図解塾の課外授業「続ける技術」の6回目のテーマは「ライフワーク」。

夜は図解塾の課外授業「続ける技術」の6回目。テーマは「ライフワーク」です。
手持ちのデータベースのうち、200名を選び、さらにその中から「二刀流」(二足のわらじ)の人々を中心に、ライフワークを解説するという趣向です。
課外授業は、1回目「ライフプラン」、2回目「日記・ブログ」、3回目「人物記念館」。4回目「名言との対話」、5回目「最初の一冊、最後の一冊」でした。
「ライフワーク」については、「公人」「個人」「定年後」「センテナリアン」「女性」など、キーワードしだいで、続けることもできそうです。
以下、受講生からの反応。
  • 本日もありがとうございました!いつものように、非常に濃い2時間でした。二刀流(二足の草鞋)の多くが遅咲き、センテリアン近く。励まされます。そして「女性セブン」で取り上げられるように、幅広い層に広がっていけばいいな、と思いました。最近では、新聞やTV等に登場する人々について年齢を気にするようになりました。偉人・有名人には至らなくても、世の中に継続していろいろなことに取り組んでこられた方が多いということに気付かされます。聴きながら、神奈川県の政策の一つ「未病」と結びついてしまいました。話の中にもありましたが、ライフワークを持っている人は健康な人が多い。それは生きる意欲と、絶えず脳を使っているので認知症にもなりにくい、ということがあるのではないか。だとすると、政策的に高齢者のライフワークを推進して、医療費を節約することもできるのではないか、など考えてしまいました。また、すでに教育界では「受験勉強を一生懸命やって、いい高校・大学に入学し、いい会社に就職・・・・」という一元的で直線的な価値観が崩壊しているが、それに気づいていない人もまだ多い。100年時代を生きるために、幅広い分野に興味や問題意識をもち解決していこうとする力を身に付けることがいっそう重要になるだろう、とも考えました。
  • 課外授業、続ける技術「ライフワーク」。ライスワークとライクワーク、そしてライフワーク。社会参加・衣食住の確保のために、手探りで飛び込むのがライスワーク。興味関心を元に、社会に名乗りを上げるのがライクワーク。これらを積み重ねて、気付いたら肩書きになっているのがライフワーク。こんな感じでしょうか。属する組織で実績を上げるのはいいことだけれど、求められることにのめり込むことあまりに、我を失ってはいけない。むしろ自身の興味関心を大切に育てた方が仕事の実績も上がる。タイムマネジメントが重要、とはよく言うけれど、その理由のひとつが、興味関心を育てるためである。納得と後押しを感じる授業でした。今夜もありがとうございました。
  • 本日もありがとうございました。たくさんの人たちのお話を聞きましたが、ライフワークが本業に通じているもの、まったく関係ないものなど、人それぞれ様々なのだと思いました。吉村芳生さんの、自分の顔写真を鉛筆で転写した自画像がライフワークだなんて、とても楽しいと思いました。好き→続ける→好き→続ける→・・・・こんなものがあると、人生100年、楽しくないわけがありませんね。自分には何かなぁ。あれしてみたい、これは続くか?など考えるのも楽しいかもしれません。そのために記録も必要ですね。まずは日記。何度かお休みしながらでも、続いておりますが、日々気づき、簡単でも続けて、ライフワークにつながる何かを見つけられたらなと思います。次回は図解文章法②ですね。今まで課題で、自分で図解したものの文章化。お休みのうちにやってみます。それでは次回もどうぞよろしくお願いいたします。
  • 今日もありがとうございました! ひとつ気が付いたのですが、事実がいくつも積み重なっていく様子を目の前にすると、その凄さに重さが加わってくるのですね。ライフワークをやり切った人、途中で終わってしまった人、まったくやれなかった人、いろいろいらっしゃる中で、健康に楽しく自分のライフワークを追求できた人たちの人生は、やはり輝いて見えました。自分がどう後に続くか、考えさせられる講義でした。どうもありがとうございました!
  • 本日は素適な授業ありがとうございました。司馬遼太郎新田次郎森鴎外渡辺崋山他多数の日本人の方々が、2刀流をこなし、豊かな人生を歩んでいた事を知り、とても勉強になりました。私も63歳ですが、もう少しで64歳!(^^)!ですが、これからが本番の人生!という気持ちにさせて頂けた図解塾でした。改めて、毎日行っている習慣等がヒントになるとの事。じっくりと考えて、可及的速やかにテーマを決めて取り組んでみようと思いました。人生の岐路に立った時、とても勉強になりました。できるだけこれからも参加したいと思います。(次回は5月12日(水)20時~)参加可能でしょうか。実は、以前申し込もうと思って、上手く申し込みが出来ずじまいでした( ;∀;)。お手隙の際に再度参加方法等を教えて頂ければ幸いです。今後共何卒よろしくお願い申し上げます。感謝!
  • 今日は「続ける技術」の場にお招きくださってありがとうございました。私は、続けることが好きなので、その秘訣やコツを知りたくて、参加いたしました。ここで、気がついたことは、「続ける」と「好きになる」が相互作用の関係があり、循環していることです。好きで好きで没頭しているうちに続いていたり、その逆に続けていたら、だんだんと好きになっていったりと両方がアリなわけで。続けることが好きだったら、その対象を好きになっているのだから、無理して好きなものを見つけなくてもいいのだと。「続ける」が好きな自分にイエスを出せた瞬間でした。今、続けていることを尊重するのと同時に、何か続けられそうなものを見つけていく、今後もそんな生き方をしていきます。本当にありがとうございました。

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「名言との対話」4月28日。千秋実「「死ぬまでは生きるなり。いじけずに生きるなり」

千秋 実(ちあき みのる、本名:佐々木 勝治(ささき かつじ)、旧姓:森竹、1917年4月28日 - 1999年11月1日)は、日本俳優

中央大学専門部法科在学中に芝居に興味をもち、1936年に新築地劇団に入団し、築地小劇場での劇団公演『女人哀詞』で初舞台を踏む。1946年に薔薇座を結成、舞台『堕胎医』が黒澤明監督の目に止まり、1949年にモノクロ映画『野良犬』でスクリーン・デビューを果たす。その後も黒澤作品に多数出演し、『七人の侍』の侍の一人を演じたほか、『隠し砦の三悪人』で藤原釜足と演じた農民コンビは、後に『スター・ウォーズ』に登場するロボット「R2-D2」と「C-3PO」のモデルになったことでも知られている。またテレビでも「ママちょっと来て」「肝っ玉母さん」などに出演して」いたから、」渋い演技をする実力は私もよく知っている。

映画出演は100本以上ある。主な映画出演作品は、「七人の侍」「生きる」「羅生門」「白痴」「醜聞」「野良犬」「生きものの記録」「蜘蛛巣城」「どん底」「隠し砦の三悪人」「天国と地獄」「花いちもんめ」「樺太1945年夏 氷雪の門」「日本一の断絶男」「鞍馬天狗」「杏っ子」「不滅の熱球」「冷飯とおさんとチャン」「ドン松五郎の大冒険」「徳川一族の崩壊」「他人の顔」「五番町夕霧楼」など多数。

実力派の名脇役だった千秋実は1975年の57歳で脳卒中で倒れる。卒中とは「卒然と中る」という意味だ。千秋実『生きるなり 脳卒中からの奇跡の生還』(文芸春秋)を読んだ。棺桶に全身すっぽり入り、出ていた片足の先を持ってひっぱり出してもらったという述懐を冒頭に述べている。この本は4年間の闘病とリハビリについての記録である。家族と友達が心の支えだった。

パスツール脳卒中のあとで大発見をしている。田の助やエノケンは両手両足を失っても舞台に出ていた。精神的に立ち直って社会復帰できるようにもっていくのがリハビリの目的で、それができて病人が回復したといえるということを知る。そして千秋実は「脳外科手術を受けて再起した俳優はいない。脳卒中やっても立派に生きられるという見本になりたい」と決心する。お世話になった人たちへの恩返しと後に続く人たちへの励みになると思った。

この本の最後に本のタイトル「生きるなり」にもなった、武者小路実篤の「欣喜雀躍」という詩が出てくる。私もこの詩に感銘を受けたので、記したい。

生まれたる者は/やがて死ぬ者なり/我も亦/やがて死なん。だが生きてゐる間は生きる也/我らしく生きる也/何者にも頭をさげず/いじけず生きんと思ふ。我は歩くなり/大道を歩くなり/いじけずに歩くなり/死ぬまで歩くなり。(中略)生きるなり/今 春の日なり/春の日に生きるなり/弱ってはゐられぬなり/昂然と生きるなり。昂然と生きる也/内に生命あり/生命の命ずるままに生きる也/いじけてはゐられぬなり。ああ生きる也/死ぬまでは生きる也。(後略)

この詩に共感し、胸に鳴り響きながら生きていくことを決心した千秋実は、「死ぬまでは生きるなり。いじけずに生きるなり」ととなえている。この本を書いた6年後の1985年には『花いちもんめ。』で日本アカデミー賞第9回最優秀主演男優賞を受賞して見事に再起している。そして1989年には勲四等瑞宝章を受章するまでになった。そして20年後の1999年まで生き抜いている。千秋実が、田の助やエノケンに励まされたように、千秋自身も後続世代に勇気を与えるモデルになったのだ。