「日本の権力構造」--佐高信(多摩大リレー講座)

k-hisatune2008-11-20

辛口評論家として有名な佐高信さんが本日の講師。草柳文恵さんを偲ぶ会でご一緒したのでご挨拶と最新本を贈呈。始まる前に数人で歓談。
佐高さんによれば、評論というものは辛口と決まっており甘口評論などというものは存在しない、とのことだ。

  • 権力構造を知るには、何がタブーになっているかを知ることが重要だ
  • 日本には、官僚国家と会社国家という二つの特徴がある。
  • 官僚国家とは、役人が大きな力を持っているということ。保守政治家で旧・大蔵省に逆らった人はいない。
  • 小泉と麻生の本質は同じで、両方とも大蔵省に乗った政治家だ。小泉は師の福田赳夫が出身の大蔵省が困ることはやらなかった。
  • 勲章では、政治家、官僚、民間経営者という順番になっている。
  • すぐれた経営者は勲章を拒否している。松永安佐衛門、木川田一隆などの経営者は拒否した。伊東正義も拒否。勲章は拒否した方が偉い。
  • 次官経験者でスキャンダルの前科のある武藤を日銀副総裁にし、総裁にしようとしたが失敗した。財政と金融の分離という原則の問題だ。
  • 麻生内閣では、この原則を破り中川に財政と金融を兼務させてしまってちる。
  • この国の本当の支配者は官僚である。大蔵改革が本当の改革である。そして外務省の改革。財務省と外務省の改革が必要だ。
  • 日本は会社が個人を縛ってきた国だ。会社教の存在、PHP教、トヨタ教、、。社宅とはサティアンだ。おかしいとおもわないか。
  • 私の雑誌での連載にストップをかけてくるのは大きな会社だ。経営者も単純になった。
  • 厚生労働省たたきに広告を引き上げることをちらつかせたトヨタの奥田発言などはその表れ。トヨタ批判の記事は少なくなるだろう。
  • ジャーナリズムは批判が仕事なのだ。
  • アサヒビールの樋口広太郎は「苦情は宝だ」といって社長自ら苦情を言ってきた人に電話をしていたように、苦情から学ぶ姿勢があった本物の経営者だ。
  • 一人一人がものを思う力を大きくしなければならない
  • 勉強とは知識を積み重ねることではない。騙されているのだ。
  • 新聞やテレビに接していてはだめだ。銀行や大企業とういスポンサーの圧力で、書けない、言えないことがあるのだ。
  • 城山三郎内橋克人佐高信という流れは「護憲」。長谷川慶太郎堺屋太一竹中平蔵という流れとの対立。
  • 会社国家の中で自由に言論を言うのは、戦いだ。
  • 城山三郎は、国家の勲章を拒否した人、憲法擁護の人、である。
  • 城山は「戦争で得たものは憲法だけだ」と語っていた。
  • 小泉・竹中ラインのやったことは格差の拡大路線だった。グリーンスパンも過ちを認めた。
  • 黒字・赤字でははかれないことがあるのだ。これが政治であり、パブリックというものだ。この部分が欠落した。
  • 「疑う力」が大事だ。民衆の武器は、「疑う、嘘をつく、逃げる」の3つだ。つかなきゃならない嘘があるのだ。権力者の嘘を見抜くことを教えよ。
  • 個人情報保護法は、権力の疑惑隠し法案だ。週刊誌つぶしの法案。城山さんにも税務署の脅しが入った。われわれの武器は「書くこと」しかない。

小泉純一郎平岩外四池田大作松下電器トヨタ公明党田原総一郎日経新聞カネボウ松下政経塾などをメッタ切り。
土門拳勲章逸話、城山三郎の葬儀で中曽根大勲位小泉純一郎の前での辻喬の「戦争ができる国になって残念だ」、自身の「勲章を拒否したことが偉い」と弔辞を述べたエピソードなど、とても聞かせる講義だった。
週刊金曜日」には広告がないから、本当のことが言える。この雑誌を買うことが本当のことを知るために必要ということだった。

本質をズバリと衝く発言、ユーモアに満ちた物言い、世の中をまっすぐにみている視線、そして何より言論人の「気概」というものを強く感じた。

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終了後、近藤節夫さん、秋田英澪子さん、八木哲郎さん、高橋さんと本日の講義を肴に楽しい歓談の時間を持った。