「世界を知る力」は「ウクライナがテーマ」ーー人類史の転換点か。

桜咲く 後ろ姿の 探検隊


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寺島実郎の「世界を知る力」鼎談。下斗米伸夫・渡部恒雄。テーマは「ウクライナ」。

寺島「ウクライナ問題は世界史の転換点か」「プーチン登場の2000年沖縄サミット時はwtiは27.5ドル、2008年の洞爺湖サミット時には145.3ドル。原油価格の上昇がプーチンを後押しした」「1991年ウクライナは非核化。NATOの拡大。ブレジンスキーウクライナEUへ。キッシンジャーは北欧型に。米国内に路線対立。米ロの対話が動きかけたがボタンの掛け違いがあった。」

1:プーチンはなぜここまでやったのか?

下斗米「2月11日に雨R化大使館はキエフから退避させた、キエフを明け渡すというシグナルか?」

渡部「バイデン政権はロシアに対して態度が弱い、後手に回っている。抑止力は相互主義だ。プーチンに対しては力しか効果はない」

2:プーチンの誤算? アメリカの誤算?
寺島「サイバー戦争だ。ロシアは強くなかった。ナチとの戦争であり市民を守るというロシアの主張に正統性はあるか? 東ローマ帝国の歴史は日本人はブラインド」

下斗米「ドローン兵器による新しい戦争だ。ウクライナスターリンによって300万人の餓死者を出しているという歴史」

渡部「アメリカは国内の分断で腰が引けている。」ロシアが強くなかったのは誤算。バイデンの主要テーマはイングレ対策だ」

3:人類史の転換点か?

寺島「100年前に似ている。第一次大戦で4つの帝国の崩壊、パンデミックアメリカは介入できなかったが、西側を束ねることができた。ロシアは経済崩壊、インフレ。アメリカはインフレ。大国の横暴の終り。ゼレンスキー大統領の勝利。理解、支持、筋道。孤立の怖さ。ネットワークの力」

下斗米「ロシアの軍事力の力に疑問。エネルギーはEUにつかったが兄弟国には使わなかった。今回はゼレンスキーの勝利だ」

渡部「世界はゼレンスキーへ共感。バイデン、トランプでは対処できない。次のリーダーに期待。9.11では米中接近。今回は中国の動きに注視した。アメリカは地域の大国をパートナー国が秩序をつくるのに援助というスタンス。介入せずに成功させるならモデルになる」

4:国連は機能しているか? 新しい国際機関が必要か?

寺島「無力の国連。本来なら国連軍。新しい国際機関が必要か?ハーグの国際諸法裁判所は国際法違反の判断。反対派ロシアと中国のみ。北方領土問題も持ち込むこと。国連は機能しているか? 新しい秩序形成に日本も参加」

下斗米「国連はとまっている・紛争処理の新しい国際機関が必要。中立という概念が重要になる」

渡部「国連の機能を高めよ。国連憲章で処理すべき。総会では141各国が非難決議に賛成した」

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「名言との対話」3月27日。波多野鶴吉「宥座の器」

波多野 鶴吉(はたの つるきち、安政5年2月13日1858年3月27日)- 大正7年(1918年2月23日)は、明治・大正期の実業家

京都府綾部市生まれ。波多野家の養子となる。京都に遊学。18歳で花と結婚。28歳、小さな資本をかき集めて何鹿群養蚕業組合の組合長になり大資本に対抗した。キリスト教に入信。38歳、郡是製糸株式会社を設立。43歳、社長。

『宥座の器』(あやべ市民新聞社)の著者の四方洋は「この本でおわりとせず、さらに充実した鶴吉伝を目ざしたい」と「はじめに」で書いている。四方の父の生家は綾部の大本教の開祖、出口なおの家の隣だった。父は死の直前まで大本教の2代目・出口王三郎と鶴吉のことをよく語っていた。四方は大学の卒論は「郡是」を取り上げていた。「趣味は人間」「人観光」ツーリズムを提唱していた。ある人物の伝記を書くには相当なエネルギーが必要だが、この人には波多野鶴吉を書く理由が存在していた。

綾部は、歌人吉井勇が「綾部川の水のひびきの中にきく人の心の高きしらべを」と詠んだ土地である。。「鬼は内、福は内」とする大本教出口なお出口王仁三郎、そしてグンゼ創業者の波多野鶴吉などが高きしらべを持つ人なのだろう。グンゼの本社は今も綾部にある。

グンゼは、もともとは郡是であった。国には国是があるように、市町村にもそれぞれ郡是があるべきだ。郡には郡是が要る。そこから波多野鶴吉は社名を「郡是」にしたのだ。アパレルを中心にグンゼは、2020年3月期決算では、売上1236億円、経常利益50億円の企業になっている。

以下、波多野鶴吉の言葉。「皆是中糸国 今以上争鳴 経営幾歳月 終始啻一誠」「よい人がよい糸をつくる」「信用のある人が信用のある糸をつくる」「一、心が清ければ、光沢の多い糸が出来る。一、心が直ければ、繊度の揃うた糸がで出来る。一、心に平和があれば、ふしのない糸が出来る。一、心に油断がなければ、切断のない糸が出来る。一、自ら省みて恥ずるところがなければ、力の強い糸が出来る」「第一になくてはならなぬものは中心人物の信である」

鶴吉は、計数能力が高く、書がうまかったそして記憶力が抜群だったという観察がある鶴吉は60歳で亡くなったが、3歳年下の妻の花は96歳の長寿だった。鶴吉に「心を治してもらいたい」と訴えて成功させた糟糠の妻であり、事業と人生の伴奏者であった。

鶴吉については、山岡荘八が伝記を書いている。また、綾部には、グンゼ記念館、波多野鶴吉記念館がある。『宥座の器』には波多野花についても詳しく書いてある。

さて、今回読んだ『宥座の器』の宥座とはどういう意味だろうか。平生は傾いている不思議な器があり、わたしも見たことがある。水を注いで器の半分に達すると真っ直ぐになる。いっぱいにすればひっくり返る。中庸の大事さ、足るを知ること、求めすぎるてはいけない。この器を身近において自分を戒めようとする。宥座とは身の回りという意味だ。孔子は「宥座の器」を題材にして「知を持つものは愚を自覚し、功績を持つものは謙譲の心をもち、力を持つものは恐れを忘れず、富があるものは謙遜を忘れずに正しい姿勢を保て」と説いたされている。自らの器を考えよということだろう。鶴吉もこの考えに賛同していて人にアドバイスしていた。