ホームページ設計という事業構想

もう四半世紀以上も深く関わってきたNPO法人知的生産の技術研究会(知研)のホームページ刷新プロジェクトの第一段階がようやく終わりつつつある。
この夏は毎週一定の時間をとって、ホームページの設計に関する相談や作業をしてきた。

まず、どのようなHPにするかというアイデアを出す段階があった。つくりたいHPのイメージを自由に制約なく発想していく。何度かアイデア出しを行っていると、まだはっきりしないがもやもやとしているが形が現れてくる。イメージングと呼ぶべき着想の段階である。

次に、具体的なHPの形に落とし込む段階が出てくる。技術的な検証を二の次にして、まとまりのある全体像を形にしていく。全体を構成する部分を書き出しながら、部分同士の関係を考えながら、全体の形を整えていく。部分は部分として独立しているわけではない。他の部分との関係の中で存在しているから、トップ頁の中での関係や階層の中での関係なども考えながらつじつまを合わせていく。これは構想の段階である。

そして形が固まってきたら、それを実現するために、労力、技術、予算、期間、という様々な制約を受けながら、具体的な設計に入っていく。技術の進歩で思わぬ便利な機能が付加できたり、思いもよらぬ難題が襲ってきたり、コミュニケーションがうまくいかずに時間がただ過ぎていったりする。それを手持ちの資源で何とかクリヤーしていく。具体的な問題解決の連続となる。これが計画の段階である。

この着想、構想、計画の各プロセスを経て、ようやくある姿が見えてくる。

次は、責任を分担すべき人々にその姿を開示し、意見をもらい、修正する段階に移る。
彼らは初めて形になったものを見るし、今生きているHPのイメージも頭に残っているので、想定外の考えもたくさん出してくる。だからこの前の段階でつめすぎないにして懐を深くしておくことが大切である。一緒に完成させていく。
すぐに取り入れるもの、違う形で吸収するもの、こちらの考えを説明して説得するもの、予算の制約からあきらめるもの、将来の課題とするもの、などに細かく対応し、スピード感を持って決めていくことが必要だ。ここで関係者のチームとしての連帯感と責任感が出てくる。
この過程を経てHPは、しっかりした形になってくる。これは関係者の合意のプロセスである。

そして、会員にこのHPを公表する。すると熱心な会員自身の立場からみて不十分な点について苦情が出てくる。なるほどと思うものは修正するが、この段階では、できあがったHPの考え方を壊すことなく、何とか工夫をして意図を取り入れるという忍耐力を持って智恵を出していく。

着想の段階から始まった長いプロセスにおいては、民主的に意見を吸い上げるが、最終的には一人のリーダーが判断し決定するということが大切である。リーダーはこういう気概をもって、構想が崩れないように大きなことから小さなことまで目を光らせていなければならない。

HP自体は、データベースでもあるが、基本は的な性格は「場」である。
この場に参加を促し、様々な機会を活用してPRしていくことが必要な段階に入ってくる。
ここで必要な力は組織体としての広報力を含むコミュニケーション力である。
場を活性化する力だ。
知研のHPはこの段階だが、ぶれることなく、前向きに進めていかねばならない。

今から大事なのは、楽観的な考え方と確信、オープンな態度、そして継続する力である。


NPO法人知的生産の技術研究会
 http://tiken.org/