読まれているのか」と納得することも多い。「前業」を読んでいる層は、前著「通勤電車で寝てはいけない」の読者層と同じ若いビジネスマンが中心のようだ。
「参考になった」というブログをみると嬉しくなってコメントをつけて御礼と励ましをすることもある。著者がいきなり現れるのだから、相手は大変驚くケースが多いが、その反応も面白い。
読者と著書をめぐって直接触れ合うことができるとは、いい時代になったものである。