「巻を措く能わず」の書

新聞の書評欄を眺めて面白そうな本をアマゾンで購入してすぐに読んでいる。
今日は老川洋一「政治家の胸中」(藤原書店)を半分ほど読んだ。

書評に期せずして同じ言葉が使われていたのを見つけた。
産経新聞では、評論家の浅羽通明が「メディアと知識人--清水幾太郎の覇権と忘却」(中央公論社)の書評を書いている。戦後のスター論客だった清水幾太郎を半傍系インテリと定義し、「正系中の傍系」であると清水を捉えて議論を展開する。
この書評の中で浅羽は、「竹内教授の著は皆、巻を措く能わぬだ。」と述べている。私は竹内洋の本を何冊も読んでいるが、いつもながらその分析とたくみな筆致にうならせられる。確かに面白くて一気に読み終えて高揚感が残る。この本もそうだった。

メディアと知識人 - 清水幾太郎の覇権と忘却

メディアと知識人 - 清水幾太郎の覇権と忘却

もう一冊、産経新聞の書評欄には塗師(ぬし)の赤木明登が、木内昇「ある男」(文芸春秋)を紹介している。明治初頭の周縁部で新旧の価値が交錯する時代に生きた「ある男」の7つの物語。同日の日経新聞にも書評家・松田哲夫がこの本の書評を書いている。南部の金工(鉱山労働者)、警察官、老細工物名人、地役人、県役人、元京都見回り組の男、岡山の俊才農民、こちらでは「いま読まれるべき小説ではないだろうか」で結ばれている。
産経の赤木の書評では、最後の締めは「読後感は哀しく切ない。いややるせないが相応しい。人生の深淵に触れるような諦観をともない、重い内容だが、読み始めると巻を措く能わずであった」

ある男

ある男

10月21日(日曜日)の新聞書評に同時に「巻を措く能わず」が出て来るのに興味を持った。
非常におもしろくて、一気に最後まで本を読んでしまうという意味だが、こういう最大級の評価を受けた本は読まなければならない。

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帰宅すると、妻から「モナちゃん」が死んだと聞いた。
ゴールデンという大型犬でゆったりしておとなしいので、私の住んでいる界隈ではとても人気があった。犬と散歩しているあらゆる人が寄ってきて、この癒し犬に触るを楽しみにしていた。このところ姿が見えないので、どうしているかなと思っていたが、この夏の終わりに死んでしまったという。一つの時代が終わった。
モナちゃんのとうちのチョコラが並んで写ってる写真を探している。後でアップ。

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