河合敦「豪商列伝--なぜ彼らは一代で成り上がれたのか」

河合敦「豪商列伝--なぜ彼らは一代で成り上がれたのか」(PHP)を読了。

この本の眼目は一代でのし上がった江戸時代の豪商たちの起業の物語である。
欧米のビジネスモデルが全盛の今、日本で一代で成功した豪商たちのすばらしい生き方と商売の成功のヒントが満載だ。

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古河財閥の創業者・古河市兵衛大倉財閥の設立者・大倉喜八郎藤田財閥の創立者・藤田伝三郎。浅野財閥の創業者・浅野総一郎。世界の真珠王・御木本幸吉。新宿中村屋の創業者・相馬愛蔵・黒光夫妻。大阪一の両替商・鴻池善衛門。商人資本家・本間光丘。廻船問屋の勤皇商人・白石正一郎。海運の政商・河村瑞賢。伝説の豪商・紀伊国屋文左衛門。北海の豪商・高田屋嘉兵衛伊藤忠財閥の伊藤忠兵衛。三井財閥の租・三井高利松坂屋の投手・伊藤次郎左衛門。、、、など28人の波乱の人生と商売の極意がつまっている。

「大志」「志」という言葉が頻繁に登場する。高田屋嘉兵衛白木屋の大村彦太郎。大丸の下村彦右衛門。近江商人・中井源左衛門良祐。古河市兵衛大倉喜八郎。高津伊兵衛。こういう人たちを筆頭に「志」を立てた人々がそれを実現させている。

彼らは、精神や信条などを、言葉で残しており、それが理念となって組織が長く続くことになっている。

  • 住友政友:「他人の保証人になってはいけない」「掛け値をつける商売をしてはならない」「勤勉、誠実、謙譲」。-三井高利:「商は的のごとし。手前よく調るときは、当たらずといふことなし」
  • 大村彦次郎:「商いは高利を取らず、正直によきものを熟れ、末は繁盛」
  • 下村彦右衛門:「商売において、義を先にし、利を後にせよ」「律儀ほど身のために能き人はなし」
  • 広瀬宰平:「我営業は確実を旨とし、時勢の変遷、理財の得失を計りて之を興廃し、いやしくも浮利にはしり軽進すべからざる事」
  • 伊藤次郎左衛門:「人を儲けさせることで、自分も儲かるものだと心得なさい」「どんなお客様にも同じ対応を心掛けよ」「人より早く起きなさい」
  • 中井源左衛門良祐:「人生は勤むるに在り。勤むれば則ちとぼしからず、勤は利の本なり、、」
  • 浅野総一郎:「決心」「勤勉」「根気」「節倹」「健康」「信用」

これら豪商たちの生き様と、苦闘の末に得た商売の極意は、日本人である私たちの心に響き、頭を活性化する。
若い人たちの心に火をつける書である。