大分合同新聞の本日夕刊「かぼす論壇」にインタビュー記事

郷里の大分合同新聞の本日の夕刊「かぼす論壇」にインタビュー記事が掲載された。
多摩大のPR、人物記念館の旅の紹介、「遅咲き偉人伝」の紹介、そして郷里の友人たちへのメッセージになったかな。

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多摩大学学長室長・教授  久恒啓一さん

2005年に古里・中津市にある福沢諭吉の旧居・記念館を訪ねた。氏の遺した言葉で「独立自尊」や「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」は有名だが、「今日も生涯の一日なり」は初めて知った。深く心に響き、座右の銘とした。館内を回ると、名高い諭吉でも実は知らないことが多く、非常に有意義な時間を過ごせた。
偉大な先人の人生や功績、教えから学べることは多い。そう感じて、以来、先人を紹介する全国各地の人物記念館を390カ所ほど巡っている。著名な人の知らない歴史や遺訓に触れるのは興味深いし、地域で活躍した全国的には無名な人でも残した足跡は大きくて驚く。
誰にも共通するのは、たゆまぬ修養や鍛錬、大きな構想力、膨大な仕事量など、それが“本物”の条件と言えるだろう。
 今の日本人には「志」が欠けている。かつてのITバブルのように、儲かれば手段は選ばないといった風潮が象徴的だ。そんな現状を打開しようと、大学で先人に学ぶ講義をしているが、学生からは「人生の目的を考えるきっかけになった」などと感動や共鳴の声が聞かれる。“本物”の生き様や言葉は、人の心を動かす力を持っている。
 大分県にも広瀬淡窓、滝廉太郎野上弥生子朝倉文夫など、郷土が生んだ先人の資料館が各地にある。国東半島で宇宙の原理を探求した三浦梅園のように、地域に根ざしながら外の世界にも目を向けた姿勢は、海外を見据えた地域づくりを目指す現在にも通じる。    
先人の記念館は、人生を充実させるヒントや知恵が詰まった地域の資源。しかし、にぎわっている所は少なく、もったいない。まずは、自分が住む地域の先人から訪ねてみてはどうか。子どもや若者の教育に生かせば、郷土愛もはぐくめる。定年を迎えた団塊世代は知的好奇心が強い。彼ら向けに人物記念館を巡るツアーを企画すれば、地域活性化に役立つ。ぜひ生かしてもらいたい。

【ひさつね・けいいち】中津市出身。中津北高校、九州大学法学部卒。1973年、日本航空入社。広報課長などを経て1997年から宮城大学事業構想学部教授。2008年から多摩大学経営情報学部教授。09年から現職に就き、寺島実郎学長を補佐している。専門はビジネスコミュニケーション論。最新著「遅咲き偉人伝」(PHP)。

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大分合同新聞によると、「かぼす論壇」の狙いは以下の通り。
各界で活躍する大分県出身の有識者から古里への提言をもらう企画。「かぼす論壇」は月1回、夕刊1面に掲載。大分県は少子・高齢化、過疎の進行、経済の低迷など、さまざまな課題を抱えており、郷土の未来像をどう描いていくか、県民の模索が続いている。企画は有識者それぞれの立場、視点からその道標となるアドバイスを頂くのが狙いだ。
蝋梅(ロウバイ