中原淳一展(昭和館)。山口晃展(横浜そごう美術館)

九段の昭和館で「中原淳一展」を観てきた。

中原淳一(1913-1983年)は「少女の友」「ソレイユ」などで女性を描いた画家であり、後年はファッションデザイナーとしても勇名をはせた。
45歳心臓発作、46歳脳溢血、59歳発病、70歳没と病気に悩まされた人生でもあった。
二宮金次郎が抒情家になったのではないか」(杉浦幸雄)と言われる画風だった。

  • こんな時代を乗り切って美しく愉しくといふのは、結局知性を高め、工夫する精神と美しさをキャッチする眼を肥やすことであろう。

横浜そごう美術館で「山口晃展」を観てきた。
山口晃(1916-)は、古今東西のあらゆるモチーフを緻密な描写で巧みに再構成する作風。
2001年には第4階岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞を受賞している。
浅田次郎「一路」、ドナルド・キーンの著書など多くの作家の表紙絵も担当している。

「現代の大和絵」といわれる超絶的な鳥瞰図法は魅力がある。現代の風景や建物に、中世、近世、近代、そして現代の人物が違和感なく配置されている。空間だけでなく、時間をも含めた大きなる鳥瞰図といえようか。現代の会田誠とよく対比される。
また江戸末期から明治にかけて活躍した河鍋暁斎を「古いものから新しいものからも一歩も逃げないで、それらを伝統的な筆法、画法で片っ端から捌いてゆく」と高く評価しているのはわかる気がする。山口は岡倉天心フェノロサは外発性の高井人工的な代物に見えると、近代日本画を批判している。

ヘンな日本美術史

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