「人物破壊、社会的暗殺、殺人以上に残虐な暴力」

政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党小沢一郎元代表の公判が始まった。6日の公判で読み上げた意見書の内容の要旨が各新聞に載っている。
以下、読売新聞の要旨と朝日新聞夕刊の要旨を読み比べながら、読売に朝日を追加してみたが、新聞によって内容がずいぶんと違う。

ウオルフレン氏の「小沢一郎に対する強力かつ長期的なキャラクター・アサシネーション、人物破壊は政治的に類を見ない」との発言を引用し、「人物破壊とは、その人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺であり、生命を奪う殺人以上に残虐な暴力だ。」というくだりは鬼気迫る。

実際の意見書の全文を読まなければならない。

下記で、記者会見の様子が全部見れます。
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-2960.html

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YOMIURI ONLINE

小沢一郎民主党元代表が6日、陸山会事件の初公判で述べた意見陳述の要旨は次の通り。

 ただいまの指定弁護士の起訴状に関して見解を述べる。指定弁護士の主張は、検察の不当、違法な捜査による供述調書を根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくものだ。直ちに裁判を打ち切るべきだ。私が罪に問われるいわれはない。収支報告書に間違った記載はなく、虚偽記載にあたる事実はない。まして共謀した事実は断じてない。捜査段階の検察の対応は、憲政史上の一大汚点として残る。

(朝日「検察の対応は、主権者である国民から何の負託も受けていない一捜査機関が、特定の意図により国家権力を乱用し、議会制民主政治を踏みにじったという意味において、日本憲政史上の一大汚点として後世に残る。」)

 そもそも政治資金規正法は収支報告書に間違いや不適切な記載があった場合、政治団体の会計責任者が総務省選挙管理委員会に自主申告して修正するのが大原則だ。検察が不適切な記載を捜査すれば、自由な政治活動を阻害する恐れがある。今日まで何百、何千の不適切な記載があっても、修正処理がされてきた。陸山会が立件された後も、本日、ただいまもその処理で済まされている。

(「朝日「贈収賄、脱税、横領など実質的犯罪を伴わないものについて、検察や警察が捜査すると、議会制民主主義を担保する自由な政治活動を阻害し、ひいては国民の主権を侵害するおそれがある。」)

 私は一昨年の3月以来、実質的な犯罪を犯した証拠がないのに、東京地検特捜部の強制捜査を受けた。なぜ私が法の原則、精神を無視し、強制捜査を受けなければならないのか。少なくとも実質的な犯罪でないと分かった時点で、捜査は終結すべきだった。延々と捜査を続けたのは常軌を逸している。検察が個人を標的としたとしか考えようがない。政治的な抹殺が目的であることが推認できるが、民主主義国家、法治国家では到底許されない暴力行為だ。

(朝日「検察という国家権力が政治家小沢一郎個人を標的にしたとしか考えようがない、私を政治的、社会的に抹殺するのが目的だったと推認できる。」
「日本外国特派員協会元会長のオランダ人ジャーナリスト、カッレル・ヴォン・ウオルフレン氏は近著「誰が小沢一郎を殺すのか?」で、「小沢一郎に対する協力かつ長期的なキャラクター・アサシネーション、人物破壊は政治的に類を見ない」と言っている。人物破壊とは、その人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺であり、生命を奪う殺人以上に残虐な暴力だ。」)

 本件が特に許せないのは、国民の負託を受けていない検察が議会制民主主義を踏みにじり、国民主権を冒涜(ぼうとく)したことだ。検察が捜査、逮捕権を乱用し、当時、野党第1党の代表だった私を狙って、強制捜査をした。2年前の総選挙は半世紀ぶりの政権交代が予想され、特別なものだった。恣意(しい)的な権力行使が許されるなら、民主主義国家とは言えない。

 政治家が自由意思で良心、見識に基づき、国民に奉仕する政治でなければ、もはや民主主義ではない。戦前、国家権力の乱用で政党政治を破壊し、悲惨な敗戦に至った。権力の乱用を許せば、同様の過ちが繰り返される。

(朝日「日本は戦前、行政官僚、軍部官僚、検察・警察官僚が結託し、財界、マスコミを巻き込んで、国家権力を乱用し、政党政治を破壊した。結果は、無謀な戦争への突入と悲惨な敗戦という悲劇だった。」)

 東日本大震災の復興はいまだ進まず、福島第一原発の事故の収束のめどが立たない。これ以上、政治が混迷を深めれば、国民の不安が増大し、偏狭なナショナリズムや、テロリズムによって日本の将来が暗たんたるものになる。まず、政党政治と議会制民主主義を確立させることだ。まだ間に合う。裁判長、裁判官には見識ある判断をお願いしたい。

(朝日「欧米の金融・財政危機による世界恐慌のおそれが目前に迫っている時に、これ以上政治の混迷が深まれば、国民の不安と不満が遠からず爆発する。」)