「子ができて川の字なりに寝る夫婦」(柄井川柳)-渡部・谷沢

k-hisatune2009-05-05

ある雑誌で渡部昇一谷沢永一という二人の碩学が対談をしていた。この二人は万般に通じてるのでどの対談も面白い。

今回のテーマは「川柳」である。


「俳風柳多留」(柄井川柳)から

  • 子ができて川の字なりに寝る夫婦
  • おい女房乳を飲ませに化けて来い
  • 米つきに所を聞けば汗をふき
  • 取揚婆(とりあげばば)屏風を出ると取り巻かれ
  • はげ頭能(よ)い分別をさすり出し
  • 医者衆は辞世を誉めて立たれたり
  • 道問えば一度にうごく田植笠
  • 母の名は親父の腕にしなびて居

「日本史伝川柳狂句」(岡田三面子)から

  • 武蔵坊とかく支度(したく)に手間がとれ
  • 清盛の医者は裸で脈をとり
  • 生つばき吐き吐き巴切て出る
  • 浮草へむだに深草通いつめ
  • 江戸ならば深川辺りに喜撰住み
  • 只ものを人に遣るさへ上手下手
  • 三平二満(をとごぜ)の男ずれぬをとり得にて
  • 口に似ぬ女房ぎらひの子を持(もち)し
  • 内藤はちょいと書物を横に置き
  • 学者虚して曰く少ないかな腎
  • 五戒より和尚厄介保ってる
  • 江戸っ子の生まれそこない金を貯め
  • 金持ちをみくびって行く初鰹
  • お釈迦様生まれ落ちると味噌を上げ
  • 浪人は長いものから食い始め

「川柳雑俳の研究」(麻生磯次

  • 三回目箸一膳の主となり
  • 月落ち鳥啼いて女房腹を立て
  • なぐさみに女房のいけん聞いて居る

谷沢「、、開高が「会食をする時に、皆を笑わせる小話をちゃんと用意してこない者は、罰するべきである」と言っていました。、、」
渡部「川柳にはユーモアだけでなくウイット(機智)もあるし、サタイア(風刺)もあります。」
渡部「ユーモアを養うためにも、普段から教養や知性を磨いておくと同時に、心に余裕を持たなければなりませんね。」


なかなか面白かったが、私は20年以上も続いている「サラリーマン川柳」のファンだ。
http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/index.html