町田「資料館」「文学館」「美術館」「記念館」散歩

町田市立自由民権資料館を訪問するが、資料整理で3月末まで休館だった。資料のみもらってくる。明治10年代に盛り上がった自由民権運動は、憲法を立てて、国会を開設し、国民の政治参加の権利を保障し、後進国である日本の危機を打開しようとする全国的な政治運動・思想運動として展開する。その拠点となったのが多摩地域だ。この地域では裕福な農商民が運動のリーダーとなた。1893年まで神奈川県に属していた三多摩での民権運動は武蔵国相模国に分かれていたが、町田地域の民権家たちは両地域を結びつけようと運動を展開した。
石阪昌孝、村野常右衛門、青木正太郎、細野喜代四郎などの、民権家が町田から出ている。4月になったら再び訪れたい。

町田市民文学館・ことばらんど。多摩に四半世紀にわったて住んで執筆活動を重ねた遠藤周作の遺族から蔵書・遺品の寄贈を受けたことがきっかけで、2006年にこの文学館がオープンした。町田の文学資源をつなぐネットワークの要としての機能がある。遠藤周作文庫、桜田常久文庫、下村照路文庫、八木義徳文庫、宮川哲夫文庫(作詞家、「街のサンドイッチマン」「ガード下の靴磨き」「美しい十代」、「霧氷」)、八幡城太郎文庫などがある。その他の人物では、北村透谷白洲正子(2010年は誕生100年)、田河水泡野田宇太郎(詩人・評論家)、八木重吉石川桂郎俳人。小説家)、蕗谷虹児(画家・詩人、「花嫁人形」)、など。
野田宇太郎(1909−1984年)は、「東京文学散歩」などのシリーズで、「文学散歩」という新しいジャンルを開拓した人である。「九州文学散歩」のあとがきに「これはあくまでも「足で書く」近代文学史であると同時に、、、、、、、私なりの文学を創ることが目的であった」とある。文学を実証的に研究するという分野である。「身をもって眠れる樹を揺すれば、枝枝は空をみがきて不在の神の窓のやうにひとときそこだけが明るくまたざわざわと閉された」という「短詩」の詩幅が掛けてあった。これは、「旅愁」に所収された言葉であるが、野田の文学散歩の精神を伺わせる。こういう感覚は私の「「人物記念館の旅」にもある。「改訂東京文学散歩」(野田宇太郎山と渓谷社)を手にとってみたが、東京の地名とその文学の歴史がわかるいい本のようだ。早速手に入れたい。

文学館から歩いていける町田市立国際版画美術館。英文ではcity ミュージアムだが、日本語には「国際」がついている。「浮世絵−−美人画の19世紀」という企画をやっていた。渓斎英泉(1791−1848年)、宇田川国貞(三代目歌川豊国。1769−1825年)、歌川広重(1797−1858年9、月岡芳年、豊原国周、橋本周延らの浮世絵を鑑賞する。面長の美人、切れ長の目、すらりとした長身がこの浮世絵美人の特徴だ。
広重の「名所江戸百景」に刺激をうけて三代目歌川豊国が描いた「江戸名所百人美女」。この二人で風景を広重、美女を豊国が描いた「双筆五十三次」。広重の「小倉百人一首」シリーズ、豊国の「紀有常娘」(夫の浮気を知り水をはった銅器を胸に乗せ湯にし。夫は改心する)などの「古今名婦伝」シリーズ、明治の写楽とうたわれた豊原国周の「善悪三十六美人」シリーズや明治時代に評判だった「川辰」「花月楼」などの料亭を描いた「開花三十六会席」シリーズ、同じく国周の描いた近代的作品群では、キリスト教、指輪、時計、横文字などのパーツが描かれていた。月岡芳年の「風俗三十二相」は京都の料亭の仲居を描いた作品である。「あぶなさう」「はづかしさう」「ねむさう」「散歩したさう」、、。「大久保純一の「浮世絵」(岩波新書)を購入した。
名作、名所などを題材にシリーズとして大きな作品を描くという手法をとった画家の作品が時代を超えて残っているようだ。

帰りに以前から気になっていた小野路の「小島記念館」に寄る。あいにく休館だった。旧家の庭に小島詔右衛門翁(?)の銅像が建っていた。参議院議員という経歴が書いてある。誰だろう。ここも再度訪問したい。この小島家は、新撰組三多摩自由民権運動にも関係している。
「小野路宿の南詰にある旧家・小島家が自宅を改造して公開している私立記念館。小島家は、江戸時代に質屋や油屋を商いとし、寄場名主を務めました。幕末に当主であった小島角左衛門は天然理心流三代目・近藤周平の門下生となり、さらに角左衛門の長男・鹿之助は近藤勇と義兄弟、土方歳三とも親戚の間柄で、新選組のスポンサーのひとりにもなりました。鹿之介は維新後も華厳院に小野郷学を開き郷土の文化交流に尽力する一方、三多摩自由民権運動にも参画しています。
資料館では、約6000点の和漢籍や村方文書、記録、日記を公開しており、中でも新選組関連資料を含む「小島家文書」(都有形)は貴重な内容を含むものとして知られています。」(http://www.geocities.jp/nanapiko9/onoji.htmlから抜粋)

夜は、ホワイトデーなので、私と息子で近所のレストランで妻を接待しながら、いろいろと話をする。
帰って、NHK大河ドラマ龍馬伝」を見る。実によくできている。