若者の歴史上の偉人に対する感性

朝8時50分からのビジネスモデル論の講義(教員7人のオムニバス形式の講義)では、まず新カリキュラムの中では私は人的資源管理とキャリアデザインを担当する教員であること、そして図解コミュニケーションという分野を開拓中であることから、この観点からビジネスモデル論2回分を「ビジネスモデルと人的資源管理」というテーマで図解を用いて講義するという前提を説明する。


前半は、梅棹忠夫の「文明の生態史観」、野田一夫の「大学の事業構想」、寺島実郎の「国家の事業構想」などを図を用いて紹介しながら、事業構想について語った。

学問とはモデル形成であり、モデルとは図である。優れた図に結実できたら新しい理論ができたということである。


そして、本番の後半では、明治の大事業構想家・後藤新平の子どものこ頃からの足跡を紹介しながら、ビジネスモデルを語ってみた。板垣退助北里柴三郎ビスマルク児玉源太郎新渡戸稲造杉原千畝原敬など後藤の人生行路に現われる傑物たちも紹介する。

後藤は、残した言葉が実にいい。90人ほどの学生たちは、ボーイスカウト総裁時につくった自治三訣「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そして酬いをもとめぬよう」という言葉にもっともよく反応していた。


私にとっては新しい講義テーマであり、久しぶりに真面目に準備し、珍しくしゃべりっぱなしの講義となった。授業後に回収した授業アンケートからは、日本の歴史への関心や、人物記念館の旅への共感、新しいビジネスモデルの体現者である後藤新平への驚きと尊敬、そして事業構想やモデルの意味への理解などがうかがわれた。ある学生は祖父が自分に語ってくれた言葉が実は後藤の自治三訣だったと知って驚いていた。坂本龍馬杉原千畝石ノ森章太郎などの記念館について記した学生もいた。


アンケートでは「文明の生態史観」の考え方への驚きと共感、「大学の事業構想」に対する誇りにも言及が多かったし、若い人たちの偉人(後藤新平)の言動に対する感性はとてもいいと感じた。