寺島実郎の「世界を知る力」の12月篇。
2024年への展望
ロンドエコノミスト速報版のキーワード
- 選挙:世界70ヶ国。1月の台湾から。
- 複合的に無秩序:極ではとらえられない。全員参加画型。新秩序の模索・
- 減速気味だがソフトランディングか。
- 潜在リスク「中国不動産・デフレ」「米:金融不安」「ユーラシア:2つの戦争の長期化」
- キッシンジャー「AIと核兵器管理の新ルールが必要。誤作動。フェイクニュース」。ニューズウイーク「イスラエルの過信」
ウクライナ戦争’670日)とガザ戦争(70日)
- 泥沼化による地政学的インパクト:米「バイデン再選に暗雲」。ロシア「ウクライナへの関心の分散」。中国「沈黙。経済原則、一帯一路の停滞など孤立感」
- 「反イスラエル・反アメリカ」が世界の潮流へ。欧州には6000万人のイスラム人口。
戦争とは何か。
- レイシズム(人種差別)の匂い:プーチンのロシア正教。反ユダヤ主義。シオニズムはロシアでの大虐殺から」。欧州「タタールのくびき(ロシアはモンゴル)」。
- 2022年2月にロシからイスラエルに7万人が移住した。
- イスラエル「マサダコンプレックス」(ユダヤ人の間では、かつてローマ軍に追い詰められて、イスラエルにあるマサダの砦で全滅したという歴史の悲話を子々孫々まで語り継いでいます。油断していると民族の滅亡に至らしめられるかもしれないという切迫した状況に常にあり、ユダヤ人は皆で結束して、難局を乗り越えていかなければいけないという、ある種の被害者意識を共有している。力を求めなければ滅ぼされるという強迫観念)。欧州「ドイツで10月のイスラエルへの反発事件994件」。日本「神の国として大戦争・欧米の人種差別意識」。
- 他者を見下す空気が戦争を生む。
- ユダヤジョーク:人間の本質「モーゼは理性」「キリストは愛」「マルクスは経済」「フロイトは性」、そしてアインシュタインは「すべては相対」。全員がユダヤ人。
人はなぜ戦争をするのか。1932年のアインシュタインとフロイトの往復書簡。
- アインシュタイン:高度な国際機関が必要。
- フロイト:人間の2つの本質は「愛と攻撃心」。攻撃心をコントロールするのは「文化力」。音楽・美術・文字・宗教。人間には「共感力」がある(山極寿一)。文化に触れることにより「考える力」が育つ。全体知によって相対化する。調和や妥協、争いを抑えていく。
- ユダヤ人は差別に最も長く耐えてきた民族。優位に立つと攻撃しているのが今のイスラエル。優位にあっても思いやりを保ち続けられるか。日本人はここを語るべきだ。
フロイトの書斎(寺島の撮影)。小物が多い。
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「図解コミュニケーション」に関する総まとめの2つのプロジェクトが進行中。2つとも2024年3月までには完了する予定。
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ゴスペル。
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「名言との対話」12月17日。シモン・ボリバル「革命の種子を播こうとする者は、大海を耕す破目になる」
シモン・ボリバル (1783年7月24日 - 1830年12月17日)は、南米大陸のアンデス5ヵ国をスペインから独立に導き、統一した大コロンビア共和国を打ちたてようとした革命家、軍人、政治家、思想家である。
バスク人の家系のベネズエラの名家出身。修学時にドイツのフンボルトと会う。ナポレオンに仕えたが、祖国ベネズエラの独立のために帰国し、コロンビア・ベネズエラ・エクアドルを独立に導き、大コロンビア共和国を建設、初代大統領となった。また、ペルー・ボリビアの独立を完成させた。ラテンアメリカをスペインから解放したことから「ラテンアメリカ解放者」とされた。
ボリバルの名前のついたものは実に多い。ボリビアの国名はベネズエラ・ボリバル共和国。空港の名前。各国の州・都市・街区・大学には名前を冠している。誕生日の7月24日はベネズエラの祝日、通貨単位はボリバル。初の人工衛星はの名、ボリバル宇宙活動庁。、、、、、、
ボリバルの名言は多い。自分なりにボリバルの一生をひとつのストーリーにしてみた。
- 私は困難を恐れない。大いなる事業への情熱に燃えているからだ。
- 団結せよ! されば我らは無敵となる!
- すべての者は団結という計り知れない利益のために働くべきだ。
- 政府を形成するのは原則ではなく人間である。
- 最大の背信は、忘恩である。
- 私は自由と栄光を求めてきて、両方を手に入れた。だから、もうこれ以上の望みはない。
- 独裁か無政府状態しかないのではないだろうか。
- 私の最後の息は天にコロンビアの降伏を願うことになろう。
- 我々が幸福になることは永遠にないだろう。
- 私の最後の願いは祖国の幸福にある。
革命家らしく、現実の中で鍛えられたボリバルには名言が多い。その中で秀逸なのは「革命の種子を播こうとする者は、大海を耕す破目になる」だろう。耕しても耕しても、種子は根づかない。種子は大きな海に漂ってしまう。「歴史上最大の馬鹿者3人は、イエス・キリストとドン・キホーテと私」とボリバルが語っているように、革命家は一生をかけて大海を耕すという無謀で崇高な行為を続けることになる。自身をイエスだけでなく、ドン・キホーテになぞらえているのが面白い。希望と絶望の入り混じった、「ラテンアメリア独立の父」と呼ばれた大革命家、世界を変えようとした偉人の名言だ。