「2001年 新聞・テレビ消滅」か?−−佐々木俊尚講演会(知研)

ITジャーナリストという名刺の肩書きの佐々木俊尚さんのセミナーを知研で開催した。

1961年生まれで、毎日新聞社アスキーを経てフリージャーナリスト。アマゾンから現れた土井英司さんや、アスキー出身の佐々木さんなど、新しい媒体から新しい世界観が出てきつつあるようだ。「仕事するのにオフィスはいらない ノマドワーキングのすすめ」「2011年 新聞・テレビ消滅」などの著書で話題になっている人だ。

この人の本を読み、Twitterでも動きを追っているが、一日中最新動向に接しているというライフスタイルではないかと推察する。最先端情報の集中が新たな世界を切り拓く。刺激に満ちた時間だった。

  • インターフェイスはデバイス(機器)に合わせなければならいが、できていない。(アイフォンでサンケイ新聞を読むと読みにくい)
  • パッケージの崩壊が起こり、編集権がユーザ−の側に移っている。(新聞社のサイトはツリー構造を踏襲している)
  • GOOGLE reader。見出しの大きさが同じなどフラット。
  • ソーシャルブックマークはてなブックマークで人気記事を読む(技術系多い)。Digg.Delicious。ニュースアgリリゲーター。
  • ソーシャルグラフの世界。人間関係に沿って情報の収集・流通が行われる。リアルの転写としてのFACEBOOKという方向。同じ嗜好の人たちが集まるMY SPACE(音楽から)という方向。
  • 口コミサイト。食べブログ(レストランの評価サイト)。クックパッド(料理)。ツタヤディスカス(オンラインDVD、映画の口コミ)。カリスマレビュアー、インフルエンサーを見つけるしかない。こういったミドルメディア化の進行は情報全体についていえる。
  • テレビ媒体はビジネスモデルの再構築が必要。土管からインテルイジェントへ。
  • 編成局がコントロールタワーだったが、家庭のリビングの方に中心軸が移っていくだろう。
  • そのプレイヤー候補。APPLETV。Wii。(電子番組表、動画コンテンツなどテレビ)。アクトビラ(ブロードバンド)、動画。Kinndle(高度化したらテレビに)
  • SPIDER。日本のベンチャー。一週間の全番組を録画。番組の検索ができる。人の名前で検索すると番組もCMも検索できる。Mデータ。活字情報も。広告配信も可能になるだろう。個人向けCM.ライフログ。属性がわかる。データがとれる。番組の断片表示のスクリーンセーバー。面白いものをつまみ食い。
  • 2010年はタブレット元年。10インチ、キーボード無し、来春。
  • プルメディア(欲しいものを入手。検索エンジン)とプッシュメディア(テレビなど)の融合
  • ミドルメディアは進行中。マスメディアとハイパーローカルメディアは数年内に立ち上がる。
  • グーグルの広告モデルは、塵も積もれば山となるというロングテールモデル。
  • マスメディアは、再構築されていく。テーマごとに新聞、雑誌、ミドルメディア、ブログ、Twitterなどの記事を横断的、総合的に見せてくれる俯瞰メディアになっていく。
  • インターネット世界は、ノイズのある情報を前提にフィルタリングを高めるという世界だ。
  • インターネットは、構造化して可視化した。
  • 物理空間をITに取り込んでいくという流れ。セカイカメラ
  • 数千人の記者を抱える新聞社は、記者の能力をデッドストック化している。専門性を高めていない。異動させずに専門家にしていく。ミドルメディア化していく。
  • 情報の編集は人間が関わっていないと面白くない。YAHOO ニュースは30人ほどで編集している。日本では唯一。ブログ論壇にリンクは少ないが。
  • ブログとは、実は専門家(高度な人)の総合体だ。800万ブログ。数百から数千は質が高い。記者はこういう専門家ときちんと議論ができるか。
  • ユーチューブは、短い断片をみるアーキテクチャー。
  • 遠くか。近くか。前のめりか。のけぞりか。
  • twitter。生々しさという新しい感覚。刹那的。フロー情報。数分しか。実名ベース。攻撃しない。失言をある程度許容できる。
  • Twitterの可能性。ニュース編集の補完。生々しさの維持。

時代の最先端を疾走する人の熱気を感じる講演だったが、レジメには「新聞・テレビ・雑誌という業態は消滅しても、メディアビジネスは決して無くならない。おそらく次世代の新たなビジネスモデルがスタートアップから生まれてくる」というメッセージが書いてあった。