浅田次郎「日本の『運命』について語ろう」

浅田次郎「日本の『運命』について語ろう」(幻冬舎)を読了。

浅田次郎の小説は比較的読んでいる方だと思うが、JALの機内誌のユーモアのあるエッセイも愛読している。
浅田は3つのテーマで小説を書いている。
幕末、近代、そして中国の近代である。
その理由はきちんと教えてもらっていない近代以降の歴史が対象だ。
現在に近い歴史ほど大事だ。歴史を学ぶのは今を生きている自分の座標、つまり立ち位置を知ることが必要だからだ。

私も同じ考えだが、高校は日本史は選択科目になっているのには驚いている。自国の歴史が選択とは、、、。

日本の「運命」について語ろう

日本の「運命」について語ろう

浅田次郎の小説は、多様なジャンルの、様々の時代を描いているようだが、自分自身が知りたい対象である近代がテーマということなのだろう。それは自分の立ち位置の確認作業であり、その研究成果を小説という形で読者に提示しているということになる。同世代として、よく理解できる。

江戸時代は260年あまりにわたって戦争をしなかった。世界中で、有史以来初めてのことだ。この間に、制度、文化、習俗、考え方が熟成され、その果実が今も私たちの基盤となっている。
同様に、第二次大戦後70年も戦争に巻き込まれていないことも珍しいことだ。
ということは、この1603年の江戸幕府の開府からの412年間で、対外戦争をした期間は1894年の日清戦争からのわずか50年ほどになる。
このことも大事にしないといけない。現在の私たちが踏み固めるべき歴史だ。

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命日。
大坂志郎:孝行したいときに親はなし。さりとて、墓に布団は着せられず。

誕生。

  • アラン:楽天主義は意志の所産だが、厭世主義は人間が自己を放棄したときの状態である。
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オーディオブック「昭和史・戦後編」を再び聴き終えた。

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