著者と編集者との関係

2月から3月にかけて出す予定のいくつかの本の出版準備が進んでいる。


出版社の編集者と東京出張の折に会ったり、逆に編集者が仙台に来るときに会ったりしているうちに企画が決まったり進行が進んだりする。

お互い人間だから何げなく会ってよもやま話をしているうちにグッドアイデアが浮かんだりして、一気に企画が浮上することも多い。


そういう意味では、人と情報の結集する東京と新幹線で1時間半という時間距離の仙台という都市は絶妙の位置にあるという感じもする。

札幌や福岡では飛行機がメインになって頻繁に会うことは難しい。また新幹線の場合でも秋田や盛岡、青森ではやはり遠すぎる。

最近、仙台に住む小説家が多くなって、彼らが色々な文学賞をとるようになった。近年まで文学不毛の地と言われた仙台に現在住む作家は多い。それは都市生活と自然が近いという生活の豊かさを維持しながら、東京での仕事も不自由なくできるという環境に理由があると思う。


出版という分野は組織としての出版社より、個々の編集者との関係が著者の仕事の量や質に大きく影響する。編集者はキャリアとしての出版実績を持っていて腕一本で勝負できる職種であるから、移動は頻繁にあり、著者との関係を財産として持ちながら、違う出版社に移籍する人も多い。


出版は初版で終わるもの、ベストセラーになるもの、大ベストセラーに届くものと色々だが、編集者の報酬のシステムはどうなっているのだろうか。

ある出版社はその年に個々の編集者がつくった本の売れた実績でボーナスに大きな格差がつく。他の出版社は編集部全体の売り上げ成績を重視してボーナスが決まるので常にヒットを飛ばす人には不満があるが、安定しているのでじっくりと企画に取り組むことができる。

全体に業績主義ではあるが、その業績の反映の度合いはずいぶんと違うようだ。


著者としての編集者との付き合いは、1回きりの関係であれば多くてもいずれは切れていくので、細くても長く付き合える編集者が数人でもいることが重要だろう。

私の場合、最近は自分よりかなり若い編集者と仕事をすることが多くなってきた。一緒に育っていくという感覚で長く付き合っていきたいものである。