「人口波動学」と「幸福塾」と「回想録」と。

「人口学」の古田隆彦先生と橘川幸夫さんと目黒で食事。

深呼吸学部の新学科「古田隆彦の人口波動学」の相談。以下、10回のテーマ案。

第1回 人口波動とは何か 。 第2回 人口波動を作り出す3大要素。 第3回 人口はなぜ波を打つか? 第4回 文明転換は時代識知が引き起こす。 第5回 人口波動で読む精神史。 第6回 原始観念→宗教→科学。 第7回 人口波動で未来を読む。 第8回 ポストコロナはル・ルネサンスへ向かう! 第9回 日本は「平成享保」から「令和明天」へ! 第10回 超マクロ視野で展望する22世紀。

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私も新学科「幸福塾」を提案しておいた。

 

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今日のヒント「幸福」。『60歳からの新・幸福論』(宝島社)を読了。

  • 曽野綾子「プロの仕事は道楽なんです」
  • 弘兼憲史「誰かに喜ばれながら自分が満足できているというのが、一番幸せなんじゃないでしょうか」
  • 志茂田景樹「作品を書くという営みが、幸いなことに今でもチャレンジになています」
  • 萩原博子「老後はお金がなくても、夫婦仲がよければそれだけで幸せなもの」
  • 池田清彦「誰か尊敬してくれる人がいれば、お年寄りは幸福なんだよ」
  • 鈴木秀子「人生には、自分が不幸だと感じたら、どんな小さなことでもいい、何か人のためになることをしなさいという鉄則があります」
  • 中村仁一「がんも何もしなかったら痛まないままスーッと穏やかに死んでいけるんです」
  • 内海桂子「年齢はもう100に近いけど、「老後」という考えはないね」

夜にJAL広報部時代の上司の柴生田さんから電話あり。『子ども地球歳時記』(日本地域社会研究所)がディスカバー社のe-book電子書籍になったとの報告。

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「名言との対話」12月2日。アレクサンダー・ヘイグ「国家の生存を律するものは、個人の場合と同じように、肯定的姿勢であって、タブーではない」

アレクサンダー・メグス・ヘイグ・ジュニア(英語:Alexander Meigs Haig, Jr.、1924年12月2日 - 2010年2月20日)は、アメリカ合衆国の政治家。レーガン政権の国務長官

陸軍士官学校を卒業後、コロンビア・ビジネススクール経営管理学を学ぶ。また1961年にジョージタウン大学から国際関係論の修士号を取得。陸軍ではマッカーサー将軍下で朝鮮戦争の英雄、次いでベトナム戦争の英雄となる。

ニクソン大統領政権下の国家安全保障問題担当大統領副補佐官(補佐官はキッシンジャー)。陸軍参謀次長。陸軍現役のまま大統領首席補佐官となった。 欧州におけるNATO軍、欧州連合軍最高司令官及びアメリカ欧州軍司令長官を兼務した。

1981年1月、レーガン大統領によって国務長官に指名される。1982年4月にアルゼンチンがフォークランド戦争などに対処した。

ヘイグ国務長官はライバルのソ連については「困難に満ちた海に漂っている」と認識し、中国ほど戦略的に重要な国はないという考えだった。共産主義国は同じだとして危険だとする大統領と考えを異にした。世界観の相違である。またレーガン大統領暗殺未遂事件の時には、「私がここを統制している」と記者団の前で主張して問題となった。 こことはホワイトハウスのことだ。「大統領の承継順位と、大統領が任務遂行不能となった時にどうするかを規定する修正第25条との双方に関してアメリカ合衆国憲法を解釈を誤」るとして追及された。ヘイグは6月に辞任している。

1985年に上梓した『ヘイグ回想録 警告』(下巻)を読んだ。

レーガン大統領の2期目の選挙の直前に刊行された「警告」の書である。レーガンに仕えた18カ月を見たままに書いている。それは大統領への尊敬の念と義務感からのものだ。ヘイグはレーガン大統領については、自信に満ちた態度で国民の道徳的力を復活させたと高い評価をしている。

ホワイトハウスにおける生々しい権力闘争と、内政と外交の絡み合いという現代ドラマを描いているから読ませる内容となっている。そして分裂している官僚、あいまいな権限、不明瞭な決定過程、事件相互の関連性認識の欠如を指摘し、それらをレーガン大統領が知性と分別で克服することを願っている。

国務長官経験者からみた外交については、国家の価値観を反映するものであること、そして他国にその価値観の擁護を求め、重荷を分かち合う姿勢が重要だとし、そのことが世界からの信頼を獲得することになるとしている。

「国家の生存を律するものは、個人の場合と同じように、肯定的姿勢であって、タブーではない」。「言いようのないほど複雑な問題でも、本質的にはきわめてシンプルなものなのだ」。「偉大な人物に必要なのは、先見の明と神が与えた機会をつかむ勇気だ」。

つまり、偉大な政治家に必要なのは、意志的な楽観主義、本質をシンプルにとらえる能力、決然と立つ勇気ということであるとレーガンに向けてアドバイスしているのだ。

欧州やアメリカでは、チャーチルド・ゴールサッチャー、コール、そしてニクソンクリントンなど思い起こすだけでもきわめて詳細な回顧録を書いている。政治判断の過程が当人の立場から描かれている。重要な政治家の回顧録はいわば歴史書である。本書もそういった流れの中にある。

日本の政治家の場合は、本格的な回顧録を書く人は見当たらない。例えば、『鳩山一郎回顧録』、『政治とは何かー竹下登回顧録』などが思い浮かぶが、重いものではない。他は本人以外の人が書いたものがほとんどだ。私が読んだものをあげてみよう。北康利『吉田茂の見た夢 独立心なくして国家なし』、佐高信『孤高を恐れずー石橋湛山の志』、伊藤昌哉『池田勇人 その生と死』、『田中角栄という生き方』、服部龍二大平正芳 理念と外交』、飯島勲『小泉官邸秘録』など。そして本人の日記では『佐藤栄作日記』、『内訟録ー細川護熙総理大臣日記』があるが、いずれも政策決定などの詳細は書かれていない。

本格的な回顧録を書き、歴史の法廷の被告席に立つという伝統が欧米は確かにあるのだが、日本の場合は、そこまでのものではない。公文書の保存に対する意識が低いのも、その流れにあるのだろうか。

さて、「肯定的姿勢」の重要性をヘイグは言う。個人の場合も楽観が事態を切り拓くことが多いが、国家の場合も政権を担当するトップの悲観論や否定的態度は禁物なのであろう。複雑な問題を単純に整理し、未来を見とおして進む勇気が重要なのだ。レーガン大統領は2期目ではソ連との体制の戦いに歴史的な勝利をしている。ヘイグの「警告」のどの部分が役に立ったのだろうか。