さすが科博!ーー国立科学博物館「和食」展ーーー「日本とは何か、日本人とは誰か」という視点。

国立科学博物館の「特別展 和食」を「知研」を中心とする仲間8人で訪問してきました。

江戸時代までは地域料理(京料理江戸料理、、)。明治以降に洋食、中華料理に対する「和食」となった。実に多様。八百万の神。共食と孤食。時間軸と空間軸。

「日本とは何か、日本人とは誰か」という視点からの「和食展」だった。さすが科博だ。科学の目で「和食」を斬るという企画は秀逸。会場は大混雑で、和食に対する関心が高いことを痛感した。

日本人に「和食」のことを教育する絶好の機会であり成功しているが、「公式ガイドブック」が物足りなかったのは残念。


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美食術(ガストロノミー)。食材。向上心。訓練された舌。肉食を拒否する食文化。盛りつけの美学。江戸時代。南北の列島。季節。地味。アイヌ。菓子。、、、

野菜のコーナー。マグロ。鮨と天婦羅コーナー。地域ごとの食文化。包丁。食器。、、、


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検索キーワード:大分県は、とり天、ニラ豚、かぼす、りゅうきゅう、とりめし。東京はアボカド、神奈川はチリコンカン、千葉はサイゼリヤ、埼玉は肉汁うどん、群馬はけんちん汁、栃木は鶏そぼろ、、。

宇宙食。災害食。サザエさんの食卓。雑煮文化圏。真善美。刺身定食。ペリー提督の饗応食。神の食事。だしの科学。発酵。日本酒。、、、


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「ふるさと北海道 花の舞」展で新年会。「人生花づくし」がしゃれている。都築、深谷、池松、力丸、鈴木、小池、柴田。

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「名言との対話」1月13日。坪内祐三「慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り  漱石外骨熊楠露伴子規紅葉緑雨とその時代

坪内 祐三(つぼうち ゆうぞう、1958年5月8日 - 2020年1月13日)は、日本の評論家エッセイスト。享年61。

東京都出身。早稲田大学文学部、大学院修士課程を修了。『東京人』の編集者となる。その後、退社し編集者と批評家の道を歩む。

文学のみならず、文化的な状況や現象、映像作品、音楽、演劇、相撲、プロレスなど、幅広い分野に関心を寄せて、旺盛な執筆活動を展開。

『明治の文学』全25巻(2000・9~03・4 筑摩書房)を単独で編集し刊行。『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り』(2001・3 マガジンハウス)で講談社エッセイ賞を受賞。

1997年の『ストリートワイズ』から、2021年の『最後の人声天語』までの四半世紀に多くの書籍を刊行している。また編集者としても、内田露庵、戸川秋骨、福田恒在、正宗白鳥野坂昭如などに関する書籍も刊行している。また、書評にも定評があった。

『総理大臣になりたい』(2013年)で、「十数年前、物書きとして収入が右肩上がりだったときに(中略)私の収入は二〇〇〇万円は越えたものの三〇〇〇万円には届きませんでした」と述べている。

今までこの人の名前は知っていたが、本は読んだことはない。今回、2021年刊行の『最後の人声天語』を手にしてみた。朝日新聞の有名なコラム「天声人語」をもじったタイトルだ。「相撲」と「時代」についてのエッセイを選んで読んでみた。世相やカルチャーから、時代を論じるという見方には共感者が多かったのだろう。例えば、ボブ・ディランの自伝はノーベル賞をとるだろうと予見していて驚いた。

以下、「昭和」「戦後」「平成」「令和」を総覧した「時代感覚」を眺める。

2015年「戦後七十年の夏に思う」:昭和55年(1980年)までは元号と西暦が同時にイメージできるが、昭和56年以降は西暦が先行する。それが「戦後」は終わったということなのだ。(そうだなあ9

2017年「1968年革命から50年」:明治100年の1968年から1972年の5年間は学生運動から連合赤軍事件まで、世の中の変動が一番多かった時代だ。(私の学生時代は変化の時代だったのか)

2019年「平成という時代の終りに」:バブル崩壊から、阪神淡路大震災、オウム教の1995年からは天災の時代。アベノミクスに実感はない。(平成は天災の時代か)

「平成の終りに思うこと」:昭和が終わる時、美空ひばり手塚治虫大岡昇平らが大物が亡くなった。今回は、橋本治内田裕也萩原健一、、、大物感はないが、それが平成らしい。

昭和一桁生まれには「80歳の壁」があった。昭和二桁には「75歳の壁」があった。赤瀬川源平安西水丸団塊の世代には「65歳の壁」があった。坪内ら1950年以降の「シラケ世代」には「60歳の壁」があるかもといっている。

そして自分は令和時代の終りを見たいが、そのときは90歳を越えているだろうから100歳を目指すそうか。だが、その時はこの国が今よりよくなっているとは思えないと述べている。シラケ世代の坪内祐三は2020年の初頭に61歳で予感のとおりに亡くなっているが、この国の行く手には希望を感じていない。

2021年7月19日のユーチューブの「マリコ書房」では、『ツボちゃんの話 夫・坪内祐三』がテーマだった。才媛の妻が書いた本。林真理子は、坪内は博覧強記、神羅万象を知っている人だった。サブカルチャーの人で、マニアックな人たちが仲間だったそうだ。

この人の仕事を見ると、年号とか生年との切り口のよさを感じる。『慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り』の副題は漱石外骨熊楠露伴子規紅葉緑雨とその時代だ。まだ手にしていないが、同年生まれの大物を旋毛曲りという視点で料理するという視点に感心した。必読書だ。