「森信三 一日一語」--仰ぎ見る師匠の存在

「森信三 一日一語」(寺田一清・致知出版社)。

森信三一日一語

森信三一日一語

本物の日本人の条件「仰ぎ見る師匠の存在」に関わる言葉。

  • 天下第一等の師につきてこそ人間の真に生甲斐ありというべし
  • 一人の卓れた思想家を真に読みぬく事によって、一この見識は出来るものなり。同時に真にその人を選ばば、事すでに半ば成りしというも可ならむ。
  • 教育とは人生の生き方のタネ蒔きをすることなり。
  • 人はすべからく、終生の師を持つべし。真に卓越せる師をもつ人は、終生道を求めて歩き続ける。その状あたかも、北斗七星を望んで航行する船の如し。

「自分史」

  • 人間は何人も自伝を書くべきである。それは二度とないこの世の「生」を恵まれた以上、自分が生涯たどった歩みのあらましを、血を伝えた子孫に書きのこす義務があるからである。
  • 一眼は遠く歴史の彼方を、そして一眼は却下の実践へ。

森信三は、国民教育者の師父、日本的哲学の継承者、「生き方」教の教祖であると前書きにある。本人は「全一学」と呼んでいる。森信三が尊敬しているのは、中江藤樹石田梅岩、三浦梅園、慈雲、二宮尊徳。そして西洋ではプロチノスとスノザである。

1896年生れ。広島高等師範、京都大学哲学科、大学院を卒業。旧満州の建国大学教授、神戸大学教育学部教授。70歳にして「全集」25巻の出版刊行に着手。89歳「続全集」8巻完結。97歳逝去。
森信三は日本の高等師範という伝統が生み出した優れた教育者だった。いずれこういう書を書きたいものだ。