画家・安野光雅さんは1926年生まれだから86歳。次第に人気が高くなり重みが増していく人だ。
この画家は、絵もさることながら文章もうまくエッセイもいい。
まず、記憶力がいい人だ。子供の頃からの想い出も細かく記している。それは観察力に優れているからだろう。そして徹底的に調べる人でもある。
絵はただイメージで描くというのではなく、この人の描く分野は具体性が求められる場合が多いので、こういう力が必要なのだ。
安野は「絵本」というじジャンルで「平家物語」、「三国志」、「ガリバー」、などの古典を表現しようとしている。人形師、漫画家など独特の表現技術を得た人が必ずたどる道である。
安野光雅美術館のある津和野にはぜひ行ってみたい。西周、森鴎外などの故郷。
仙台文学館で開催中の「井上ひさしと安野光雅展」の初日で買った本を読みながら新幹線で帰った。
「絵のある自伝」から

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- 父が死んだのが72だったから、わたしも72をすぎたら死んでもいいとおもうようになっていた。司馬遼太郎さんが亡くなったのも72の時だった。
- 司馬さんは気配りの人だたっというが、上下の隔てがまったくなかった。
- 司馬さんの描く絵は、とても味わい深いもので、たとえば「アメリカ素描」の表紙などをミリと。わたしは気後れがするのである。
- 司馬さんは「絵に描いたリンゴと本物のリンゴとでは、どうして絵のほうがいいんだろう」と難題を持ちかける。いつか明解に答えようと思いながら今日に到っている。
- 「シベリアの抑留生活は大変だったでしょう」と聞かれた佐藤さんは、わらって「彫刻家になるための労苦をおもえばあんなものはなんでもありません」といってのけた。
- 「彫刻家と人が認めてくれたとき、五十歳を越えていた」
「絵本平家物語」から。

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- その旧跡を訪ぬれば、むかしのk時間も帰ってくると考えられるかも知れ?ぬ、、、、、そこにたてばなにほどかの感慨はわき起こるのである。、、地霊というものがあって、それが私に灌漑や情景をもたらすのだ、、、
- ほとんどの人物は差引ゼロという感じになっている。
それにしても「平家物語」の冒頭は心に響く。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす。
おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。