本質、歴史、博学、怒り、、−−三枝成彰さんの凄い講演

k-hisatune2009-09-18

多摩大コミュニティ・カレッジの最終日は、三枝成彰さんの講演と音楽会。
三枝成彰さんのお話は凄い内容だった。本質、歴史、博学、怒り、メリハリ、、、。ただ者ではない。歴史の中で今を生きている。目からウロコが落ちる話だった。

  • 日本における音楽と美術は、富国強兵策であった。音楽(例えばラッパ)は戦う軍隊に必要。 斥候には絵画の能力が必要。
  • 日本最初の軍楽隊は薩摩と長州。
  • 音楽が必修科目であったのは日本のみ。だから音痴がいない。カラオケが流行った理由はそれ。
  • 東京音楽学校は、音楽の先生をつくるための先生を育てるのが目的だった。
  • クラシック音楽。クラシックとは最高級、一番優れたという意味だ。ゴルフ、WBC、競馬などで使うクラシックは一番という意味
  • クラシック音楽は大衆を相手にしていない。一番優れた音楽。
  • ベートーベンは革命児。「音楽は芸術だ」と主張した。このことで功罪はあるが音楽の地位が高くなった。必ず正門から入った。
  • 14歳下のモーツアルトはベートーベンと違い技術者だった。使用人として裏口から入った。
  • ベートーベン以前は、音楽は家業だった。あるいは徒弟制度の中から生まれた。
  • ベルリオーズシューベルトなどのロマン派は、家業ではなく、独学だった。
  • カントは、「もっともくだらないのは音楽だ」「オカルトだ」「品がない」と述べている。音楽は近代合理主義に反するもの。
  • ベートーベンは、芸術とは数百年も生き続ける人類の財産だとした。人間のすごさを示すもの。
  • ベートーベンは、芸術として後世に残すものには番号を打った。
  • 第九は「王様と乞食は同じ人間である」というい主張だったから、25年間も演奏されなかった。アナーキーな危険は思想だった。
  • シンフォニーは男の音楽(言葉を伴わないから形式が必要)、オペラは女の音楽(言葉を伴う)。
  • 作曲家にもシンフォニー向き、オペラ向きというように、向き不向きがある。
  • ベートーベンは「頑張れば何とかなる」という音楽。代表が第九。戦前は全盛だった。男の時代。
  • モーツアルトは、逆だったから、戦後に流行った。女の時代。
  • 西欧の音楽には、メッセージ(思想)が必要。日本にはそういう要素はない。
  • マドンナは「イスラム教とキリスト教をつなごう」というメッセージがあるから人気がある。
  • ジョン・レノンは、ベトナム戦争を止めさせた人だ。政治的。
  • ベートーベン以後は、メッセージ性と他人との違いが重要となった。
  • 西洋音楽のすごさの一つは、楽譜を発明したことだ。正確に再演できるようになった。
  • 多神教から一神教キリスト教を普及させるために、聖歌を同じ日、同じ時間に歌う必要があり楽譜ができた。
  • 日本の能楽は200曲しか残っていない。楽譜がないから覚えるのは200が限界だった。
  • 邦楽は、キーを変えても許される。「追分」も大体似ているがみんな少しづつ違う。
  • 西洋音楽以外は、すべて即興演奏が中心である。
  • 音符は、7つの音と5つの濁音でのみ構成されている。
  • 西洋音楽のすごさの二つ目は、心地よさを感じるハーモニー(例えばドミソ)を捜しあてたことだ。たくさんの規則を体系化した
  • 日本の尺八、三味線、琴などは同じメロディーを奏でるが、西洋音楽は違い音を使ってハーミニーを奏でる。
  • 西洋における音楽は、天上をうつしだすものだった。音楽は世界全体を照らす。
  • キリスト教は快楽を否定する。(エデンの園の罰によち男は労働、女は出産)。人の官能をを刺激する音楽は悪い音楽。
  • 日本人は、快楽が好きな民族。昔から恋が許されていた、これは珍しい。
  • 中国では、1930年代に初めて恋というものがあることがわかった。恋愛小説はなかった。
  • 世界でも、親が決める結婚(売買婚、、)が8割。自由婚は2割しかない。
  • 500年前に日本に来たルイス・フロイスは日本では女が外泊することに驚いている。処女性を大切にしない。
  • 日本では酒に酔うことは、我を忘れることで、美しいことだ。西洋では、酔うと悪魔につけいるスキを「与えるから悪いことだ。
  • 西洋音楽は思想を伝えるもの。日本音楽は慰められるもの、心が安らぐもの。
  • 音楽の革命児は、ベートーベン、ジョン・ベルク、ジョン・ケイジ。それぞれ全く違うコンセプトの音楽をつくった。
  • ジョン・ケイジの現代音楽は、西田哲学、禅に影響を受けている。
  • 「どれだけ他人と違うか」がテーマ。
  • 三枝オペラ。「忠臣蔵」の最後のシーン。「私を殺して」「恋と忠義をはかりにかけて」「殺しておくれ」「あんたの腕に抱かれて死んでゆく」「うれしい、うれしいわ、、」、、、。凄いオペラだ!2月19-21日にオーチャードホールで再演。佐藤しのぶ。
  • 日本人は情緒を大切にする。西洋人は甘さを嫌う。
  • 日本人の最大の特徴は、「泣き」だ。
  • 2012年のオペラは、「神風」。特攻隊とは何か。300万人の死。8割が戦わずに死んだ。命令した人は死んではいない。こういった覚悟の無さ、無責任さに怒り。軍人恩給の闇。日本は独立自主外交はできない国だ。普通の国になる必要はない。

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