「下町ロケット」(池井戸潤)

午前は、多摩市役所で阿部市長らと市内企業トップ、商店街代表、信用金庫幹部、大学などとの懇談会の二回目。経済活性化と観光政策がテーマ。超円高の影響、多摩市の行くべき方向、、。次回からは観光に焦点を絞って議論することになった。
午後は、大学でskypeを使って遠隔地の企業との大学ホームページの打ち合わせ。

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夕刻から、今年の直木賞を取った池井戸潤下町ロケット」(小学館)を読み始めて、寝るまでに一気に読み終えた。面白くテンポがいいので飽きずに読めた。ロケット研究者が打ち上げに失敗して辞職し、下町の家業の中小企業を継ぐのだが、思いがけず、日本を代表する重工会社と戦いつつ、国家プロジェクトの一翼を担っていく感動的な物語である。日本のものづくりの現場の素晴らしさに勇気を与えてくれる作品だ。
大企業のスタイル、知財を巡る戦い、人間関係の複雑さ、そして志の大切さなどがよくわかる素晴らしい小説で、エンターテイメント性も高い。正義感、夢、企業とは何かという問いかけ、生き方、そういうものが底流を流れており、人の世も捨てたものではないという感慨を持って読み進めることができて気持ちがいい。脇役の出向の銀行マンの渋い役回りなどは銀行に働いたものの矜持だろうか。そして何より時代をよく描いており、人間のつかみ方も納得感がある。この小説が映画になるという報道もあったが、映画作品にふさわしい作品だと納得した。
著者は1963年生まれ。慶応を出て10年ほど三菱銀行に勤務した後に、32歳で退職。35歳で小説家デビュー。この小説の中には、いろいろな業種と付き合う銀行マンという目線で、接した企業の姿が生き生きと描かれている。過去の作品タイトルを眺めると、「鉄の骨」「最終退行」「空飛ぶタイヤ」「オレたち花のバブル組」など企業に題材をとったものが多いように思う。私も城山三郎高杉良をよく読んできたが、その後継的な作家という位置づけの作家かもしれない。贔屓にしたい。

下町ロケット

下町ロケット

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多摩大3年生の石川 健太君のFacebookdeで、キリマンジェロの登頂を果たしたという報告を読んで嬉しくなった。「よくやった」とコメントを書いたが、多くの人から祝福をもらっていた。http://www.facebook.com/kenta.coffee

お久しぶりです。今キリマンジャロの麓のタンザニアはモシにいます。先日今回の旅の目的、キリマンジャロ登山をしてきました。最終アタックまでは余裕だったんですが、頂上までの最終アタックは、それはそれはもう苦痛そのものでした。腹は糞なのか屁なのか分からない違和感が常にあり、寒さは体感−15度で体が思うように動かなくなり、アタック前に1時間半しか寝ることができなく眠気が半端なく襲ってきて終いには寝ながら歩いてガイドに何回もぶつかりました。あきらめようと何度も思いましたが、それを口にするのを本能が止め、ひたすら苦痛に耐えながら歩き続けました。そして、なんとかキリマンジャロの頂上ウフルピーク(5895m)に到着。登頂した瞬間涙が溢れ出てきました。なぜだか分からないけどもう止められませんでした。今までで一番辛く、今までで一番最高の経験です。こうして書いていると未だに涙が出そうになります。笑 あ、いもとにも会いました。