「ジェネレーターたちの知図展2023・東京」

「ジェネレーターたちの知図展2023・東京」を見学してきました。
広尾の「Tokyo Childrens Garden」。昨年の立川での知図展に続き2度目の見学です。

2年目の今年は、京都、名古屋、東京の3カ所で開催。教育の未来像、教師像、そして新しい学び方、生き方の可能性を感じるイベントでした。

「ジェネレーター」とは何か。それは「生成する人」、つまり「雑」から「知」への「創造」を試みる人たちだ。自分を生成し、新しい自分を創造していく運動だろう。

話題のChatGPTは、Generative Pre-trained Transformerの略。ここでは「Generative」という語が使われている。事前に自然言語を使った深層学習モデルによる機械学習で訓練された文章執筆能力を装備した人工知能AIと、人間との対話によって、文章が生成される。それがChatGPTである。

この会場に集うジェネレーターたちは、AIではなく、人間の足と目という肉体と、備わっている五感をフル動員したフィールドワークによって、脳を活性化させようとする人たちだ。肉体がなく、体験ができないAIの弱点を衝いている。肉体を持つ人間の強みを生かすやり方だ。これにジェネレータという語を使ったのは慧眼だと感じた。この方法を掘り下げ、深めていくことが、AIとの付き合い方への回答になる可能性がある。


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ごあいさつした主宰の原尻淳一さん(左)と、市川力さん(右)。

お二人とも笑顔が素晴らしい。

梅棹忠夫川喜田二郎を参考にした「知的探検のひと仕事」のサイクルを原尻さんに説明してもらった。

身の回りを対象としたフィールドワークから始まって、以下の6プロセス(6進法)を経て、最終的に4000字の文章が完成し、「ひと仕事」が終わる。

文章化は、実にユニークな方法だ。森鴎外渋江抽斎」(文語体)と寺田寅彦「科学歳時記」(口語体)の文章スタイルを手本に2000字に「写経」してみる。その上でまねて書くという「なりきり文章法」だ。単語を自分の発見した単語に入れ替えて鴎外スタイルの文章にする「換骨奪胎」の方法、寅彦の目になって自分が観察した事実を積み重ねる方法の2つの文章法。


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会場で披露されていた「知図」の数々。


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会場の様子。2日間で300-500人が訪れたという盛況ぶり。学校の先生、親子、社会人などが熱心に、楽しそうに過ごしていました。


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午前は、孫二人の七五三で、水天宮。昼食は、日本橋クレドール室町テラス。

 


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「名言との対話」11月19日。フランツ・シューベルト「私は一日中作曲していて、1つ作品を完成させるとまた次を始めるのです」

フランツ・ペーター・シューベルトドイツ語Franz Peter Schubert1797年1月31日 - 1828年11月19日)は、オーストリア作曲家

作曲をサリエーリに学んだ。ベートーヴェンを最も尊敬し、短い生涯の間に1000曲近い作品を書き上げた。連作「美しい水車屋の娘」(1823作曲)、「冬の旅」(27作曲)などを含む歌曲(リート)によって他のジャンルと並び立つ芸術歌曲の分野を確立した。

器楽にも傑作が多く、「未完成」(22作曲/65没後初演)や「グレート」の愛称によって知られる交響曲のほか、晩年に新境地を開いた室内楽に、弦楽五重奏曲をはじめ、弦楽四重奏曲、ピアノ・ソナタなどがある。(デジタル版集英社世界文学大事典「三光長治」)

世界の歴史に残る偉大な作曲家・シューベルトは、日本にも多くの影響を与えている。

クラシック歌手の岡村喬生のライフワークはシューベルト「冬の旅」だった。あらゆる歌手が生涯の研究テーマとするほど奥の深い難しい歌曲だ。一番素晴らしく、歌い甲斐があり、一番難しい歌曲である。

 尊敬するベートーベンについて、11歳のシューベルトは「ベートーベンのあとで、何ができるだろう」と語ったとされている。シューベルトは後にベートーベンと知り合う。短編の名手・三浦哲郎は、モーツアルトシューベルトソナタを聴きながら記した言葉「充分に表現するためには、決して表現しすぎないこと。しかもそれでいて完全に表現すること。ただし、ごくわずかの言葉で表現すること」を短編をかくときの自戒にしている。

作家・野村胡堂の『野村胡堂作品集』では、音楽人に関するものが多い。好きな作曲家は、戦闘の人・ヘンデル、旋律の泉・シューベルト。音楽の父・バッハ。真の天才・モーツアルト。父・ハイドン。悲哀の権化・チャイコフスキー。幸福な天才・メンデルスゾーン。ピアノの詩人・ショパン。情熱のシューマン。ピアノの巨匠・リスト。巨人・ワーグナー。孤独の哲人・ブラームス。、、、、、。シューベルトは「旋律の泉」との説明だった。

「私は一日中作曲していて、1つ作品を完成させるとまた次を始めるのです」とシューベルトは次から次へと作品を生み出していった。それにしても、シューベルトの生涯は、わずか31年という短さだった。しかし、「歌曲の王」と呼ばれるほど、多くの素晴らしい歌曲を生み出している。世界の、日本の天才たちに共通するのは、「前進あるのみ」の仕事ぶりである。