最近知り合った編集工房を主宰する谷村和典さん(俳号は鯛夢)から「俳句」の著書を2冊贈っていただいた。
石寒太・谷村鯛夢「いきいき健康「脳活俳句」入門」(ペガサス)を読了。
- 作者: 石寒太,谷村鯛夢
- 出版社/メーカー: ペガサス
- 発売日: 2015/05/16
- メディア: 単行本
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以下、気に入った俳句をピックアップ。
石寒太(「炎環」主宰)
葉桜のまっただ中へ生還す
見舞ひ妻桜の真下帰りけり
生も死もたった一文字小鳥来る
かろき子は月にあづけむ肩車
漱石(漱石の俳句は好きだ)
菫(すみれ)ほどな小さき人に生まれたし
飯蛸の一かたまりや皿の藍
生きて仰ぐ空の高さよ赤蜻蛉
虚子(子規の「写生」を一歩進めて俳句人口を広げた功労者)
大勢の子を育て来し雑煮かな
春風や闘志抱きて丘に立つ
久保田万太郎
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
金子兜太(1919年生まれ。未だ現役の怪物)
酒止めようかどの本能と遊ぼうか
今を生きて老い思わず去年今年
おい癌め酌みかはそうぜ秋の酒(滋酔郎:江国滋)
紅葉で神が染めたる天地かな(小林凛:小学生俳人)
熱燗の夫にも捨てし夢あらむ(西村和子)
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谷村鯛夢「胸に突き刺さる恋の句−−女性俳人 百年の愛とその軌跡」(論創社)を読了。
- 作者: 谷村鯛夢
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2013/03
- メディア: 単行本
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以下、心を打った句をピックアップ。
我が恋は林檎の如く美しき(中川富女)
そなさんと知っての雪の礫かな(沢田はぎ女)
鳴神や、仁王の臍の紙礫(平塚らいてう)
呪ふ人は好きな人なり紅芙蓉(長谷川かな女)
啓蟄や走る自動車皆とまれ(かな女)
青柿落ちる女が堕ちるところまで(かな女)
短夜や乳ぜり泣く児をすてっちまをか(竹下しずの女)
花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ(杉田ひさ女)
足袋つぐやノラともならず教師妻(ひさ女)
月光にいにち死にゆくひとと寝る(橋本多佳子)
着きてすぎわかれの言葉霧の夜(多佳子)
雪はげし抱かれて息のつまりしこと(多佳子)
しゅうせん(ブランコ)は漕ぐべし愛は奪ふべし(三橋鷹女)
白露や死んでゆく日も帯締めて(鷹女)
ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜(桂信子)
羅(うすもの)や人悲します恋をして(鈴木真砂女)
借財のなき身のかろさ葱鮪汁(ねぎまじる)(真砂女)
香水やその夜その時その所(武原はん)
人の手がしづかに肩へ秋日和(七菜子)
抱擁や初髪惜し気なくつぶす(品川鈴子)
水着選ぶいつしか彼の眼となって(黛まどか)
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オーディブル
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「名言との対話」5月15日。犬養毅。
- 「順境とか逆境とか、貧富とかいふことを苦にするとせぬは、畢竟目的が定まって居るか居らないかにある」