『名将言行録』から武将の言葉を楽しむ。ヤフーニュースで連載の「人生鳥瞰図」が流れた。

『歴史人』3月号は「日本史の名言400」という特集だ。

私の「名言との対話」は、主として近現代の偉人を中心にしているので、取り上げていないが、視界をひろげて、何回かに分けて名言を堪能したい。

まず最初は1869年に完成した『名将言行録』(館林藩士・岡谷繁実編纂)からにする。戦国時代から江戸初期の武将192人を取り上げている。参照した資料は玉石混交の1252部だ。逸話を中心に、武将の言動と名言を記してある。

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以下、その中から私が注目した名言。

徳川家康「国を治めるには次の三つが重要である。一つには国を理解し、二つには人を理解し、三つには食を理解すること」「天下は天下の人の天下にして我一人の天下と思うべからず」

毛利元就「日本を平定しようとすれば中国地方は平定できる。中国地方を平定しようとすれば中国地方はへいていできない」

黒田孝高「天神の罰より主君の罰を恐れるように。主君の罰より臣下領民の罰を恐れるように」

織田信長「家臣から行動を予測されないのが大将というものだ」

小早川秀明「おそよ大将たる者は器量のままに家臣を用いるべし」

真田信繁(幸村)「重要な局面において片足でも引けば全軍は壊滅してしまう」

藤堂高虎「金銭だけで家臣を働かそうとすれば、金額だけの働きしかしない」

豊臣秀吉「金銀を持っているだけでは、有能な家臣を牢獄に入れているのと同じだ」

大谷吉継「必ず死ぬと思えば生き残り、生きようとすれば死ぬものである」

池田輝政「多くの家臣を育てることで、天下の城となる」

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幻冬舎オンラインの連載が、ヤフーニュースで取り上げられました。

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今日のヒント 八木重吉「幸福なひとは どこにおるのか」(澤村修治『八木重吉のことば』)

幸福な人はどこにおるのか そのひとこそ 春の草のように生きている いつもいつも ふるさとへかへる田舎道を さやかなこころであゆみつづける

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明日の「図解塾」の準備。1.2万歩。

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「名言との対話」2月8日。J.A.シュンペーター「ウイーンでいちばんのドン・ファン、ヨーロッパで一番の馬乗り、世界で一番の経済学者」

ヨーゼフ・アロイス・シュンペーターJoseph Alois Schumpeter1883年2月8日 - 1950年1月8日)は、世界的経済学者

オーストリア生まれ。20代で大著2冊を刊行し大学教授になる。30代ではオーストリアの蔵相もつとめた。1932年以降、アメリカのハーバード大学教授に就任。アメリ計量経済学創立者の一人で、同学会会長。ほかにアメリカ経済学協会会長、国際経済学協会初代会長などを歴任。経済発展の理論、景気循環論、経済社会学の分野に多大の貢献をした

伊東光晴・根井雅弘『シュンペーター』(岩波新書)を読んだ。

資本主義のエトス(特性・特徴)は企業者の「技術革新」による「創造的破壊」が起こる。資本主義とはそういった動態的な発展過程だ。経済の発展と景気変動という躍動が資本主義の生きている印である。資本主義は景気循環を繰り返しながら豊かさをつくりだす。その過程で制度と組織が固定化し、資本主義のメカニズムを衰退させる。その結果、社会民主主義体制になっていくと予測した。

イノベーションの理論を軸にして、経済活動における新陳代謝を今でもよく使われる「創造的破壊」という言葉で表現した。革新を生む企業者の動機は、私的帝国建設の夢想、勝利者意志、創造の喜びである。新結合による成功は多くの模倣者を生み好況となる。不均衡が発生し景気後退が起こり不況になる。そして再び回復する。景気は循環すると主張。その波動は40カ月の短期、8-10年の中期、50-55年の長期(コンドラチェフ波動)がある。シュンペーターはさらに超長期の展望を持っていた。1939年の大著『景気循環の理論』の主張である。

同年生まれのライバルであった経済学者・ケインズと比べると、シュンペーターの特徴が明確になる。二人は対照的だった。

ケインズは20世紀に没落しつうあった母国イギリスの現実問題に取り組む。50前後に大著2冊を刊行し大きな影響を与えた。時論が中心だった。有効需要論という武器を提供した。金本位制から管理通貨への道を主導した。

シュンペーターの母国は小国・オーストリアである。20代で大著2冊の書くという早熟の人。壮大な体系を志向した。ケインズ革命を高く評価するが自身は取り入れない。不合理な衝動から意志が生ずる。、、、、

シュンペーターは一日の終りには毎日、知的成果を採点をしていた。大変満足は1、進歩無しは0で計った。それを週間で評価し、月間で合計し、自分のコメントを付していた。文章は長く、留保が多く、なかなか真意をつかむことが難しかった。

「ウイーンでいちばんのドン・ファン、ヨーロッパで一番の馬乗り、世界で一番の経済学者」という野心があった。世界一の経済学者にはなれなかったとこの本は指摘している。

「経済学はモラル・サイエンスであって自然科学ではない。経済学は内省と価値判断を用いるものだ」 といったケインズ。「経済学は科学であるから学派は存在しない」といたシュンペーター。どちらが正しいのだろうか。