中津市木村記念美術館「心のままにーー俳人・萩原井泉水と陶工・北朗」展

f:id:k-hisatune:20190810194643j:image 中津は古くから文化芸術の町であった。藩主の文化奨励などが影響している。文化人がでただkででなく、日本中から多くの文化人が訪れている。頼山陽池大雅与謝野晶子などの名前を記憶している。
俳句の荻原井泉水(1884ー1976)もその一人だ。正岡子規に師事。季語の使用を絶対視しない無季、575という定型を必要としない無定型の俳句を提唱した。中村不折が表紙画を描いた「層雲」を主宰する自由律俳句の創始者だ。尾崎放哉、種田山頭火も師事した。
中津に一緒に言った内島北朗81887ー1979)は、層雲同人で、本業は「陶工」である。
この二人は、中津の木村宇平と村上二丘らと交流した。両名とも医師である。村上家には、村上医家史料館がある。村上家では、陶芸作品が多く残されている。木村家は、二丘の息子の又郎が眼科医になり、井泉水との交流の記録や美術収集を行い、美術館をつくった。この美術館は2度目の訪問であるが、前回は中津の画家の特集だった。地味だが、いい企画を行っている美術館だ。

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「名言との対話」8月10日。滝本哲史「いちばんありがたい顧客となるのは、『自分の頭で物事を考えない』人々だ」

瀧本 哲史(たきもと てつふみ、1971年あるいは1972年 - 2019年8月10日)は、日本のエンジェル投資家経営コンサルタント

東大法学部卒業後、大学院法学政治学研究科の助手に採用される。任期終了後は、マッキンゼーに入り、コンサルタントになる。2007年より京大産官学連携センター准教授。2011年の著書『武器としての決断思考』やテレビなどでも頭角を現し始めた2019年に死去する。

2011年の『僕は君たちに武器を配りたい』を読んだ。この本は「投資家的生き方」をすすめている。自分の頭で考えることが投資家的生き方の第一歩である。以下、滝本の主張。

医者は買いたたかれる存在になっていく。弁護士も危ない。イソ弁(事務所の居候)、ノキ弁(事務所の軒先を貸してもらう)、野良弁(必要なときに呼び出しされる)、、。仕事をつくる、市場をつくる、成功報酬ベースの仕事をする、そういう付加価値が重要だ。ビジネスチャンスを早く見つける人が成功する。「英語とITと会計」という掛け声も色あせていく。会計士、税理士も人余りの時代に入った。

そういう時代認識のもとで、「スペシャリティ」だけが生き残れると説く。代替不可の人物、かけがいがない能力、、、。他はすべてコモディティ化していく。

個人を相手に商売をする会社にとってありがたい顧客は「自分の頭で物事を考えない」人たちだ。この考えでいくとどうなるか。財産の増やし方、株の銘柄選びを専門家に頼ってはいけない。関東圏では数十年以内に大規模地震が起こるから不動産購入を慎重にすべきだ。

この本が出た2011年から大きく変わったのは、アジアの勃興、そして分野ではビッグデータとAIだ。時代潮流は激流となって世の中をえぐっている。パイ全体が増えている分野はどこか。みんなの知らない情報をもとに投資する。そうなると、誰と付き合うかが重要になるだろう。昔の仲間と付き合い、ベストセラーを読み、テレビの評論家の言をうのみにしていては危ない。

絶えずイノベーションを生み出す気概があるか。異質の融合によってオリジナルなものを作り出す能力を磨いているか。そして他の人では代替不可のスペシャリティを持っているか。それを自らに問い、自分の頭で解いていこう。2012年度ビジネス書大賞受賞の滝本哲史の遺言のような書は、「自分の頭で考えることが生き残りの道だと教えてくれる。 

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 (講談社文庫)

僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版 (講談社文庫)