古本と新刊と。

土曜日に古本屋で見つけた鷲田小弥太『漱石の「仕事論」』をざっと読んでみた。
漱石は、作家生活11年間で、総計10万冊の本が売れ、およそ2万5千円の額に達する。現在の価値では8820万円の印税を手にしたことになるというが、文豪と言われたにしては大きな額ではない。漱石は東京帝大教授という職を振って朝日新聞に入社し、文部省からの文学博士号授与を断っている。このあたりの考え方はもっと調べてみたい。漱石は仕事師だったという印象。

  • みだりに過去に執着するな。いたずらに将来に望みを託すな。満身の力をこめて現在に働け、それが私の主義である。
  • 機会はなんでも避けないで、そのままに自分の力量を試験するのがいちばんだと思います。
  • ただ、自分らしいものが書きたいだけである。
  • 文章も職業になるとあまりありがたくない。また職業になるくらいでないと、張合いがない。厄介なものです。

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多摩センターに丸善がオープンした。大塚家具の後が大型書店になった。家具売り場だった時にはひっそりとしていた空間だったのだが、人があふれていた。棚の配置もいいし、新刊本や原発など話題の本もコーナーも工夫があり、いい本屋だ。新書と文庫のコーナーにはあらゆる本が並んでいた。近頃は、神保町の古本屋街で本を見つけるのが楽しみになっているが、新刊はこちらで買うことにしよう。この書店ができたために、人の流れが変わってしまっているようだ。「日本人の叡智」(「磯田道史)、「梅棹忠夫--地球時代の知の巨人」(KAWDE夢ムック)、などを購入。
梅棹忠夫」には現在開催中の「ウメサオタダオ展」のを担った人たちの座談会があり、「「知的生産の技術」研究会ができているじゃないですか。まさに市民団体として。組織しようとしているわけじゃないけれども、勝手に組織が生まれる例ですよ。」「一冊の本でね。それがすごいです。」との会話があった。連休明けに大阪の民博で開催されているこの「ウメサオタダオ展」を訪問することになっている。梅棹忠夫先生も歴史上の人物になってしまった。

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昨日の深夜、息子が岩手県大船渡から帰ってきた。勤務する市役所が銀河連邦というグループを形成していて、災害時には互いに助け合うという約束になっている。志願者が10名ほどで乗り込み、体育館で物資の受け入れと配送を担当したらしい。自分の自治体の市長や議員も来たり、大船渡市の行う記者会見にでて報告書をつくったりもしたそうだ。現地の惨状も聞いた。自衛隊と一緒の作業も多く、風呂も一緒だったそうだ。仙台に11年いた我が家の代表の役目を果たしてくれた。

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統一地方選後半戦も、政権与党の民主党の退潮が一層鮮明。