「上村松園、上村松篁、上村淳之 三代展」(東京富士美術館)-「芸術を以て人を済度する」

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上村松園、上村松篁、上村淳之という三代にわたる日本画家の松柏美術館は、2015年に訪問した。その三代の作品展が東京富士美術館で今日から開催された。新型コロナ騒ぎで今日、明日のみで、2日からは休刊となるので、急きょ見に行った。

松園は竹内栖鳳に師事した近代美人画の完成者で、女性初の文化勲章受章者。
村松篁は松園の嗣子で近代的な造形感覚を取り入れた花鳥画の最高峰で、文化功労者文化勲章を受章。
上村淳之は上村松篁の長男で、鳥を描く画家。文化功労者

以下、3人の言葉を拾う。

松園:享年74

  • 絵は鏡と同じえ。そのまま自分が写るのえ。心して生きておいき
  • 一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願するところのものである
  • 女は強く生きねばならぬーーそういったものを当時の私はこの絵(遊女亀遊)によって世の女性に示したかった
  • 凝っと押し堪えて、今に見ろ、思い知らせてやると涙と一緒に歯を食いしばされたことが幾度あったかしれません、全く気が小さくても弱くてもやれない仕事だと思います
  • その絵を見ていると邪念の起こらない、またよこしまな心をもっている人でも、その絵に感化されて邪念が清められる、、、といった絵こそ私の願うところのものである。芸術を以て人を済度する。これくらいの自負を画家はもつべきである。(済度:迷い苦しんでいる人々を救って、悟りの境地に導くこと)

松篁:享年98

  • 「少しでも香り高い絵を」と、私はこれまでも願ってきたし、これからもそういう画境を目標に描いていきたいと思う。

淳之:現在86歳

  • 鳥というものの生態をよく見て、その生きざまの美しさ、哀しさ、潔さ、清らかさを色濃く感じて、美しい形にまとまり、その感じたイメージが十全に表現できてはじめて、「いい絵だ」といえるのではないかと思う。

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「名言との対話」2月29日。岩崎福三「インターローカル企業」

岩崎福三(いわさきふくぞう、1925年3月11日 - 2012年2月29日)は日本実業家

 鹿児島県生まれ。立教大学卒。1981年に鹿児島県に本拠を置く企業集団・岩崎産業創業者の父・岩崎與八郎から譲り受け社長に就任。2002年、社長退と同時に息子の芳太郎が引き継ぎ、自身は会長となる。

鹿児島商工会議所会頭などをつとめるなど鹿児島県経済の重鎮だった。日豪関係に貢献したということで駐日オーストラリア大使館から賞も贈られている。財団法人岩崎育英奨学会理事長。指宿市の岩崎美術館理事長。指宿市の岩崎美術館理事長。

うるう年の2月29日は人選が難しい。単純に計算しても人物は4分の一になるからだ。過去に取り上げた人物は、法然上人と横綱鏡里だ。今日は鹿児島経済界で活躍した岩崎福三を取り上げることにした。

岩崎産業は観光・交通事業を中心とした企業集団を形成しており、2015年現在でグループ全体では45社、従業員約3000人、売り上げ高は約500億円規模になっている。岩崎産業は銀座2丁目の銀座いわさきビルと敷地を 約165億円であのティファニーの日本法人に売却した会社だ。

 この人に関する話題は日本有数の富豪であることだ。米フォーブス誌でも日本の富豪として紹介された。フォーブズ誌の世界長者番付では、2004年度は世界72位。2006年度は95位となっている。2007年度は458位でも2.1憶ドル(1ドル113円で2373憶円)だ。日本長者番付・億万長者ランキング (フォーブス2007年)では、世界129位 孫正義 ソフトバンク社長  6554憶円 。、、237位 柳井正 ファーストリテイリング創業者 4181憶円 。、、314位 三木谷浩史 楽天社長 3277憶円 。そして458 位岩崎福三 岩崎産業会長 2373憶円。、、、

因みに2019年はどうか。トップはユニコロの柳井正(2兆7888億円)。以下、孫正義ソフトバンク。2兆6880億円)、滝崎武光(キーエンス。2兆⑻32憶円)、佐治信忠(サントリー。1兆2096億円)、三木谷浩史楽天。6720憶円)、重田康光(光通信)、高原豪久(ユニチャーム)、森章(森トラスト)、永守重信日本電産。5040億円)、10位毒島秀行(三共。4984憶円)。以下コーセー、セブン&アイABCマートニトリ(3808億円)、ドン・キホーテ大塚商会マルハンオービック大東建託アコム、アルゼ、ZOZO(2240憶円)、コスモス薬品松井証券、森ビル、ポーラ、武富士サンドラッグゼンショー、飯田グループ、スクエア・エニックスコナミアパグループ(1344憶円)、TSUTAYA、ベネッセ、大正製薬サイバーエージェントブリジストンノエビア、ミクシイ(109億円)、しまむら、グリー、50位セガサミー(1008億円)など。

 岩崎産業は100年近く前の1922年に、枕木を主とする木材事業から始まり、関東大震災で財をなし、郵便、鉱山運営、山林経営、交通事業、観光事業へと拡大を続け、現在は観光・交通事業を中心に事業展開している。ホームページをみると「鹿児島の魅力を国内外へ、地方(ローカル)から世界(インターナショナル)へ発信しているいわさきグループ」とあり、「インターローカル企業」と名乗っている。国際的な地方企業という意味だろう。1981年から社長、会長をつとめた岩崎福三の名言は探せなかったが、この志をとりあげた。岩崎産業はオーストラリアへの進出などはしているが、その志を実現するまでにはまだ時間がかかりそうだ。