後援会役員会、オープンキャンパス

呉濁流の小品「陳大人」と「ポツダム科長」を読了。
副題は「苦悩する台湾の民」。

両作品ともに、日本の植民地統治下における被害者としての台湾民衆の姿を描いている。
加害者は日本というよりも、同じ民族である中国人の寄生者による被害である。
いずれもあくどい買弁、寄生者、手先を生むにいたる植民地機構に対する告発となっている。
「陳大人」は、傍若無人に振舞った巡査補の絶頂から没落までの物語。
ポツダム科長」は、大陸からきた汚職官吏が逮捕されるまでの物語。

植民地体制は、その下に置かれた人間関係をいかに歪めるかを教えてくれる。

著者の呉濁流は1900年台湾生れ。台北師範を卒業後、21年間にわたり各地の公学校で教員をする。1940年、日本人教員の台湾人教員に対するいわれなき差別に憤り教壇を去る。その後、新聞記者となるが、小説を書くようになった。