『文春』4月号からーー村上隆(現代美術家)・村上裕二(日本画家)の兄弟対談が面白い

散歩の途中のコンビニで「文藝春秋」4月号を購入。

兄・村上隆

  • 俺は好き嫌いしか判断力のない日本の美術界が嫌で、博士課程を終えて早々に日本画をはなれたけど。
  • 一歩日本を出たら世界の美術シーンには圧倒的な階級構造があって。
  • 俺はカイカイキキというチームで創る
  • 自分のどこかにリアリティがないと作品に向き合えない。
  • 自我を崩壊させるような体験がないとな
  • 「ネット時代で情報がフラット化して、賢い人はより賢くスピーディに世界を拡げて金を稼げるけど、愚鈍な者はネット上で罵詈雑言を吐くしかやり場がない。貧富の差が激しくなり、宗教にも頼りつらいとなった時、やっぱり芸術みたいなもので癒されるしかない局面にこれからはなるんじゃないかな。
  • 要するに、大事なのはセンターピン。、、、、(宮崎駿は)時代の中に明滅するアイディアを一定の形式を伴って届けている。時代と自分との関わりの中のセンターピンを見極めて狙い撃ちしている。
  • 正直、昭和の日本画というジャンルを俺は壊したと思っている
  • ファンタジスタの瞬間をいかに作るか。それが芸術家の仕事です。(ファンタジスタ:ずば抜けた技術。豊かな創造性。予想外のプレー)
  • ルノワールにせよモネにせよ、あるいはウィレム・デ・クーニングにしても、重度のリウマチや糖尿病や認知症になってからの絵が素晴らしいわけで。俺だって認知症になってからが勝負だと思ってる。心眼を開いて、技術の残滓でもって描けるようになる時が、絵描きの真価が問われる時じゃないのかな。
  • 老いていく過程で本人が望むと望まざるとにかかわらず、本当に自由になっていく。その様が死後、どう評価されるか。僕らの仕事はそういう仕事なので、励むしかないな。

弟・村上裕二は『文藝春秋』の表紙絵(4月号は「お花」)を描く日本画家。日本芸術院会員。

兄から「すべてを断ち切って次のステージに向かわないと、お前の未来はないよ」といわれ、43歳で仏門に2年間入る。「山を下りた後は、ウルトラマンを描き、仮面ライダーを描き、ゴジラを描いて、自分なりの挑戦を続けてきたつもり。

  • 日本画家として、現代における「日本画とは何か」ということをずっと考えている。

他の記事から。

  • 永井荷風「もし今日の東京に果たして都会美なるものがあり得るとすれば、私はその第一の要素をば樹木と水流に俟つものと断言する」
  • 柳田邦男「滑走路を見よ!」(海保機「誤進入」のナゾを大胆推理する)
  • 菊池寛「右傾せず左傾せず中正なる自由主義」(文芸春秋)
  • 小澤征爾「中国で生まれ日本で育った僕がどこまで西洋音楽を理解できるか。一生をかけて実験したい」
  • 福地茂雄「変化は現場からなどというが、上からやらないとダメです」

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3月初めの京都での講演の前後の旅行が済み、日常が復活。

  • 「イコール」創刊号(5月)に載せる知研責任編集ページの素原稿がそろってきた。明日から、編集作業に入る。
  • 「イコール」知研責任編集号の方針、台割、スケジュール作成。
  • 「大全」の仕上げ。
  • ミュージアム」の資料。
  • 「ソフト」開発。
  • 「図解塾」の準備
  • 「幸福塾」の準備

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「名言との対話」3月10日。伊藤雅俊「売り上げは、お客様からの支持率だ。利益は仕事の段取りや効率を示すモノサシである」

伊藤 雅俊 (いとう まさとし、1924年4月30日 - 2023年3月10日)は、日本実業家イトーヨーカ堂セブン-イレブン・ジャパンデニーズジャパンの設立者である。享年98。

東京都出身。大日本帝国陸軍特別甲種幹部候補生(特甲幹)を経て、家業の「羊華堂」という名称の洋品店に参画。1958年ヨーカ堂を設立。1973年ヨークセブン(現セブン-イレブン・ジャパン)を設立し、代表取締役社長に就任。同年デニーズジャパンを設立し、代表取締役社長に就任。1978年セブン-イレブン・ジャパン会長、1978年日本チェーンストア協会会長。1981年デニーズジャパン会長。

鈴木敏文が創業したセブン‐イレブンとイトーヨーカ堂を両輪として、セブン&アイは日本一の小売業となった。しかし、2016年にはセブン&アイホールディングスの鈴木敏文代表取締役兼会長兼CEOを退任に追い込んだ内紛の当事者となった。

大正13年(1924年)生まれの伊藤雅俊は長崎屋を創業した岩田孝八とは同年だった。ダイエー中内功大正11年(1922年)生まれだった。流通革命を主導した革命児たちは同世代であった。ライフコーポレーション清水信次、渥美俊一も同世代も含めてスーパー創業第一世代だ。

「一番大切なのは信用であり、信用の担保はお金や物ではなく人間としての誠実さ、真面目さ、そして何より真摯さである」。

利益は仕事の段取りや効率を示すモノサシである」と伊藤は語る。

段取りのうまかった人とその言葉をあげてみよう。佐藤忠良「段取り半分」。佐川清「段取りの出来る者が作業の進行を握り、やがては作業全般を掌握するのは成り行きだ」。

「段取り力」とは、スケジューリング力ともいえる。自分と他人の能力と持てる時間を俯瞰し、スムーズに流れるように計画し、進め、最速のスピードで仕上げていく力である。

どんな仕事でも、そして人生という大仕事においても、この段取り力がキーワードになると思う。スピード感をもって仕事を片付けて残業をしない人、膨大な仕事量をなんなくこなす人には、この段取り力がある。それが納期や締め切りを守ることになる。

ビジネスでは納期を守ることは至上命題だから、実業界出身の作家は締め切りを守る人が多い。この業界では、特に小説の大家ほど締め切りを守らないので、編集者は苦労が絶えないとはよく聞く話である。

締め切りを守る珍しい作家たちをあげてみよう。新田次郎西村寿行胡桃沢耕史半村良渡辺淳一。そして、イラストレーターの柳原良平。漫画家の横山隆一はスリルを楽しんでいたとも聞く。手塚治虫にも編集者はやきもきしていたそうだ。それは売れっ子だからできることでもある。

池波正太郎は「約束も段取り・仕事も生活も段取りである。一日の生活の段取り。一ヶ月の仕事の段取り。一年の段取り。段取りと時間の関係は、二つにして一つである」と言っている。膨大な作品を書き続けたこの人の秘密は、段取りであった。その段取り力で締め切り前に仕事を終わらせ、自分の時間を楽しんだのだ。

ものを書く場合は、早めに手をつけることも、この段取りの一つだ。早めに着手すると、考えることの回数が自然に多くなる。他の情報との関連でヒントをもらうこともでてくる。テーマに対し立体的に取り組むことになっていく。気がつくと早めにかなりの作品ができあがることになる。

締め切り直前に頑張っても、作品の質はおぼつかないはずだ。質が高く、膨大な量の仕事をしている人の秘訣は「段取り力」なのだ。考えてみれば、複雑な人間関係を総合的に扱っている家庭の主婦たちの仕事も、この段取り力で成果が違ってくる。この力は、誰にとっても重要なものであることは疑いがない。