「文藝春秋」9月号: 棋士の谷川、羽生、藤井という「禅譲」の系譜。愛読の「蓋棺録」というコーナー。吉田類、立花隆。

文藝春秋9月号を読みました。

 将棋。中原、谷川、羽生、藤井という天才の系譜、禅譲の系譜に興味を持った。

  • 羽生善治。アルファ碁は人間の300倍の経験値。「些細なことでも、大事に、丁寧にやっていくことが大事」。31歳年下の「藤井聡太さんはAI時代の象徴」
  • NHKラジオ深夜便谷川浩司ノインタビュー。15歳年上の中原誠から名人位を奪う。名人位を奪われた8歳年下の羽生善治との関係の発言が興味深い。

蓋棺録(ガイカンロク)。私の好きなコーナー。

  • 辻久子(7月13日。95歳)。3500万円のストラディバリウスを買うために自宅を売った。「悪魔の子」。音楽教育へ。
  • 酒井正利(7月16日。85歳)。音楽プロデューサー。歌手との関係「51対49の関係。ちょっと譲りながら互角でいることが大事」。
  • 藤田紘一郎(5月14日。81歳)。カイチュウ博士。「ピュアなものほど体に悪い」
  • 李麗仙(6月22日、79歳)。アングラの女王。唐十郎と結婚離婚。芥川賞
  • ドナルド・ラムズフェルド(6月29日。88歳)。43歳のフォード政権の国防長官は史上最年少、68歳のブッシュ政権の国防長官は史上最高齢。アフガン戦争とイラク戦争

他。

  • 吉田類。「酒場放浪記」は2003年から2021年2月で1000回。酒縁。旅人(たびにん)。「終始一貫して臨機応変」がモットー。
  • 立花隆。「哲学的な思索というのは、正解がない問題について、深く考えることである」。

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「名言との対話」8月24日。赤松良子「猛烈に勉強しなさい。そして、猛烈に働きなさい。チャンスは必ずやってくる」

赤松 良子(あかまつ りょうこ、1929年8月24日 - )は、日本労働官僚外交官政治家

大阪府生まれ。津田塾専門学校英文学科卒業。1953年東京大学法学部政治学科(丸山真男ゼミ)卒業し労働者に入省。1979年国連日本政府代表部公使に就任し女子差別撤廃条約に賛成の投票を行う。1982年労働省婦人少年局長に就任、男女雇用機会均等法を立案。1984労働省婦人局初代局長に就任。1986年駐ウルグアイ大使。

1989年女性職業財団(現21世紀職業財団)会長。国際女性の地位協会会長、文京女子大学教授などを務める。1993年~1994年細川、羽田両内閣で文部大臣に就任。1997年国際女性の地位協会10周年を記念して「赤松良子賞」が設立される。1999年政治の分野への進出をめざす女性を支援するネットワーク、WIN WIN設立し代表。2003年扇千景とともに女性として初の旭日大綬章を受章した。2008年より日本ユニセフ協会会長。2019年東京都名誉都民。

以上が表の経歴である。私生活はどうだったか。

1953年に花見忠(後に上智大学教授)と結婚し、35年後に還暦を前に協議離婚している。1966年に、青杉優子のペンネームで住友セメント事件に関する論文を発表している。青杉優子というペンネームは愉快だ。赤ではなく青、松ではなく杉、良ではなく優というのはユーモアがある。

入省当時の婦人少年局には、藤田たき局長(津田塾教授)を始め、田中寿美子課長(後、参議院議員)、高橋展子デンマーク大使)、森山真弓環境庁長官内閣官房長官、文相、法相)らが所属していた。また2009年に逮捕された村木厚子厚生労働省雇用均等・児童家庭局長について、「無実の村木厚子さんの解放を求めます」との声明を発表している。無実であった村木は後に次官になっている。こういった女性官僚の系譜がある。彼女らは、猛烈に学び、猛烈に働いたのであろう。

赤松良子の「猛烈に勉強しなさい。そして、猛烈に働きなさい。チャンスは必ずやってくる」は、若い時代には、出産・育児、男性に比べて昇進の遅れがあり、雌伏の時代を過ごした時の心境だろう。赤松はチャンスをつかみ大輪の花を咲かせたが、その姿に後輩女性たちは勇気をもらったことだろう。女性活躍の流れの中で大きな影響を与えた人だ。