「九州大学探検部 50年の軌跡」が届く

九州大学探検部 50年の軌跡」(九州大学探検会)が届いた。246ページと大部。

探検部の創部は1964年となっている。
1964年当時20歳の学生は、それから50年経っているから70歳だ。
つまり一期生たちは、戦後70年を生きてきた人たちであり、探検部は戦後70年を生き抜いてきたということになる。
私は1969年入部(入学)であるから、探検部の草創期を過ごしたことになる。

韓国済州島(1968年)、尖閣列島調査(1970年)、中国可可西里学術探検隊(1994年)、台湾太魯閣国家公園内洞窟調査などの写真が並んでいる。続いて、登山、洞窟探検、カヤッキング、ダイビング、沢登り、ロッククライミングなどが主たる分野として紹介されている。

60年代が学術探検志向。
70年代の前半は、学園紛争の影響を受けて学術探検への疑問の時代。
70年代後半から80年代は、学生部員の増加により山・ダイビング・ケイビング・フィールドワークに方向転換。
90年代初頭は各分野の突出した人材による活動。
90年代半ば以降はシーカヤックの隆盛。
2000年代初頭は部員数の増加によってフィールド活動が活発化。事故による部員数の減少。
2006年頃からクライミング、サバイバルなどが盛んになった。
大雑把に総括すると以上のようになる。

私は1970年、1971年に活動。71年度はキャップ。以下、関わったプロジェクト。

  • 1970年:大学紛争も落ち着き、正式に文化系サークルとして承認を受ける。部室も確保し活動を再開する。(俳句部より部室を奪取)
  • 1970年:大崩山新入生歓迎合宿。
  • 1970年・71年:岩屋鍾乳洞合宿調査(第10次ー12次)
  • 1970年:奄美群島調査隊(九大・長崎大合同)。−−−洞窟班に所属し活動。
  • 1971年6月:九大祭模擬店に探検料理(ヘビ・カエル)を出店し好評。
  • 1971年7−8月:八重山群島遠征隊---リーダー。

1971年11月:九州地区探検部連絡会議(九探連)を結成。九大・長大・鹿大・福教大・佐大。

この「50年の軌跡」の中で、私は「70年代 学園紛争を経て学生中心の活動へ」の章で、「ある探検人生」--外的世界の拡大は、内的世界を深化させる」という長い文章を書いた。

  • 「探検部員時代」--「部室乗っ取り作戦成功す!」「八重山群島遠征」
  • 「探検精神と知的生産」-「-就職という問題」「夢宙人の会を結成-KJ法・NM法を学ぶ」「札幌空港支店白書をつくる」「「オマーン王国の研究」「ロンドン空港労務事情を書く」「知的生産の技術研究会との出会い」「尊敬する上司との出会い--客乗白書を編集」「広報部-社内広報誌と社外広報誌という知的生産」「図解コミュニケーションの発見」「大組織の改革の最前線へ」「ビジネスマンから大学教員への転身」「宮城大学時代」多摩大学時代」。
  • 「人生という長い時間と広い空間の旅人として、学生時代に身に着けた「探検精神」を発揮しながら、成果を「知的生産」として残すことを心がけてきたとは言えるような気がしています」(最後のまとめ)

最後に学生時代に創った「九州大学 探検部 巻頭言!」を、歴史に残すために掲載。

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いざや聞け、我等ロマンチストの歌声を!
いざや歌わんかな、誇らかなる感情の高揚を持ちて!

あまた多くの女に愛されし我等といへども!
 初恋の君に流す涙の純情を誰が知る! 

あまた多くの友を得し我等といへども!
 君に流す惜別の涙を誰が知る!

薄青き順風の帆をあげてはるかなる海の彼方、夢多き君よ何処へ!
流れくる逆風つきてはるかなる山の彼方、望多き我等は何処へ!

 あるは、とうとうと流るる大河を渡り!
 あるは、白銀輝く峰々をかけ!
 あるは、烈風吹きすさぶ野分をつきて!
 あるは、鳥も通わぬ絶海の孤島へ!

月影淡き丘に座せ、我はつく一杯の酒!
 君よ飲め、恍惚の美酒!
 そして行け、若き血潮のなすがまま!

不浄なる巷をおそへ、高き蛮声!
 ああ、うたわずや、たたえずや、 
 男のロマン、男の純情!

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九大探検部を彩った先輩、同輩、後輩の報告や感慨がつまったこの「50年史」を紐解きながら、じっくりと楽しむことにしよう。

「名言の暦」12月28日
命日

  • 安達峰一郎1934:
  • 横溝正史1981:
  • 斎藤十一2000:芸能人には引退があるが、芸術家にはない、書きながら柩に入るのが作家だ
  • 永谷嘉男 2005:小規模な企業が生き残るには、局地戦に勝て。

生誕

  • ウイルソン1858:勝利の第一の秘訣は早起きだ。
  • 井植歳男1902:困難にあわない人生はあり得ない。もしあるとすれば、それは怠けている証拠である。