アランの「幸福論」--楽観主義は意志によるものである

「幸福論」と銘打った本がいくつかある。古典もあるし、現在の賢人の書もある。
その一つ「アラン 幸福論」(岩波文庫)を読了。

幸福論 (岩波文庫)

幸福論 (岩波文庫)

アラン(1868−1951年)は、フランス人で高等中学校の哲学教師。
新聞に20年以上にわたって「プロポ」(哲学断章)を毎日書き続けた。その量は日本語換算で400字詰で4.5枚前後(1800字)になる。プロポというのはアランがつくりだした文学形式だ。執筆時間は2時間。書きたい日も書きたくない日も毎日書いたそうだ。総計は5000。アランは現代のブロガーのようだ。

この中から幸福に関する93を取り出して「幸福論」としてまとまった本は、フランス文学の傑作と言われ、日本でもよく読まれてきた。
「いらだつこと」「憂鬱」「医学」「悲劇」「宿命」「運命について」「心遣い」「夫婦」「賭け」「エゴイスト」「労働」「大げさな言い方」「とんまな人間」「ストア主義」「友情」、、、など幸福に何らかの関係がありそうな項目が並んでいる。

アランは読者は「幸福概論」を期待しているが、幸福は細切れに分けられているものだと言う。この中から、共感を感じるものを取りだしてみたい。

  • 人間が幸福であるというにおは、何かを欲する時と、つくり出す時だけである。、、仕事というものはすべて、自分が支配者であるかぎりはおもしろいが、支配されるようになると、おもしろくない。
  • 自分でつくる幸福、、、それは学ぶことだ
  • 自由に働くのはもっとも他の紙が、奴隷のように働くのはもっともつらい。
  • あの仕事に専念した幸福な人びとをごらんなさい。みんな始めている仕事に精を出している。
  • 憂鬱な人に言いたいことはただ一つ。「遠くをごらんなさい」。
  • 上機嫌療法
  • 脳細胞にマッサージを与える方法、、、考えを変えるだけでよいのだ。
  • 愛の情念は健康によいものであるが、憎悪は反対に、悪いものだ
  • しあわせだから笑っているのではない。、、笑うからしあわせなのだ。
  • 仕事を規則正しくすること、そして困難を、さらなる困難をも乗り越えること、これがおそらく幸福に至る正道である。、、、幸福とは、報酬など全然求めていなかった者のところに突然やってくる報酬である。
  • 幸福になる方法、そのための第一の規則は、自分の不幸は、現在のものも過去のものも、絶対他人に言わないことである。
  • 悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである。

アランは自分自身を「あのわざとらしい楽観主義、あの盲目的な期待、あの自己欺瞞」と非難した男の言葉を紹介している。意志の所産である楽観主義が幸福を招くようだ。

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朝の散歩で発見。


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