「無学の人」--万能の天才・レオナルド・ダヴィンチの自画像

上野の東京都美術館で「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展が開催中だ。
イタリア・ミラノの古代ローマの広場に建つアンボロジアーナ図書館には、1482年から1500年の間にこの地で過ごしたレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519年)の重要な作品と、人生の記録とも言うべき「アトランティコ手稿」1118枚が展示されている。その企画展である。

「音楽家の肖像」には強い印象を受けた。

今回の発見は、「万能の人」と言われるルネッサンスの申し子ダ・ヴィンチは、自らのことを「無学の人」と呼んでいたことである。
当時の学問言語であるラテン語の正規教育を受けなかったことをそう呼んだのだが、机上の学問、受け売りの知識は往々にして知性を曇らせると考えていた。
500年前に生きたダ・ヴィンチは、「自然」を観察することと、自らの「経験」から導きだされる知識が重要であると言っている。

ダ・ヴィンチは、ミラノの宮廷に自らの能力を売り込む手紙を書いている。
10項目を列挙しているが、9項目目までは軍事技師としての能力であり、最後の10項目目で「平和時には、建築や、公共および個人の建物の設計、、水を引くこと、、。絵画では、相手がどのお方でもあれ誰にも劣らぬくらい巧みに、描ける限りのことを描けます、、」と述べている。
戦時の軍事技師、平時の建築家、そして画家の才能は添え物のようだ。

「未完の画家」とも呼ばれるように、描いた絵は少なく、また完成しない絵も多かった。

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寺島文庫だより第28号に寄稿。

NPO法人知的生産の技術研究会(知研)は梅棹忠夫先生の名著「知的生産の技術」(岩波新書)に触発されて1970年に創立された老舗勉強会で、2000年にNPO法人となりました。寺島実郎先生には長い間顧問をお願いしています。
最近は大型のセミナー以外は、文庫カフェ「ミネルバの森」でセミナーを行っています。「日中関係の課題と展望」(沈海寿)「新聞の未来」(轡田隆史)「都立高校改革の全貌と課題」(都築功)「民間人から見た事業仕分け公共事業の実態」(小野恒)「人物記念館の旅、500館を越えて」(久恒啓一)などが直近のセミナーのタイトルです。
創立時は団塊世代中心のエネルギーあふれる若い会で、知研が編集した知的生産物である書籍は数十冊に及んでいます。またこの会で鍛えられて著書を持つようになったビジネスマンも多く育っています。40年以上経って現在は知的でアクティブなシニア中心の勉強会に変身しているといったところでしょうか。
文庫カフェ独特の知的な雰囲気が大変気に入っています。

NPO法人知的生産の技術研究会理事長・多摩大学経営情報学長  久恒啓一

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  • BSでファンである松井秀喜の物語をみた。メジャーでの175本の全ホームランを見せてくれた。
  • 同じくBSで大相撲の人気大関貴乃花の驚異の粘り腰も久しぶりに堪能した。