シルバー・デモクラシーへ:英国・米国・日本の現実

寺島文庫リレー塾2016「世界秩序の変革期−−日本の正しい道を考え抜く」。
初回は寺島実郎。以下、藤原帰一。国分俊文。岸井成格。下斗米伸夫。寺島実郎

  • 2016年夏というメモを。寺島文庫はサバイバルをかけたフィールドワークのための文献研究の結果。ボルティング(脱皮)のストーリー(企業−国家−グローバルへ)。インテリジェンスとは課題解決型の情報活動。
  • 2016年夏:米国・欧州・アジア。気づきとつながり。
    • 情報環境の変化とグローバルジハード。米国はテロ対策で1兆ドル(100兆円)を支出。
  • 欧州:イギリスのEU脱退(BREXIT)はシルバーデモクラシーの結果。43歳が分かれ目。若年層はEU残留、高齢層はEU脱退。シティはどう動いたのか?オープン系金融はEU残留支持だが、シャドー系金融は脱退支持。理由はEUの透明化・金融取引税に嫌気。GDPの4倍のマネーゲームという現状。身の丈を超えた肥大化したマネーをどう制御するか?
  • 米国大統領選。トランプ70歳、クリントン69歳。シルバーデモクラシーの象徴。
    • ビル・クリントンの1999年のグラススティーガール法(金融と証券の垣根をとる)の廃止で金融工学が盛況になり、2008年のリーマンショックオバマ政権はリーマンショックイラク戦争反対で登場。
    • トランプ:不動産王。金メッキ。信条はディール(取引)。ジャパンバッシャー(7割が日本側負担という現実)。暴言。率直のイメージ。
    • ヒラリー:NYCを基盤。ウオールストリートの影響。知日派の安保マフィア(アーミテージなど)が取り巻く。
    • 米国:成長率は2%台と高い(化石燃料革命・IOT)が、貧困率が上昇中。2000年11.3%、2014年14.8%。白人も12.7%、これがプア・ホワイト。サンダース減少を生んだ。
    • 経済政策:反TPPで一致。グラススティーガル法の復活か。
  • 日本:2016年のテーマ「宗教とマネーゲーム」。
    • 宗教戦争は妥協なき戦いとなる。宗教に寛容な日本人は「宗教間の対話」を主張すべきだ。(世界宗教者平和会議で基調講演)
    • 65歳以上が3割。いずれ4割に。有権者の5割、投票者の6割になる。老人の政治へ。下流老人の増加。65歳以上の平均では一人2500万の貯金、しかし65%は1000万以下。有価証券の72%は65歳以上が保有しており株の上昇に期待。それがアベノミクス支持になる。株はGPIF・ETFなど公的マネーが支えている。39兆円(安倍政権で25兆円)。上場企業の4分の1が筆頭株主が公的マネーという結果。健全な資本主義とはいえない。何でもあり。後代に負担。
    • 40歳から60歳の壮年世代がひどくなっている。勤労者世帯可処分所得は、1997年のピーク時から20年間月7万円(年刊84万円)の減少。当時40歳で現在60歳の人は1600万円が消滅。

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夕刊フジに記事。
「大学で学ぼう−−多摩大学」。ロボット体験をしよう。


「名言との対話」。9月28日。安田善次郎

  • 「今日一日、腹を立つまじきこと、今日一日、人の悪しきを言わず、我が良きをいうまじこと。」
    • 1838年越中富山生まれ。1863年、江戸で両替商を開業。太政官札の取扱などで財をなし。1876年第三国立銀行、1880年安田銀行、93年帝国海上保険、を設立。94年共済生命保険を設立。潤沢な資金で社会資本整備に尽力したほか、不良債権処理、銀行の経営指導や再建に手腕を発揮。1921年に殺害される。享年82。
    • 33歳から82歳の死の直前までの49年間、毎日日記を書き続けていた。また善次郎は自分を支えてくれた人や自分の愛する人たちの命日を大切にし、大きな行事をする時には、その命日にあわせることで、彼らへの敬意や愛情を示し続けた。
    • 「世路は平々坦々たるものにあらずといえども、勇往邁進すれば、必ず成功の彼岸に達すべし。勤勉、努力、節倹、貯蓄、一日も怠るべからず。」
    • 三つの誓い「1.独力独行で世を渡り他人の力をあてにしない。一生懸命働き、女遊びをしない。遊び、怠け、他人に縋るときは天罰を与えてもらいたい。」「2.嘘を言わない。誘惑に負けない。」「3.生活費や小づかいなどの支出は収入の十分の八以内に止め、残りは貯蓄する。住宅用には身代の十分の一以上をあてない、いかなることがあっても分限をこえず、不相当の金を使うときは天罰を与えてもらいたい。」
    • 大富豪になった安田善次郎は多くの陰徳を積んでいたが、世間の目は厳しかった。全共闘がこもったあの東大安田講堂は善次郎の寄付でできた建物である。最後は暴漢に襲われて生涯を終えるのだが、中傷と怨嗟の渦の中で国家のために怒濤のような仕事を完遂させていく善次郎の生涯は素晴らしい。克己と努力の人であった。人の悪口を言わない、自慢をしない。これは難しいことだが、安田善次郎は、そのことを意識して実行しようとしたことに胸を打たれる。