「図解塾」:『梅棹忠夫著作集』図解プロジェクトはいよいよ最終の第13巻「地球時代を生きる」に突入。

「図解塾」の2024年の初回の講義。『梅棹忠夫著作集』の図解プロジェクトもいよいよ大詰めの第13巻「地球時代にいきる」に入る。

今日は2月3日の蜃気楼大学での発表の打ち合わせに時間をとった。それぞれ、ビジネスマン、教員、公務員などのキャリアがあり、テキパキと内容が決まっていくのは気持ちがいい。総合テーマを「日本及び日本人」とし、図解塾の成果と幸福塾の成果を発表する予定。

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以下、塾生の学びから。

  • 久恒先生、皆様、新年おめでとうございます。本日、図解塾。『天災と人災』で明けた正月。連日の慌ただしい報道でしたが、被災地で勇敢に人命救助除に当たる隊員や、事故現場で冷静沈着に乗客の避難誘導に当たった乗務員の、共に日々の鍛錬に裏付けされた正確な判断と行動、そして人命を守るという第一線のプロフェッショナルな強い『倫理観』に一筋の光明を見出した気が致しました。年頭を飾る1回目も冒頭は久恒先生のブログの話題から。元日のおみくじの教えは「ヒトのために尽くせ」、「焦らず、油断せず、慎み深く、謙虚に進め」との事(今年もご指導宜しくお願い致します)。これからの計画においては、かねてより取り組まれていた「図解コミュニケーション全集」編さんが間もなく完成、ラストスパート!。また1月に創刊の雑誌『イコール』では、今後「知的生産の技術研究会」メンバによる責任編集を実践していくという構想を紹介頂きました。「ヒト・旅・本」といった人世100年時代の『ライフデザイン』や「新」(IT・DX・AI:電脳)「深」(セミナ等今迄の情報蓄積)「真」(梅棹先生著作)に分類される『知的生産の技術』の多次元な各分野を『図解』で広く読者へ紹介して行こうという趣旨で、図解塾・幸福塾のメンバは今後この活動に積極参加していくとの事で、これは大変ワクワク致しました。一方、2月初旬に「大学セミナーハウス」(公益財団法人、東京八王寺市)にて実施の『蜃気楼大学2024年』に於いて、我々塾生も講師として参加する『日本文明論(図解塾)』及び『日本人論(幸福塾)』に向け、レジュメ製作などの具体的な段取りについて情報共有させて頂きました。こちらも本番に向けて本格始動!大変ワクワク致しました。さて、本題。梅棹忠夫全集第13巻「地球時代に生きる」の今回は第1回目。いつものとおり、久恒先生の「お手書き」をベースに塾生がパワポ化した「図メモ」の紹介と解説。約80分に及んだ講義冒頭の「あれこれ」の都合で、本日は『万国博覧会』の1件のみ実施。1970年に開催された大阪万博から半世紀を超える年月が経過した今、図メモでふり返り見えたものは、『情報産業社会』を当時から提言されていた梅棹先生の「卓越の先見性」でありました。「万博」とは「文化」の『まつり』だ、決して「見本市」ではない。当時謳われたテーマは「人類の進歩と調和」(Progress and Harmony for Mankind)、それ迄の万博と異なり「調和」というキーワードが盛り込まれたその場では「生命・技術・コミュニケーション」といった万国の老若男女が共通して抱いた「憧れ」という『情報』で溢れていたのです。岡本太郎の「太陽の塔」、丹下健三の「大屋根」、「月の石」、「動く歩道」、「テレビ電話」、「電気自動車」etc…。また世界各国の「パビリオン」を巡る事で6400万人にのぼる来場者は「ミニ海外旅行」を楽しむ絶好のチャンスとなったのです。一部の国家や民族の誇示ではなく全人類共通の『ステキ』や『カッコイイ』を盛り込んだ「調和」をコンセプトに催された1970年大阪万博は間違いなく20世紀のエポックメイキングの一つでありましょう。さて2025年開催の大阪万博のテーマは何だったか?おしまいに当方正月休みに行った「今週の気付きの総括」についてご紹介します。昨年は20件の「気付き」を作成する事が出来ました。「共感」「学び」「旬な話題」など、カテゴリ別に独断のポイント付けにより決めた1位と2位(同点3件)とコラージュを添付致しました。お年始代わりにご笑納頂けますと幸いです。本年も宜しくお願い致します。
  • 久恒先生、皆様、本日は図解塾ありがとうございました。年明け初の図解塾で今年の新しい企画も含め、とても新鮮な内容でした。冒頭に「養生」についての話がありましたが、「肉体的自由」をベースに、「精神的自由」「時間的自由」「経済的自由」の4つを程よい加減(中庸)でバランスをとることで「創造的晩年」となる、ということで、心身を整える話として心に残りました。また、2月3日の蜃気楼大学での発表の打ち合わせがありました。私は今回はじめての参加になるので、準備も含めイメージが膨らみ、とても楽しみです。後半は梅棹忠夫著作集第13巻「地球時代に生きる」の1回目。1970年の大阪万博について、そのテーマであった「進歩と調和」という言葉が生まれた背景を、久恒先生の図解で読み解きました。当時の万博の基本理念に梅棹先生の考え方が色濃く反映されていたことと、来年予定されている大阪万博との比較が印象に残りました。今年は雑誌『イコール』の創刊もあり、図解塾の今後の展開がとても楽しみです。本年もよろしくお願いします。
  • 1月の図解塾に参加しました。ありがとうございました。年始の近況報告から始まり、蜃気楼大学での発表内容について紹介がありました。内容は、梅棹忠夫先生の著作集の図解の2年間の振り返りで、どの内容もとても興味深い内容ばかりでした。今回の図解塾では、梅棹先生の第13巻の「地球時代にきる」のプレゼンテーションがあり、皆さんと意見を共有し、新たな気づき得ることができました。内容は、1970年の大阪万博についてでした。第一回はアジア初の万博だったということも知り、アジアにとっても価値ある万博だったということがわかりました。テーマは、「進歩」と「調和」で、1970年代までの万博は人類の「進歩」ばかりがテーマだったが、初めて「進歩」に対立する「調和」も入ることにより、未来について考える機会になり、人類がよりでの豊かになることがわかりました。梅棹先生は、民族を超える目線が必要で、「帝国の時代」「国家の時代」でなく「地球時代」が大切と唱えられていて、納得できました。文明の全体的な俯瞰(日本文明の俯瞰)が大切であることも理解できました。2025年の大阪万博を迎えるにあたって、梅棹先生の文明生態史観を振り返ることで、大阪万博の意味が深まり、価値も高まるのではないかと思います。次回も楽しみにしております。
  • 本日もありがとうございました。今年の活動方針、図解マガジンの発行をはじめ新たな企画が示され、改めて身の引き締まる思いです。蜃気楼大学における発表についても内容や割り当てが決まりました。きちんと発信して残すことは重要だと思います。一人では決してやろうとしなかったでしょう。梅棹先生の著作集も「地球時代に生きる」に入りました。「地球時代」という言葉を最初に使ったのは梅棹先生だということを初めて知りました。1970年の万博で掲げられた理念と、「経済効果」という言葉しか聞こえてこない2025年の大阪万博を比べて改めて情けなく思いました。まさに、日本や日本文化をしっかり見つめ、大切にしていくことが梅棹先生がおっしゃっているように、今、最も大切なことだと思いました。
  • 本日もありがとうございました。年末年始の皆様のご様子がとても活動的で、さすがです。蜃気楼大学での発表についても、着々と進んでいて、素晴らしい。見に伺いたいと思います。梅棹忠夫著作集の方は、地球自体に生きるに入りました。今日は、万国博覧会の、1970年の大阪万博についてでした。人類の進歩と調和。2025年の万博はどうなりますでしょうか?本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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「名言との対話」1月10日、上田惇生「21世紀に重要視される唯一のスキルは、新しいものを学ぶスキルである。それ以外はすべて時間と共にすたれてゆく」

上田 惇生(うえだ あつお、1938年11月9日- 2019年1月10日)は、日本の経営学者。

埼玉県出身。浦和高校から慶應義塾大学経済学部卒。経団連に入り、広報部長などをつとめた後、ものづくり大学教授に就任した。

「マネジメントの発明者」とされるピーター・F・ドラッカーの主要著作のすべてを翻訳し、ドラッカーからは「最も親しい友人であり、日本での分身」とまでいわしめた人である。

翻訳は『プロフェッショナルの条件』ほか「はじめて読むドラッカー・シリーズ」四部作、「ドラッカー名言集」四部作、『エッセンシャル版マネジメント』の編集、翻訳のほか、『現代の経営』『経営者の条件』『断絶の時代』『イノベーション起業家精神』『非営利組織の経営』『ネクスト・ソサエティ』『プロフェッショナルの原点』など。

上田先生との縁をさかのぼってみたい。

  • 上田先生は、私が『図で読み解く!ドラッカー理論』(かんき出版)のゲラを見てもらって出版していいかどうかを相談した方で、野田先生と一緒に上野で会った。上田さんからは、私のみせた図解に対して「よく読んだ。しかし、このまま出せばドラッカーの本になる。あなたの意見をもっと入れなさい」とのアドバイスを受け、書き直した。ドラッカー関係の学者や信奉する実務家は多いが、その理論を図解を用いて解説した本は初めてだったので、2004年に刊行した「図で読み解く!ドラッカー理論」(かんき出版)が話題になったので、つぶやきに登場したところ、この本を読んだ人達との交流ができた。2016年にもしドラ」が大ベストセラーになった時、この本を焼きなおして刊行した『図解で身につく! ドラッカーの理論』(中経の文庫)も連られてよく売れた。この本は中国、韓国で翻訳された。届いた翻訳本をみると、韓国はハングル文字なので、まったくわからないが、表紙のピーター・ドラッカーの顔写真と、本文中の図解の形をみると、私の本の翻訳本だなと見当がつく。中国版では、「徳魯克」という赤い文字が、ドラッカーと読むらしいことがわかる。ドラッカーのエキスを抜きだしたという意味で、「管理精粋」(粋の文字は日本語にはないので代用)という文字をタイトルにも使っている。いずれの本も、「図で読み解く!ドラッカー理論」の図の中のキーワードが、ハングルであったり、中国で使われている漢字であったりになっている。このキーワードを英語、フランス語、エスペラント語、などに変えていくことによって、どの国の人々もドラッカーの経営理論を理解できるようになるはずだと思った。この私の本は台湾でもすでに出版されており、ドラッカーは「杜拉克」という文字で翻訳されている。
  • 韓国でドラッカーソサエティができるときに、講演する話があったが、スケジュールがあわなかった。ドラッカー学会ができるとき、発起人を仰せつかった。
  • 2006年リーガロイヤルホテルで行われたドラッカー学会総会・ドラッカーを偲ぶ会に出席。上田惇夫代表、野田一夫顧問(「現代の経営」の監訳者、ドラッカーを日本に初紹介。多摩大学名誉学長)、小林薫理事(ドラッカーに関する著作は日本最多。産業能率大学名誉教授)、藤島秀記理事(ダイヤモンド社でのドラッカーの翻訳書の編集者。淑徳大学客員教授)などが挨拶。何人もの知り合いにあったし、新らしい出会いもあった。野田一夫「若い人が多くてびっくりした。定見にとらわれないのがドラカーの精神」。藤島「ドラッカーは日本の経営を自信をもって推進せよと言っていた。大いなる遺産を糧に」。ドラッカー学会会員はその当時、217名。経営者130人、学者30人ほど、コンサルタント22人ほど、マスコミ11人、、)毎日入会が積みあがっているとのことだった。
  • 2010年にNHKの「クローズアップ現代」で、ドラッカーを特集していた。飲食、介護、ゲームなど様々の業界の人がドラッカーの経営書を読んで刺激をうけているという内容だった。ゲストは、コピーライターの糸井重里さんとドラッカーの翻訳を一手に引き受けている上田敦生先生だった。糸井さんの独特の解釈を嬉しそうに訊いている上田先生の表情が印象的だった。
  • 2016年にオーディブルで上田惇生「60分でわかるドラッカー」を聴いた。ドラッカーの人生航路を追いながら、マネジメントの発明と進化を語る名講演だった。

ドラッカーの本は名言だらけであるが、その中で「21世紀に重要視される唯一のスキルは、新しいものを学ぶスキルである。それ以外はすべて時間と共にすたれてゆく」を、上田先生の遺言として採ることにする。過去に身に着けたものにこだわらず、新しいものを学んでゆく。その技術こそが、21世紀を活き活きと生きる知恵だということに感銘を受ける。人生とは学びの軌跡である。