図解塾のテーマは「日本文化」ーー「生け花。囲碁。浮世絵。神道。わび・さび。マンガ。落語」

本日の図解塾のテーマは「日本文化」でした。裏番組(田原真人さんの「出現する参加型社会」ド読書会が強力なので、参加者は少なめでしたが、その分充実した内容となりました。図解の発表と批評を行ったのは、「生け花。囲碁。浮世絵。神道。わび・さび。マンガ。落語」でした。

「和歌。能。文楽。茶道。禅。歌舞伎。俳句」については、またの機会にしたいと思います。

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以下、ブログに書きこまれた塾生の感想。

  • 今夜も濃い時間をありがとうございました。改めて、この歳になるまで日本文化について無知であったことを思い知らされました。これまでに、本やさまざまなメディアで文化に関する多くの文章を読んできたはずですが、表層的で、「わかったつもり」になっていたり、分からないところは無意識のうちに見て見ぬふりをしていたのだと思います。図解は一見ソフトですが、文章で表すよりもごまかしが効かないということが実感できました。最初の、プロフェッショナルと言える人たちの共通項を「俯瞰と鳥瞰」だと読み解いてくださったのも感動的でした。俯瞰的・鳥瞰的に物事を見る見方というのは、どうしたら育つのかな、ということを考えました。学校教育でいえば、これまでは細かい断片的な知識を一方的に教師が詰め込む授業でした。しかし、総合的な見方や考え方を身に付けることが求められています。今日、現在の中学2年生が大学受験をするときの共通テストの科目が発表され、サンプル問題も提示されました。例えばこれまで「日本史」と「世界史」は別でしたが、今後は「歴史総合」となるように、教育界でも総合化が進みつつあります。
  • 今日は田原さんの『出現する参加型社会』の読書会キックオフなどとかぶっていたりで、YAMI大縁の方など、参加者少な目でしたが、その分、お一人お一人の図解のプレゼン・説明や感想をゆっくりお伺いすることが出来、本日も濃厚で素敵な、勉強になる濃密な時間でした。みなさんがお話されるときの、それぞれの主題や主題の合間などでのちょっとした(いや、ちょっとした、ではないのですが)コメントや言葉に感じられる、雑学的×専門的見識の深さにも感嘆しましたが、それらをすべて横断して話題を提示できる久恒先生の「怪物」ぶりにも、改めて驚嘆しました。(驚異的に)続ける力の凄まじさを感じます。でも、それもこれも、みなさんが非常に難しいテーマと文章に対して図解をしてきた情熱がベースにあるからだと感じます。偶発的関係が必然的な共感性を生むということを体感・実感しています。図解の技術は経験により磨かれるものだと思いますが、ひとつひとつの要素は難しい訳ではなく、取り組む、ということ自体が大事なので、是非、ニューカマーも歓迎です!!今日の授業のキーワードは絞り込むのが難しいぐらいでしたが、印象に特に残ったものを列挙しておきます。・偉人と達人の共通項「俯瞰と鳥瞰」×「虫瞰」×「図解」・俯瞰してみることで「個」の視点への固着が無くなる。 あなた/わたしの仕事だけではなく、わたしたちの仕事が来るし、出来るようになる。・図解をすると、そのテーマに対してアンテナが立ち、磁石になる。そうすると、興味が増し、専門家になる。・憂し世から浮き世・神道に書籍はない。自然から自然と学び。環境学習への入り口に。・日本の理科の教科書の指導要領の最初は「自然に親しむ」から始まる。次回は4/7です。4/14は課外授業、続ける技術編です。
  • 今宵も熱い学びの時間を有り難うございました。■学びの感想.。今回のお題、皆様の図解全編を通して「日本の美と思想」を感じて、日本に生まれたことに感謝する思いが致しました。図解は本当に、俯瞰・鳥瞰だと思います。今回、学者さんが書かれた「神道」の文章を図解した私ですが、最初は文章が難しくて、どう図解すれば良いのか迷いました。しかし、心を静めて「この文章が言いたいことは何か?」とシンプルに鳥瞰した時に、「学者さんの論争の二つの流れが書かれている文章だ」と見え、その瞬間にパぁっと視界が広がり、図の構成が一瞬にして描けました。図解には《視点の広がり》《ロジカルなのに自由》《全体と細部のダイナミズム》があり、本当に図解が大好きです。コーチという仕事を通じて経営者やリーダーの方々のご支援をしておりますが、まさにコーチングの時間は「俯瞰力・鳥瞰力」を磨いて頂く時間です。そのご支援において、私自身が図解を学ぶ意義を改めて感じた次第でした。有り難うございました。■次回の課題。「いき」「和服」「受験戦争」のいずれかを希望します。■先生のご企画。インタビューアーや御著書へのご協力など、私でお役に立てることがありましたら、手を挙げさせて頂きます。■付録。2015年に大学院のご講義で白洲正子さんの『茶道』の文章を図解しました。今回の課題の文章とは異なっているのかもしれませんが、発表にありませんでしたので稚拙ながら付録として添付致します。2015年の当時のままの図解ですがお許しください。私の母が表千家の教授として40年程茶道を教える家庭で育ちましたので、今回の神道と同様に馴染み深く、自分のルーツを感じる時間となりました。
  • 今夜もありがとうございました。冒頭の「優れた職業人に共通するあるキーワード」。非常に腑に落ちるものでした。目の前に見えることに集中することも大切ですが(没頭できることも大切だと思います)一歩引いてみることで全体をつかむことが出来る。個人、チーム、組織、企業、業界、社会、環境。視点は数多くあり、新たな一歩に進める予感がします。日本の文化の図解。私の課題が図解化しやすい紹介のような課題であったのに対し、回顧録やエッセイのような文体を図解化される方、単語や背景を深く調べておられる方が多くいらっしゃり、未熟を痛感した次第でした。次回の日本文化、「ファミコン」を希望します。私と同じ1983年生まれ、功罪だけではない深掘りをしてみたいです。
  • 本日もありがとうございました。みなさんの図がどんどん進化されており刺激をいただいております。課題の文章だけでなく、様々調べ、わかりやすく説明する必要があると感じました。しかし時間も有限なのである程度どのくらいの時間でまとめあげるか計画をたてて今後は図解してみたいと思います。(3時間くらいで出来たら良いですよね…現実的には5時間くらいでしょうか…)課題は、和服、富士山、演歌 のどれかを希望します。
  • 本日もありがとうございました。日本の文化のそれぞれの図解と説明を聞いて、名前と目に見える部分以外の、内的なことを少し垣間見れました。皆さまのお話が楽しかったです。図解しても、声に出して説明すると止まってしまうときは、分かっていないところ、つながりが見えてないところなんだとわかりました。次回の日本文化ですが、「インスタントラーメン」、「カラオケ」、「すし」、「いき」、「演歌」でしょうか。よろしくお願いいたします。

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 「名言との対話」3月24日。林土太郎「遍路旅に終止符を打った。これにて映画裏方街道遍歴人生は満願成就となった」
林 土太郎(はやし つちたろう、1922年3月24日 - 2015年7月9日)は、日本録音技師である。
京都生まれ。活動写真好きが高じて片岡千恵蔵プロダクションなどに出入りするようになる。1937年、日活京都撮影所録音部に入社し、録音助手としてマイク係、録音係など担当。1942年、大映設立にともない大映京都撮影所録音部に継続入社。応召復社後、1953年に『水戸黄門 地獄太鼓』で録音技師として一本立ちする。以後、大映京都撮影所録音技師として活躍した。1970年に独立し京都シネ・スタジオ設立。その後、勝プロ作品、映像京都、東映テレビ作品などを担当する。一貫して映画録音畑を歩んだ。
』(草思社)を読んだ。
日本映画の創成期、全盛期、衰退期などすべての時代を経験した者として「何かを書き残しておきたい」と思うようになって書いた本である。映画界で辛酸をなめ、喜怒哀楽を味わい、幾山河を越えてきたという15歳からの60年の活動屋人生の述懐がつづられている。「長井い道標を脇目もふらず、ただ一筋に歩みたどろし映画街道」など文体が活弁口調で、歯切れが、また監督、俳優、スタッフなどと織りなす映画製作の現場が見えるようだった。
録音を一生の仕事とするのは入社時のちょっとした偶然だが、その道をただひたすら前向きに進んでく姿には感心する。下記にピックアップしたように、仕事に関する自己啓発に余念のない真面目で素直な人は、何をやっても成功するだろうと思わせる。
天運を授かった。叱られることは自分を培う肥になる。日就月将。若いうちに基本を身につける。なにはともあれ勉強。同志を裏切れず助監督への誘いには乗らない。映画街道の遍路旅。巡礼。お礼奉公。業をともにする人に不信を抱かせない言動。毎日の蓄積が心の糧となり己を伸ばす。信頼されて仕事を成し遂げる。狭い崖っぷちの細道を一本の杖で修行へ挑戦。巡礼歌を唄う気持ちで前進。裏方は表方に磨きをかけて光り輝かすのが本分。脚本訂正から作詞まで何でもこなす録音技師。、、、、、
黒澤明が監督『羅生門』、荒井良平監督『水戸黄門地獄太鼓』、岡本喜八監督の勝プロダクション作品『座頭市と用心棒』、黛りんたろう監督『RAMPO』、監督三隅研次監督の『子連れ狼』シリーズ、、、などの多くの作品で腕を振るった。
マキノ正博伊丹万作川口松太郎市川雷蔵勝新太郎長谷川一夫北大路欣也、、、、など映画界のスターたちとの交流の様子も詳しく書かれており、それぞれの人柄もよくわかる。長男の林基継は同じく録音技師の道を歩んだ立命館大学映像学部映像学科教授だ。録音という世界に打ち込む父の姿に影響を受けたのだろう。
偶然に触れた分野でひたすら精進し、それがいつか天命となっていく。日本映画界の歩みと自身のキャリアを重ねて80代半ばで一冊の本を遺すことで満願が成就する。この終始一貫したすがすがしい物語に感銘をうけた。人はどの分野でも、一能一芸に秀でていればそれでいい。そう思わせる爽やかな読後感だった。

 

映画録音技師ひとすじに生きて―大映京都六十年

映画録音技師ひとすじに生きて―大映京都六十年

  • 作者:林 土太郎
  • 発売日: 2007/02/24
  • メディア: 単行本