「寺島実郎の視座−−2009年の総括と2010年の展望」

夕刻19時から、「寺島実郎の視座−−2009年の総括と2010年の展望」というタイトルの講演会(GIN総研主催)が日本工業倶楽部で行われた。200人近くの人が静まりかえって一言一言に聴き入った。

「相関という知」「大中華圏」「米国東海岸訪問で世界戦略に関わる人々と会ったが、日米関係の現状を知らない」「経済と軍事の両輪で日米戦略対話が必要」「平成の条約改正(日米関係)を」「常識に還れ(軍隊の長期滞留)」「日本をとりまく脅威とは何か」「日米安保ビンのふた論」「東アジア共同体へ向けてプロジェクトを積み上げていく」「無極化時代には筋の通った理念が必要」「「日本の非核平和主義が説得力を持ったキーになってくる」「限りないファシズムへの予感」「知性が問われている」「一日なまければ日本が一日遅れる(秋山真之)」「09年上期の物流。米国13.5%、中国20.5%、大中華圏30.6%、アジア49.4%」、、、。

会場には、企業、メディアなどの関係者が中心だが、多摩大関係者、インターゼミの学生達も6人ほど参加。電源開発の元社長、ジャパンFMネットワークの大河内さん、田村学園の田村常務理事、プレジデント社の阿部さんなどと歓談。

配られた「世界」1月号の「脳力のレッスン」は「赤胴鈴之助月光仮面−−問いかけとしての戦後日本(その8)」が面白かった。素手と気合いで空気を動かし相手を倒す術である赤胴鈴之助の「真空切り」は、戦争を放棄し平和主義に徹する戦後日本の姿に通じる。「正義の味方」「月よりの使者月光仮面」は当時日本のモノづくりを牽引していたオートバイ産業のオートバイに乗って現れた。今、うっすらと赤胴鈴之助月光仮面を期待する受け身の心理がどこかに潜在している。以上のような論考だった。


この講演会の前に、丸の内の丸善で本を眺める時間があった。一階の入ってすぐ左には、「松丸本舗。松岡、丸善丸善、主宰。松岡正剛、編集。 」というタイトルのコーナーが設置されていた。千夜千冊の松岡正剛丸善のコラボレーションで、著名人の本棚そのものを見せるという趣向らしい。http://www.matsumaru-hompo.jp/
丸善にはあらゆる本が並んでそれぞれが自己主張をしているが、特設コーナーに飾ってある本は、結局「生き方」に関係するテーマばかりだと改めて思った。経済も政治も古典も、生き方と関係して読まれている。ベストセラーコーナーでは、寺島実郎さんの「世界を知る力」(PHP新書)が9位に入っていた。わたしの名前で検索すると57冊がヒットした。
勝海舟の「氷川清話」の幕末から明治にかけての人物評が面白かったので購入。藤田東湖「本当に国を思うという赤心がない。」、西郷南洲「いわゆる天下の大事を負担するものは果たして西郷ではあるまいか」、佐久間象山「物識りだったヨ。、、しかし、どうも法螺吹きで困るよ。」、木戸孝允「西郷などと比べると非常に小さい。しかし綿密な男さ。使い所によりては、ずいぶん使える奴だった。」、陸奥宗光「ひとの部下について、その幕僚となるに適した人物、」、、、。勝海舟の人物を見る眼は冴えている。

講演終了後は、八木哲郎さんとコーヒーを飲みながら、歓談する。

昼間は、予算委員会。その後、学部長の諸橋先生とじっくり意見交換。