寺島実郎「シルバー・デモクラシー」(岩波新書)--課題と、解答への試み。

 

寺島実郎「シルバー・デモクラシー」(岩波新書)を読了。

 

 戦後世代の先頭を走る団塊世代の代表選手である著者が、1980年の中央公論『われら戦後世代の「坂の上の雲」』から始まる論考を積みあげながら、その結末として浮上した「シルバー・デモクラシー」の現実と参画型社会構築を熱を込めて語った書。以下、問題意識と解答への試み。

 

戦後70年の現在の課題:まっとうな日本を残すために必要なこと。

  • 健全な産業主義の回復
  • アジアとの信頼関係の構築とアメリカとの関係の見直し
  • 国家主義への郷愁を讃えた民主主義からの脱却

第1章:戦後民主主義とは何か?

  • 戦後民主主義は「与えられた民主主義」という限界の中で、民主化の前進があった。代議者の定数削減と任期制限など代議制の錬磨が必要。
  • 国権主義的国家再編と軍事力優位の国家への回帰を試みる勢力という明確な敵に対峙していく。

 第2章:1980年「われら戦後世代の「坂の上の雲」」に見る戦後世代の自画像?

  • 戦後世代=都市住民=新中間層。やさしいミーイズム。論理性と公共性の希薄した世代。
  • 80年代を創造できるのか?創造力があるのか。協調と連帯は本物か。主張を説明せよ。
  • 「個」を基軸とした社会構想を!国家が踏み込むべきでない領域の設定。代議制民主主義に代わる新しい政治意思決定システムの模索。豊かさ以後の経済体系。諸課題を同時解決するようなシスレム的解決を。アジアとの真の連帯。

第3章:21世紀に入っての「それからの団塊世代」は?

2008年

  • 団塊世代は、私生活主義(ミーズム)と経済主義(拝金主義)。
  • 社会的にいかに生きるか。何かを後代に残す。

2015年

  • 軽武装経済国家の日本。分配の公正、産業と技術の国。
  • 最大の課題は、アメリカとの関係の再設計だ。

第4章:シルバーデモクラシーを支える社会構造基盤は?

  • 相関した憲法と沖縄は、戦後日本の将来に向けてごまかしのきかない課題。
  • 中間層の貧困化の進行と高齢者の二極化。
  • 多世代共生、参画、多元的価値が幸福老人を増やす。

第5章:世界のデモクラシーの現実は?日本のデモクラシーの進むべき方向は?

  • 民主主義は資本主義を制御できるのか?
  • トランプ:「父の威光の中でニューヨークのビルの再開発を進める目立ちたがり屋、またスキャンダルまみれの好色家。」「父親の威光と支援でビルの再開発やカジノ経営で「金ピカのアメリカ」を象徴するように生きてきた男であり、人生を貫く価値は「DEAL(取引)」である。、、思慮も哲学もない反知性的存在、、」
  • 公的マネーで国家資本主義的様相の日本経済。
  • 日本のような産業国家は「経済の金融化」に振り回されることを避けよ。

第6章:参画型高齢化社会の土台作りの構想は?

  • 民主主義を確実に根付かせること、いかに有効に機能させるか。
  • 後代負担を押しつけて去ることを避けよ。健康寿命
  • ニューファミリーの幻想、戦後民主主義の担い手という期待は霧消。
  • 膨大な単身世帯が郊外のコンクリート空間に収容する社会構造。
  • 都市中間層の社会参画への構想。支える側、充実した老後、社会参画の実感。シスtムとしての農業への参画、
  • 戦後世代の共通体験。地球は宇宙空間の一つ。イデオロギー対立の限界。情報通信環境の劇的進化。
  • これからが正念場!

この本では解答はまだ体系にまではなっていないが、いずれシルバー・デモクラシーに関するよく練られた解答が出てくるだろう。

自らが属す団塊の世代への期待と失望の連続の中で、なお希望を棄てること無く解答を見いだそうとする姿勢には強く共感する。戦後世代の責任を自覚し、覚悟をもって現実に向き合うことが必要だ。

 

「副学長日誌・志塾の風170206」

  • 10階の見晴らしのよい温泉でくつろぐ。
  • 朝食:杉田、金、、、。
  • 伊東から真鶴へ。町役場のまちづくり課の多田さんから「美のまち」づくりの歴史と考え方を講義していただく。
  • 昼食は「しょうとく丸」でいただく。活きのいいお魚を堪能。
  • 帰りは小林先生のシルビアで一路、小田原厚木道路圏央道で多摩へ。
  • 夜の7時半からの「鶴瓶」は故郷・中津だった。鬼太郎はよく知っていたが、グルービーというジャズ喫茶などは知らなかったが、楽しんだ。

「名言との対話」2月6日。岩佐凱実「人間、「運鈍根」と言われるが、三つのうちどれが大切かと言われたら、それはやっぱり「根」だろう。運が開かれることも必要だが、それを深め、広げるのは「鈍」であり「根」。真打ちは「根」だ。」

岩佐 凱実(いわさ よしざね、1906年2月6日 - 2001年10月14日)は、日本の実業家銀行家経済同友会代表幹事、安田銀行常務、富士銀行頭取、経団連副会長。(財)日本心臓財団会長。

 岩佐は1966年の芙蓉グループ結成にあたって中心的役割を果たし、このグループの中心人物として活躍。丸紅と高島屋飯田の合併を行う。1965年の山一証券の経営危機を救った日銀特融の主役の一人。

「運・鈍・根」という言葉はよく知られいるが、この3つの関係を語ったのが岩佐の慧眼である。生涯に誰にも訪れる「運」をつかむことができるか。次にその運を生かすためには、「鈍」つまり打たれ強さが要る。ここまではなんとかできるかも知れないが、最後の「根」がなかなか続かない。根は粘り強さと理解したい。岩佐はこの関係を解きほぐしてくれた。