第1回坂口安吾賞に野田秀樹。審査委員長の野田一夫先生に選考経緯を聞く

来春の政令指定都市への昇格を目指す新潟市は、合併記念事業として『堕落論』で有名な作家坂口安吾の生誕100周年(平成18年)を記念し、坂口安吾を記念する「安吾賞」を創設した。

新潟市ゆかりの作家である坂口安吾(1906−1955)は、文学をはじめ多くの分野 において何事にも一生懸命に挑み続ける人であり、挑戦者を応援する都市風土を育み全国に発信するため、安吾の精神を具現しさまざまな分野で挑戦し続けることにより、日本人に喝を与えた個人または団体を表彰するというのが賞の主旨である。


このことは私の恩師である野田一夫先生から以前から聞いていたが、第1回の受賞者が決まったという。演劇の分野で活躍している野田秀樹(50歳)が受賞。野田秀樹は、人気絶頂期に劇団を解散し、演劇の本場ロンドンで挑戦を続けるなど「安吾の精神を受け継ぐ生き方」が評価されたことが受賞の理由である。野田秀樹は人気絶頂だった劇団「夢の遊眠社」を解散し、演劇の本場ロンドンでのの活動に挑戦し、最初は苦労したが巻き返し最近ではヨロッパでも高い評価を得ている。安吾と同じように名声に背を向けて新しいことに挑み、人々に元気を与えた、と野田先生が解説してくれた。野田秀樹は、安吾の没後10カ月で生まれ「生まれ変わり」を自称しているとのことで、受賞者にはふさわしい。


候補者は募集したが、まず100人、その中から3人、そして最後に一人となったと野田先生。

野田一夫先生(日本総合研究所理事長 多摩大学名誉学長)が選考委員会委員長だが、他はすべて新潟に縁のある人である。 副委員長は作家の新井 満、委員は池田 弘(新潟総合学院理事長)猪口 孝(中央大学大学院教授 )、坂口 綱男(坂口安吾長男) など、、、。


市長特別賞ということで、拉致事件の被害者/横田夫妻が受賞したという記事も出ていた。


こういう賞の権威は、むしろ誰が受賞したかということで価値が決まるのだろうから、野田秀樹の受賞はこの賞のポジションを確立したといえるかもしれない。


野田先生が久しぶりに仙台に講演で見えてお会いしたが、安吾賞の選考の経緯などを詳しく聞く機会があった。来年80歳になる野田先生だが、こういう仕事の依頼などが多いらしい、高名で元気で気さくな人はなかなかいないようで、仕事が集中するということのようだ。

どの分野でも特定の人に依頼が集中することからわかるように、あらゆる分野で人材不足が露呈しているが、こういった分野も人材の不足ということかも知れない。