「図解思考を用いた国際コミュニケーション力の向上」研修−JICA

k-hisatune2010-04-19

国際協力機構(JICA・緒方貞子理事長)での2010年度の専門家対象の派遣前研修が始まった。
市ヶ谷のJICA国際協力研究所に出向く。このあたりは、防衛省自衛隊東京協力本部、いくつかの独立行政法人などがあり、独特の雰囲気だ。
私の講座は、「図解思考を用いた国際コミュニケション力の向上」という名称で、一年間にわたって継続して行う予定。14時から17時まで。
3月にJICAで行った模擬研修はJICA職員が対象だったが、今回は派遣される専門家が対象。今回は、32名が受講。最年少は32歳から最高齢は62歳。殆どの方はこの5月か、6月に任地に赴任する。
派遣国は、セネガルラオス、トンガ、ベトナムミャンマー、モンゴル、ブルキナファリ、インドネシア、ガーナ、チュニジアボリビア、メキシコ、カンボジア、マレーシア、コスタリカベトナムスリランカ、ハイチ、チュニジア。アジアとアフリカと南米の途上国だ。
指導分野は、植物品種保護、安全作物生産普及、灌漑、防災行政、建設工事品質、浄水処理、都市計画・都市開発制度、広域重点課題支援(教育)、住民参加型計画と開発、地域保健、ガバナンス・人材育成、計画策定・地域開発、総合援助調整、地域保健(看護・助産ケア)、広域重点課題支援(農業)、、。実に多彩な分野にわたっており、国作りには膨大な分野があることを再確認した。
農林水産省、法律事務所、水資源機構日本生産性本部首都高速道路旭川市国立国際医療研究センター林野庁福島県、JICA、旭川市横浜市コンサルタント会社、などから派遣される人が多いが、所属無しの人も三分の一ほどいる。
派遣期間は2年が中心。三分の一が女性。
「専門家」派遣なので、海外派遣の経験のある人が多い。サウジアラビア・エチオピア・ヨルダン、英国・カンボジアベトナムニジェール・ブキナファリ・ハイチ、ルワンダ・ギニア・セネガル、などの経歴がある。

実習の過程で、モンゴルで調停制度をつくりにいく弁護士、ラオスで「母と子」の支援に出向く保健師国税庁の役人、ハイチ地震の援助に向かう女性、森林保護に立ち向かう男性、灌漑施設で水資源の確保を目指す人、住民参加による計画と開発を志す人、などのミッションを具体的に垣間見ることもできた。

図解実習のテーマは、「私の使命」「私は何をするのか」「私の仕事」で、相手国の人に自分のやるべきことを説明する図を描くことにした。出来上がった図の中のキーワードを英語や現地語に訳して使ってもらおうという狙いだ。国際語・世界語として「図解」を活用してみようというJICAとしても新しい試みだ。私にとっても「図解コミュニケーション」が国際協力分野でどの程度役に立つのかに大いに関心があるので、突っ込んでみたい。こういう人達からの現地からの報告も楽しみだ。

3時間という短い時間での講義と実習。以下は終了後のアンケートから。

  • 図示=世界語、図解思考に基づく国際コミュニケーション、共通認識とフレキシブルな対応、スムーズな共同作業の推進、と理解しました。任地でも役に立ちます。
  • 実際に作業してみるとあいまいな部分がよく見えてきた。ただ現地で村人たちが図解を理解できるか未知である。
  • 職場だけでなく全ての場面で応用できそうです。専門は医療安全ですが、図解によるアプローチの可能性を確信しました。
  • 久々に脳が活性化しました。
  • 論理としてりかいできた。ただしセネガル等、図を読む文化の無いような村人もいるためその場合はどうするのか。
  • 図解思考法はとても有用なツールと感じました。
  • 大事なことを中心に図解にチャレンジしてみたい。
  • 相互アドバイスが役に立った。
  • 自分のやるべきことを真面目に考えるよい機会となった。任地ではカウンターパートにもぜひ書いてもらい関係についての相互理解を深めたい。

図の描き方、図解のつくりかた、についての具体的な指導を望む声も多いようなので、次回からは30分ほど時間を延ばして、応えようと思う。