アジア太平洋への新しい視界(日総研フォーラム)

k-hisatune2008-07-16

今回で7回目を迎えた日総研フォーラム。
パネリストは東大のカンサンジュン教授。ファイナンス専門家で弁護士のアーサーミッチェル氏、そしてコーディネータは日本総研寺島実郎会長。韓国、米国の視点を交えてアジア太平洋への新しい視界を語るフォーラム。東銀座の時事通信ホール。多摩大学の私のゼミ生も4人が聴講。

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アーサー・M・ミッチェル:日本はアジア随一の法治国家。グローバリゼーションの引き起こした問題について、新しいルールづくりに参加すべきだ。
カン・サンジュン:北東アジア外交はなかった。その結果が北朝鮮問題。東アジアに対しビジョンを提起しかかわっていくべきだ。
寺島:世界の無極化、全員参加型秩序の中、技術力で農業を再生するなど国造りの方向転換を図らねばならない。

ミッチェル:法治国家モデル、これを輸出せよ。
カン:最先端技術よりも生きるための技術である「中間技術」が日本の生きる道。6者協議の場で安全保障のメカニズムをつくれ。
寺島:低炭素社会への対応策としてのシステム化された農業。新しいルールづくりに果たすべき役割。多国間安保フォーラムの形成を粘り強く。

寺島総括講演
・アジアダイナミズム:今年日本のGDPに並ぶ大中華圏。大ロシア主義でセンターラインに復帰しつつあるロシア。シーア派イランを中心とする中東の巨大なシーア派ゾーン。李インド。そして中国・ロシアを中心にこれらの国々がさまざまな形で参加する枠組みとしての上海協力機構の存在。
・脱亜論と大アジア主義との間をバイオリズムのように揺れ続けてきた日本。アメリカをアジアで孤立させないためのバランス感覚。日米中トライアングル時代の認識、日本は米中の連携のもとで孤立してきた。アメリカを通じてしか世界を見ない日本というトラウマの克服。
・日本の役割:アメリカをアジアで孤立させない役割(英国のように)。中国を国際社会に責任ある形で招き入れる役割。アジア太平洋に関する情報の全体知のプラットフォームとしてのアジア太平洋研究所構想(ネットワーク型・中立型・経済力にふさわしい情報力)。
・アジア太平洋研究所構想。大阪駅北ヤード。エネルギー・環境・金融・交通交易・産業。関西財界プロジェクト(アジア太平洋研究所推進協議会の会長は下妻住金会長・寺島は議長。3年間でフィージビリティ・スタディ2011年春まで)

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ミッチェル氏。1947年生まれのアメリカの弁護士。1961年中学生のときに日本へ。1967年カリフォルニア大学バークレー校。日本のICUに留学。1970年大平総理の書生。ハーバードロースクール。京大法学部に留学。1975年日本人女性と結婚。2002年マニラのアジア開発銀行法務担当役員。2007年東京で弁護士。多様なものの見方ができる日本ウオッチャー。
カンサンジュン氏。1950年生まれ。論壇にで異彩を放つ存在感の持ち主。早大大学院政治学研究科博士課程修了。東大大学院情報学環教授。近著「日朝関係の克服--なぜ国交正常化交渉が必要なのか」、「悩む力」(共に集英社新書)。

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今回のフォーラムは主催は(財)日本総合研究所だが、共催はアジア太平洋研究所推進協議会で関係企業の方も多かった。協賛は、全日空・TSUNAMIネットワークパートナーズ。NPO法人日本不動産カウンセラー協会、三井物産戦略研究所。後援は、岩波書店共同通信社ジャパンエフエムネットワーク多摩大学中日新聞東京新聞、BS朝日、フォーブス日本版など。今回のフォーラムの狙い、寺島さんのネットワーク、メディアでの露出などがよくわかる布陣である。