発明者の思ひを越えて原発ののたうちまはる怪物となりて

  • 今月末締め切りの母の歌集「明日香風」の書評を書き始める。日常詠、家族詠、職場詠、旅行詠、万葉詠、挽歌などがあるが、今回は時代の風と向き合う歌を「社会詠」ととらえ論評する。

水仙の咲けば思ほゆ敗戦後米と替へたる晴着の模様
外つ国に侵され続けし上海の林立のビルを江は映せり
文明の一つを育みしチグリス川愚かなる戦の血にて汚すな
スーパーが倒れてしばらく後に来しコンビニもたたむこの街の角
退却を転進といひ、全滅を玉砕、敗戦を終戦と言ひき
日の丸の旗かかげあり文化の日水色シートのホームレスの屋根
身捨つるほどの祖国を歌ふチェコの人羨しと思ふ苦難を思ふ
防人も新撰組も往き来せし多摩の横山は子の通勤路
人種の壁破りて黒人オバマ氏が大統領となる空は晴るるや
自民を見捨てて民主に失望したる票数千万票いづくへゆくらむ
発明者の思ひを越えて原発ののたうちまはる怪物となりて
田子の浦に打出でて見れど富士は見えずパルプ工場の煙たちつつ
からし菜を潮に揉みつつ折合ひのつかざる離婚調停おもふ
或はわれにも出来得じと思ふ説得をひとにしてゐて寒し胸もと
無条件降伏せし元ドイツ兵と夫との会話宵までつづく
南より北より常に侵されて「安寧」の挨拶交わす
円高を嘆きゐる子と原油安を喜びゐる子を夜半に思ひぬ
アラビアンナイトの国と思ひしにイラク人は人質を盾にぞ使ふ

  • ホームページへの来訪者がいつもより多く1500を超えている。原因は何かな。
  • 昨日、野田一夫名誉学長から電話があり、facebookの登録についての質問があり、そのことをfacebookに書き込んだら多くの人からの「いいね!」がついた。