リレー講座:寺島学長−−アメリカ大統領選など

多摩大・2016年春学期のリレー講座。
初回は寺島学長。

このリレー講座は8年が経過した。
のべ192回。受講者はのべ94961人。今期で10万人を突破予定。今期は一般442名、学生180名の計622名で、過去最高の受講人数。世話をする教職員はのべ257名。

  • 2015年現在で65歳以上は28%超。有権者の三分の一以上。若者が投票率が少ないため投票人口の4割が高齢者。老人による老人のための政治になっている。18歳からの投票の権利はぜひ行使を。
  • 時代認識を深めるには多面的に。鳥の目と虫の目)。二つの方法論。空間認識と歴史認識。戦後世代の問題「メルカトール図法で地理を学んだ。地球儀で考えない。逆さ地図」「日本近代史がブラックアウト。先生が逃げた。近代まで届かない。せいぜい司馬遼と大河ドラマ中韓は近代史は刷りこまれている」。
  • 問題意識の深化「戦後日本」、「20世紀」、「近代」、、。
  • 21世紀の15年:ICT革命と生命科学の進化。これによって歴史観も変更を迫られている。
  • 人間とは何か?2003年にヒトゲノムのDNA解読が終了。ヒトとチンパンジーは1.2%の差。個体差を考慮すると1.06%。それは言語・意思疎通に関わる能力。
  • 46億年前に太陽誕生。40億年前に地球誕生。2500万年前に新人類(サルと分離)。500-400万年前に猿人(チンパンジーと分離)。200万年前にアフリカ・タンザニアにヒト族生息。20-15万年前に新人=現生人類登場(ホムサピーエンス)。
  • 6万年前に人類はアフリカから出てグレートジャーニーで世界中に。3.8万年前に日本列島に到着。1万年前に農業で定住(時間概念)。5300年前にアイスマン。4000年前に縄文から弥生へ。2300年前にブッダ(慈悲)・孔子(それ恕か)・キリスト(愛)、マホメット誕生。自分の存在を問い内に向かった。自灯明・法灯明。1600年前に日本は古墳時代。紀元前600年に神武天皇。紀元239年卑弥呼の金印、、、。
  • 宗教:空海親鸞空海エンジニア論。薬学・土木工学・冶金工学。綜芸種智院(私立大学の原点。技術の体得)。東寺高野山(1000m)
  • アメリカ大統領選:米国は経済は順調(GDP:2013年+1.5%、+2.4%、+2.5%、2016年+2.6%)。悲惨比率=物価上昇+失業率:21012年10.15%だったが5.38%に改善。
  • 足下(2016年)の世界経済は減速傾向:米国+2.4%。欧州:212年−0.9%、−0.3%、+0.9%、+1.6%,2016年+1.5%。日本:2012年+1.7%、+1.4%、0.0%、+0.5%、2016年+0.5%、2017年−0.15%、2018年+0.4%と予測。新興国はひどい(2016年:ブラジル−3.8%、ロシア−1.8%、インド+7.5%、中国6.9%、アセアン54.8%)。
  • アメリカ大統領選:3つのポイント。NYC戦争・世代戦争・日米関係インパクト。
    • NYC戦争:トランプ(不動産)・クリントン(金融界)・サンダーズ(米の陰の部分)はNYCの象徴。NYCの責任。特殊なアメリカNYC。
    • 世代戦争:サンダーズ74歳、トランプ69歳、クリントン68歳。JFK43歳、Bクリントン46歳、オバマ46歳。共和党には有望な若い人はいたがトランプの登場でいなくなった。1946年生:Bクリントン(徴兵拒否・フリーセックス・ドラッグ)・トランプ(不動産王)・マイケルミケルソン(ジャンクボンドの帝王・金融工学)などいかがわしい。日本の1946年生:団塊世代菅直人鳩山由紀夫・仙谷。美しい言葉、コンテンツがない。政策科学まで突っ込まない。
    • 日米関係へのインパクト:クリントン(ジャパンハンドラー。現状固定化)。トランプ(ジャパンバッシャー90年代初頭。フリーライダー論は事実認識に欠ける。7割は日本負担)。

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「名言との対話」4月14日。上坂冬子

  • 「職場での仕事なんて、はっきり言ってつまらないものが多い。そのつまらない仕事をどうやりこなすか、そのつまらない仕事を通じて自分をどう鍛えてゆくか、自分なりに考え、自分なりの手作りの生きがいを持つことが大事だと思う。」
    • トヨタ自動車で働くOLであった経験を、後に本に書いて当時のサラリーガールたちから歓迎された。「職場の群像」で第1回中央公論社思想の科学新人賞を受賞したことを機に会社に居づらくなり、文筆活動をはじめる。婦人問題の評論、昭和史・戦後史にかかわるノンフィクションをテーマとすし、膨大な著作と社会的発言があった。4月14日、永眠。
    • 若い頃の失恋体験から生涯独身を通し、倹約してアパートを建て、やがて4階建てのマンションを建ててテナントを入れ、自らは最上階を専有し、経済的な心配がなくなってから心置きなく執筆活動に打ち込んだ。
    • 仕事は取り組み方次第だ、とベテランOLだった上坂は言う。お茶くみも含めてつまらない仕事も自分を鍛える材料だ。働きがい、生きがいとは、与えられるものではない、手作りで自分で創りあげていくものなのだ。会社勤めで得たであろうこの言葉には真理がある。