
- 作者: 橋本治,内田樹
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/11/27
- メディア: 単行本
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内田樹(ブログの訪問数は一日6千から7千)という論客が聞き手となって、橋本治という得体のしれない大きな作家が自分を語るという趣向で、実に面白く読めた。橋本治の本は、神様・小林秀雄の間違いを指摘するという、恐れ多い仕事となった出色の小林秀雄論を読み、その力に驚いた記憶があるが、他の有名な作品は手にしていない。林まり子が、橋本治と同時に生きていることを幸せに思うというようなことを何かに書いていたが、この対談本を読むと、そうかもしれないと感じてしまう。
本屋で、橋本治本人が「代表作に近い」という「窯変源氏物語」を買ってきて、読むことにした。この本は全14巻の大作だが、昨年源氏物語千年紀ということで、田辺聖子や寂聴の源氏物語を見たがあまり食欲がわかなかった。この本についての本人の解説を聴いて、挑戦することにした。今回は全巻通読ができそうな予感がする。
この対談本は、同世代の二人の特異な書き手の考えていることや手の内がわかるのだが、橋本治の逆説的な、本質的な、独学的な言葉群に魅力があって、最後まで楽しくうなずきながら読み終えることができた。内田樹は相の手と相手の言葉を敷衍するちょっとした解説がうまいので、橋本治の話がうまく回転してく。
橋本治という作家のことを論ずるにはまだ早いので、今日はこの作家の「知的生産の技術」に関係するかもしれない部分をピックアップしてみた。
- 「頭が丈夫」
- 「思考体力」
- 技術って、「だいたいできているから、もうちょっとちゃんとできる」って形で進歩するんだと思う、、、。「だいたい」からジリジリジリっと完成度を高めていく、、、。
- オリジナルに勉強する、高を括るっていう、優越感てもたないとだめですよね。それがないと、「えーっ」て人の後についていって平均点のノート取るだけになっちゃう。
- 一個やったらほかにやる必要ないぐらい「作品として立っている」っていうことにしなと、気がすまないんですよ。
- 滝沢馬琴と葛飾北斎と鶴屋南北は、デビューが五十過ぎなんですよ。、、、。で、五十から七十五までがピークなんですよ。
- だから自分の社会的な壁を高くしちゃえば、変な人間関係に煩わされずにすむから、それでわいりとパブリックなことばっかり考えるようになってしまったっていうのはある。
- 日本の歴史という床下で配線がこんがらがっちゃっているから、その配線をちゃんと繋ぎなおさないと、現在がちゃんと機能しないみたいなことがあるから。
- タイトルのストックは結構あります。
- 俺はなんか単体じゃないんです。すごく複数なんです。
- 地べたを這いまわるような時間を費やしていくと、体の中に経験値が積もって、ある時突然、パッと見えるようになるみたいなものがある。
- 十代の時に、面倒くさい本を読まなかったことで、俺は、すごく得をしたと思いますね。知らないから、成熟したいまの頭で、先入観なしで読めるんですよ。
- 一廉の者(ひとかどのもの)
- 最大の破壊は建設なりt思っていますから。
- 名優がやれば、どんな話でも芸談になるんですよ。
- 小説というのは、、、苦にならないような説明のテクニックを持ってしまった人が勝ちなんだと思ったんです。
- 「文章をぎゅっとわしづかみするという方法は一つあるんだなあ」と思って、、、、日本の文章の基本って漢文じゃないですか。、、、正式になればなるほど、ぎゅっとわしづかみになって、俗にするのなだったら、もうちょっと開くというようにして、その伸縮自在さが日本語の文章なんです。
- 「である」は私にとって漢文。
- 歯車が回り、ピストンが動いているみたいな。明治の文章ってそんな感じがするんですよね。
- 私は批評はいらないんです。ちゃんと紹介してくれれば。、、、紹介文でさえ、感想文になってしまっているということが最大の問題だと思う。
- 理想としては、山崎豊子が書くような題材を山田風太郎のような視点で筒井康隆のように書く(笑)。
- 「窯変源氏物語」に関しては言葉のスペクタクルをやりたかったんです。
- 文芸評論をやる前に、皆、小説をちゃんと書いてみな、すごいことがいっぱいわかるから、