「コクリコ坂から」(企画脚本・宮崎駿、監督・宮崎吾朗)

スタジオ・ジブリの新作アニメ「コクリコ坂から」を観る。


少女漫画のさわやかな青春ドラマのアニメ化作品。企画・脚本は宮崎駿、監督は宮崎吾郎宮崎吾郎ゲド戦記に続く二作目の作品。
東京オリンピックの前年1963年5月の横浜が舞台。学園紛争で出会うふたりは、戦争と戦後の混乱期の中で、ふたりの親たちがどう出会い、愛し、生きたかを知っていく。
「観客が、自分にもそんな青春があったような気がしてきたり、自分もそう生きたいとひかれるような映画になるといいと思う」と2010年1月27日に宮崎駿が書いている。その狙い通りのアニメになってはいると思う。特に何かメッセージがあるわけではないが、親子の情愛と男女の恋愛を散りばめた懐かしい感じのする気持ちのいいアニメである。「あたり前田のクラッカー」など当時の世相がよく盛り込まれていた。

監督の宮崎吾郎(1967年生まれ)は、「前の世代によって築かれたものは大きくて、頑丈で、歯が立たないかもしれない。でも乗り越えていけないものというわけじゃないんだ。」と述べて、親父の書いたシナリオに負けたくなかったために人生で初めて必死になった。そして自分の実力以上のものになっていったと述懐している。
吾郎は信州大学農学部卒業。公園緑地や都市緑化などを手がける建設コンサルタント。98年から三鷹ジブリ美術館の総合デザイナー。01年から05年まで館長。04年には芸術選奨文部科学大臣新人賞芸術振興部門を受賞。

珍しく観客はいっぱいだった。若い男女が多いが、中年もちらほら。