ある雑誌で渡部昇一と谷沢永一という二人の碩学が対談をしていた。この二人は万般に通じてるのでどの対談も面白い。
今回のテーマは「川柳」である。
「俳風柳多留」(柄井川柳)から
- 子ができて川の字なりに寝る夫婦
- おい女房乳を飲ませに化けて来い
- 米つきに所を聞けば汗をふき
- 取揚婆(とりあげばば)屏風を出ると取り巻かれ
- はげ頭能(よ)い分別をさすり出し
- 医者衆は辞世を誉めて立たれたり
- 道問えば一度にうごく田植笠
- 母の名は親父の腕にしなびて居
「日本史伝川柳狂句」(岡田三面子)から
- 武蔵坊とかく支度(したく)に手間がとれ
- 清盛の医者は裸で脈をとり
- 生つばき吐き吐き巴切て出る
- 浮草へむだに深草通いつめ
- 江戸ならば深川辺りに喜撰住み
- 只ものを人に遣るさへ上手下手
- 三平二満(をとごぜ)の男ずれぬをとり得にて
- 口に似ぬ女房ぎらひの子を持(もち)し
- 内藤はちょいと書物を横に置き
- 学者虚して曰く少ないかな腎
- 五戒より和尚厄介保ってる
- 江戸っ子の生まれそこない金を貯め
- 金持ちをみくびって行く初鰹
- お釈迦様生まれ落ちると味噌を上げ
- 浪人は長いものから食い始め
「川柳雑俳の研究」(麻生磯次)
- 三回目箸一膳の主となり
- 月落ち鳥啼いて女房腹を立て
- なぐさみに女房のいけん聞いて居る
谷沢「、、開高が「会食をする時に、皆を笑わせる小話をちゃんと用意してこない者は、罰するべきである」と言っていました。、、」
渡部「川柳にはユーモアだけでなくウイット(機智)もあるし、サタイア(風刺)もあります。」
渡部「ユーモアを養うためにも、普段から教養や知性を磨いておくと同時に、心に余裕を持たなければなりませんね。」
なかなか面白かったが、私は20年以上も続いている「サラリーマン川柳」のファンだ。
http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/index.html